嘲笑う魔の『手』
「今、帰ったわよ」
「おう、どうだった…って、お前そいつらは」
宿屋にてアレッサの声を聞いて振り返ったマルスはモルマ達がいることに少し渋い顔をしていた。
「分かってるわよ。でも、真犯人を見つけないとまたエインが疑われるのよ。見つけるにしても彼女達の力はあった方が良いわ」
結局、エインのためを思えば確かに彼女達の力は必要と考えてアレッサも根負けしたのだった。
「私達も彼の無実の証明を手伝わせて」
「…それに皆だって、彼女達が悪い人間と言う訳では無いのは理解しているはずよ」
「…分かった」
結果的にはオーサイスや彼を慕う人々からエインを守ってくれた上に、トラウマで再起不能になった彼を診ていてくれたため敵対する必要はないと誰もが思っていたため、マルスもアレッサと同様に確執を捨て去ることにした。
「それでエインは大丈夫なのか?」
「もうだいぶ立ち直っています」
ベッドにはまだ呆然とはしているが昨日よりもだいぶ回復したエインが座っており、リリーとカイとカナが側に寄り添っていた。
「リリーちゃん、カイくんにカナちゃんも、ありがとう。もう大丈夫だよ」
「…お前の無実は証明された。また死体が出てきたんだために犯行は不可能と言うことでだ」
話があるようなカルロス達の存在に気が付き、エインは三人にお礼を述べた後に視線を移すと、新しい犠牲者が出たことで再起不能状態になっていた彼には犯行不可能であったと話を聞かされる。
「疑ってごめんなさいね」
「ううん…もう、大丈夫ですよ」
モルマは公務上は仕方なかったとは言え疑ってしまったことをエインに謝罪した。
「しかし、もうこれで七人目ですか」
一応エインの診断をしていたラスコも話を聞いて深刻そうな顔付きで犠牲者の人数を口にする。
「犯行がほぼ同じであるからして同一犯である可能性があります。まず模倣犯では無いかと」
「どうりで纏めた情報がどの事件とも関係しているはずだわ」
一連の事件の手口はほぼ一貫して同じであったため、騒ぎに便乗した模倣犯と言うことはないとロナが結論づけたことにアレッサも同意していた。
「そこで私達と手を組みませんか?」
「手を組む…友達になって手を繋ぐってこと?」
「…その通りとも言えるが助け合うと言う意味だ」
教養があまりなかったためかエインは『手を組む』の意味を変に解釈しており、その場にいた誰もをズッコケさせてしまいシスカから意味を教えられる。
「でも確かこの国は公私混同はしないんでしょ?」
「そうじゃな。長いことドワーフやエルフとの対立を止めていたこともあるしな」
裁きや法律を執行する場合は私情や個人的な問題は持ち込まないのが原則だ。寧ろそんなことがあっては逆に裁かれてしまうだろう。
「それを言われると耳が痛いですが…私達はあなた達の捜索能力を高く評価しています」
「これ以上の犠牲者を増やさないためにも、私達より先に動いていたあなた達の力がどうしても必要なの」
「俺は公私混同なんて冗談じゃないが、法や規律が既に乱されている以上は多少は目を瞑ることにした」
幼い頃からずっとそう教育されていたため知らない訳でも無いが、これ以上殺人モンスターを野放しにする訳にはいかなく、今は自分達の体裁よりも事件解決が最優先だった。
「それと昨日のことと、私達の調べによれば君はモンスターと会話…と言うよりも意思疎通が出来るのでしょう?」
「それで昨日は畑の中のモンスターを移動させたり、ワイバーンの処刑を止めたんでしょ?」
モルマの能力を見抜いていたと言うのは嘘ではなく、証言や聴取などでエインがカルノタウルスのことだけでなく、壁の穴を発見した際にピナコサウルスとも意思疎通をしていたことを知っていたのだ。
「君は何を知っているの?」
「…あのカルノタウルスは何処にいるんですか?」
親身になって話を聞いてくれるモルマにエインも応えようと子供のカルノタウルスがどうなったか聞き返す。
▷▷▷
『グウウウ…!』
「……!」
「おい、大丈夫なのか?同じ檻の中に入って…」
ドランが心配するようにエインは倉庫内にあるカルノタウルスの檻の中に入って向き合っていたのだ。しかも脚の拘束は外してあり、ある程度は自由に動ける状態になっていた。
「これが欲しいんでしょ?」
『…!』
エインは貰っていた鶏肉を見せてカルノタウルスの気を引く。口は拘束されているが歯の間からダラダラと涎を垂らしており空腹であることが丸分かりであった。
「欲しかったら…お願いだから僕に教えて欲しいんだ。君は何を見たのか…」
『……』
幼いカルノタウルスからすれば幼い人間の子供に生殺与奪を握られたことは、身体の大きな兄姉達にイジメられた時よりも屈辱に思えるだろう。しかしエインからは穏やかな雰囲気が伝わって来て不思議と心が落ち着いていく。
「外してあげるね」
「ちょっと!何してるの!?」
「危ないよ!?」
エインは今度はカルノタウルスの顔に優しく触れたかと思えば口の拘束具を外した。そんなことしたらどうなるか目に見えているため、トランとレーヌを中心に心配になるのも当然だった。
『グウ…』
「あれ…?」
ところがカルノタウルスの子供は真っ先にエインに襲い掛かるようなことはせず、落ち着いた様子で見つめていたことにリリーでなくとも唖然となる。
「さあ、教えて」
『グルル…』
エインが肉をカルノタウルスの口まで運ぶと躊躇いながらも咥え込み、ガツガツと食欲のままに食べ始める。
「…やっぱり、カルノタウルスは誰も殺してはいないそうです」
「殺してはいない?」
檻から出てきたエインは餌を食べ続けるカルノタウルスから得られた情報を口にする。しかし言い方に含みがあるような言い方なため思わず聞き返す。
「どうやら既に殺された人を食べていたみたいで…」
「なるほど、つまり最初に殺人を行ったモンスターの後で遺体の損傷に関わったんですね」
直接殺人には関わっていないが肉食恐竜らしく遺体を食べていたらしく、バラバラになっていたことにも関与している可能性があった。
「じゃあ、あのワイバーンは最初に殺人をしたモンスターの姿は見てないの?」
「食べに来た時にはもういなかったらしいよ」
遺体を食べに来たのなら最初に被害者を殺したであろうモンスターと出会っているのではと考えるもそう事が上手く運びそうになかった。
「でも、ここ暫くは餌を見つけても届かなかったんだって」
「それどう言う意味だよ。餌…つまり遺体は見つけても届かないって」
遺体を食べていたのなら、見つければ後は食べるだけなのに届かないだなんて、エインの言っている意味が理解出来なかった。
「チャオ〜!モルマちゃん、今良い〜?」
ノックもせずにウェーブがかったサイドテールが特徴的なギャルっぽい少女が軽いノリで入ってくる。
「マルトじゃないの。どうしたの?」
「聞いてよ、ここへ来る時にビックリすることがあってマジヤバ谷なんだけど〜」
マルトと呼ばれる彼女はモルマのことを知っている辺り意外なことに軍候補生だったのだ。そんなマルトは軽そうな雰囲気は残しつつも困った様子を見せていた。
「聞いてよ、また新しい遺体が見つかったのよ」
「また?しかもこんな昼間から?」
話によるとマルトはカルロス達と同じく事件の足取りを追っていたが、嘲笑うかのようにまた新たなる犠牲者が見つかったそうだ。しかもこれまで夜間に行われていたであろう犯行が昼間に行われたと言うのだから候補生達は騒然となる。
「他の皆にも呼び掛けたから後は大丈夫だろうけど、やっぱり今回のもこれまでの事件と類似した遺体だったんだよね」
既に他の候補生や衛兵に呼び掛けており、死体の身元調査や捜査などが行われているそうだ。
「もしかしてと思って呼び掛けていたんだけど、何かあったの?」
「それがね…」
マルトは事件のことを知らせようと友人であるモルマを探してここまで来ていたが、何か神妙な面持ちで話し合いをしていたらしく事情を聞くことになる。
「へぇ〜、そこのボクちゃんがモンスターと心が通じ合うって?」
「客観的に見るとそうなるわね。理屈は不明だけど」
さして驚く様子は見せなかったがマルトはエインがモンスターと心を通わせると聞いて興味深く観察していた。
「とにかく詳しく知る必要があるな。その場所って何処だ?」
ここにいるだけでは分からないため、カルロスはマルトにその場所へ案内させる。
▷▷▷
「やっほー、調子はどう?」
軽いノリでマルトは事件現場の調査をしていた他の候補生や衛兵に挨拶をしていた。
「こりゃ酷いな、辺り一面に血の匂いがしてやがる」
「血痕もあちこちに飛び散ってるわね。相当派手にやったみたいね」
目撃者によるとここを散歩していた老夫婦が今朝は見かけなかった血痕を目にし、茂みの中に死体があったことで事件が発覚したと言う。現場は血の匂いと飛び散った血によって凄惨な有様になっていた。
「ねぇ、この爪痕は何だろう」
するとエインは木の裏に大きな三本の爪で引っ掻いたような跡が残されているのを見つける。
「グリズカイザーよりも大きな手ね。おまけに跡の位置がこんなに高いなんて…」
「こんなモンスターがいるの?」
残されている跡を観察するに爪の間隔が広く、身長も熊よりも高いため、街中の人達を一夜で平らげる食欲を持つヒグマ型のモンスターよりも大きな手に巨体であることは間違いなかった。
しかし彼らからすれば未確認生命体に家畜を殺されたのも同じであり、こんなモンスターが実在するかどうか信じられなかった。
「エインくんの言う通り、あのワイバーンの仕業じゃなかったのかも」
「確かにあんな小さな手じゃ無理よね」
カルノタウルスの手はとても小さく、背丈からしてこんな高い位置を引っ掻ける訳がなかった。
「となるとやっぱり他の肉食性のモンスターが侵入していると言うことね」
エインの証言が正しくて、痕跡もカルノタウルスの物とも違うのなら他に人を襲うモンスターが国内にいると言う事になる。
「なんとしてもこれ以上の被害者が出ないようにしなくてはな」
「これだけのことをやれるのなら恐らく何処かに巣があるはずですが…」
大勢の犠牲者が国の中で出ていて、モンスターを直接見たと言う目撃者や目撃情報がないことに、何処かに潜伏しているであろう巣があると考える。しかしロナはこれ以上の情報がないとなると何処を探せばいいか検討がつかないと言った様子を浮かべる。
「それなんだけどね、あたしなりに色々纏めてみたんだ」
マルトはバックからこの国の地図を取り出し全員に見えるように広げる。所々に赤いペンでバツ印や矢印が書き込まれていた。
「事件現場を地図に書き込むとね、面白いことが分かったの」
そう言うとマルトは事件現場の写真を印が書き込まれた地図上の犯行現場にピンで刺していく。
「あれ、これって…」
「エインくんは観察力があるね。そう、今回の事件は地図上にこうやって円を描くように行われていたの」
エインは真っ先に事件が起きた場所と場所を結ぶと地図上に円が浮かび上がったのだ。
「しかし浮かび上がったらどうだと言うんだ?俺は頭は物理的に鍛えられても中身はなぁ…」
「この円は事件のモンスターの縄張りで、この中で次々と人を襲って食べてたんだと思うの。実際にこの円の外側には被害者や犠牲者は出てないし」
円が浮かび上がったのは単なる偶然ではなく、モンスターの縄張りなのではとマルトは考えていたのだ。
「と言うことは円の中にモンスターの巣が?」
「絞り込んだとは言え、廃品置き場も含まれているな。隠れるところなんて幾らでもあるから探すのは骨だな」
捜索範囲が狭くなったものの、それでもまだ身を隠すような場所や建物は多く、見つけるにしても何かしらの手掛かりが必要だった。
「ねぇねぇ、お兄ちゃん。遊んで?」
「退屈だよ〜、ねぇ〜」
「遊んで遊んで〜」
そんな時ずっと蚊帳の外だったリリー、カイ、カナはエインに寄り添って遊んで欲しいとねだってくる。
「今は遊んでいる場合じゃないんだがな」
「まあまあ、少しぐらいは良いじゃない」
「僕も…さっきまでこの子達に励まして貰ったし、少し遊んであげたいんですけど」
事件解決のためにカルロスは最初は難色を示すが、モルマとエイン本人の発言に溜め息混じりに了承するのだった。
「リリーね、向こうに公園があるの知ってるの!早く行こう!」
「オイラも行くよ!」
許可を貰ったことでリリー達は大喜びでエインの手を引いて公園へ向かい、幼い部分があるのかレーヌも同調して同行する。
「お前は行かないのか?」
「お子ちゃま達のお世話はエインだけで充分よ」
珍しくトランは同行しないと思えば、生意気にも大人ぶった余裕を見せてくる。
「でも、大丈夫かな?公園でもしもモンスターとかにバッタリ遭ったりしたら」
「夜行性だから夕暮れ前に合流すれば大丈夫よ」
子供が和気藹々と公園で遊ぶのは微笑ましいだろうが、もしもその公園に例のモンスターがいたらとルシアンは不安がるが、アレッサは事前に夜行性であると調べていた。
「しかし変な話だよな。これだけ事件が起きているのに目撃者が誰もいないなんてよ」
「そりゃあ、あれだ。目撃しても食い殺されてるからだろ」
思い返せばこれは国中が騒ぎ立てるような事件だと言うのに、モンスターの姿に関する目撃情報がないことに疑問が思い浮かぶも、マーキーが単純明快な結論を述べるのだった。
「それにしてもコソコソと隠れて女性ばかりを狙うとはけしからん奴だ!見つけたら私の剣の錆にしてやる!」
「どっちにしても私達はその非道なモンスターの手掛かりを掴まなくてはなりませんわ」
姿を見せないで嘲笑うように人を殺し続けるモンスターにラピスもエルケも同じ女性として憤りを露わにしており、なんとしてでも見つけようと言う気構えがあった。
「候補生殿、伝令です」
「あ、ああ…ご苦労」
いつの間にいたのか十三歳ぐらいの小柄な少年がいて、大きなカバンから手紙を取り出してカルロスに手渡す。
「何なの、伝令って」
「検死の結果だな」
受け取った手紙は被害者の検死結果だった。カルロスは上から順に文書と報告書を読み上げていくと、女性の被害者にはある共通点があったと記載されていた。
「被害女性は全員…妊婦だと?」
驚いたことにその報告書には被害に遭った女性のカルテには全員妊婦だったと記載されていたのだ。
「そんな…妊婦を狙うなんて」
「単なる偶然ならまだしも、まさか妊婦を狙うなんて外道も良いところだ!」
ラピスは先程よりも強く憤り、トランはカレンと同じ妊婦が襲われていたことにショックを受けていた。
「けど、何故わざわざ妊婦を狙うのかしら」
「これは私の憶測ですが、きっと妊婦さんはお腹の子供のために栄養を蓄えますし動きも鈍いですから、モンスターからすれば絶好の獲物かと」
「確かに魚の中には子持ちの方が美味しいのもあるから、モンスターがそうしてもおかしくないにゃ」
ししゃもは魚卵、鮭は産卵のために栄養を蓄えた個体の方が美味とされているが、妊婦を襲い続けるのもモンスターからすれば美味しいと思うからなのではとラスコとモナは考えていた。
「…恐ろしいな、そりゃ」
「元の世界では忘れられていたが、我々人間も自然界では食べ物の一つに過ぎないと言うことだ」
人間を食べるなんてとても恐ろしいことのように聞こえるが、その考え方は人間だけで他の生き物からすれば獲物の一つとしか見られないのだ。
「ん?雨か?」
「雨宿りしなきゃじゃん」
ポツポツと顔に雨が当たり、次第に降る量が多くなっていくために一同は木の下で雨宿りをする。
「エインくん達は大丈夫かな」
「あいつなら大丈夫…と言うか前にもあいつ雨の中でも嬉しそうに水浴びしてたじゃん」
カルノタウルスに追われて、バナナの葉のようなテントを見つけた時にエインはフォークと共に雨の中で水浴びしていたため、エリーシャは雨宿りするどころか嬉々として水浴びをしているのではと考えていた。
「私は雨は嫌いよ。濡れるし冷たいし、それに何かこの雨も生臭いし」
「水が生臭い?何を言って…おい、お前それどうした」
アレッサは猫の獣人だからか雨は毛嫌いしていたが、生臭いなんておかしなことを言うと思えばマルスは彼女の顔を見て目を疑う。
「血だぞ。ケガしたのか」
「は?血って…え?」
ケガをした覚えはないと顔を拭うと腕に真っ赤な血が付着していたことに今度はアレッサが目を疑う。
「ちょっと待って。木から流血が…きゃあ!?」
今度はマルトが雨と共に木から血が流れていることに気が付き、何が起こっているのかと恐る恐る上を見上げた途端に何かが枝から滑り落ちてくる。
「…!死体だと」
なんと上から落ちてきたのは女性の遺体だった。右腕と左足が欠損し、顔は殺された時の苦痛を表すように固まっており、腹部は食い破られて内臓が幾つか足りなかった。
「これまでの事件の被害者の特徴と一致するな」
騒ぎを聞きつけたカルロス達も遺体を確認するが、やはり事件と関係がありそうだった。
「でも何で木の上から?」
「モンスターの中には獲物や餌を盗られないように隠したり、手の届かない場所に置くと聞いたことがあるな」
ヒョウは仕留めた獲物をライオンやハイエナに横取りされないように木の上に登って保存するように、遺体を木の上に運んだモンスターも同じ習性を持っている可能性がある。
「もしかするとマルトさんの言っていた昼間の事件。あれはひょっとすると、今のように遺体が木の上から滑り落ちてきたからではないでしょうか」
「あ、そっか。おじいちゃん達が昼間通った時に遺体を見つけられたのは、もう木の上に遺体があって昼間に落ちたからなんだね」
昼間に事件が起きたのではなく、既に遺体が木の上に置かれていて、時間の経過と共に落下し発見が遅れたのだ。
「しかし樹上に食糧を保存するとなると事件のモンスターは人間や獲物を木の上に持って登るのか。となると行動範囲は…」
「木の上も含まれるってことね」
何にしてもモンスターの行動範囲は人間と同じ地面だけでなく、木登りが得意で樹上も縄張り内に含まれるとなると捜索するのが困難になりそうだった。
「と言うことはエインくんの言っていた獲物を見つけても届かなかったって言うのは…」
「あのワイバーンは横取りをしたくても木の上じゃどうしようもなかったってことね」
こんな高い木の上に獲物を運ばれては子供のカルノタウルスはその小さな指を咥える他なかったようだ。
「そう言えばエインはどうしたのかな」
「雨も強くなってきたな。呼び戻しに行くぞ」
どんどん雨が強くなり、幾ら雨の中で水浴びをすると言ってもエインでもこの雨量は辛いはずだと考え迎えに行くことにする。
▷▷▷
「雨、止まないねぇ」
「いっぱい降るねぇ」
「くしゅん!少し寒いねぇ…ゴンちゃん」
『ギァ〜…』
公園に辿り着いていた五人と三匹はかくれんぼや鬼ごっこをしたり、公園の池でメガネウラやシーラカンスの仲間のアクセルロディクティスを観察していたが、雨が降ってきたために公園内の倉庫で雨宿りをしていた。
「でも楽しかったね」
「うん。でも、ロボはどうしたの」
『……』
雨が降る前に目一杯楽しんだため全員満足であったが、ロボだけは何かを気にしているのかずっと明後日の方向に視線が向いたままだった。
『『……!』』
倉庫の奥には鋭い鉤爪を備えた逞しい前脚を持つ何かが倉庫内にいるエイン達を睨んでいた。




