疑心暗『鬼』の爪痕
『グルルルル…!』
「こいつが殺人鬼の正体だったの」
「でもまさかワイバーンもどきの子供だったなんて」
まだ幼いカルノタウルスだが、既に狩猟本能は目覚めておりこちらを捕食しようする気満々だった。しかしエリーシャとルシアンからすれば子供でも恐怖の対象でしかなかった。
「どうする?倒すか?」
「それって殺しちゃうの?かわいそうだよ…」
ドランを始め多くの者達は剣を抜いて身構えており、エインはそのことに躊躇いを見せていた。
「しかしこのままにするのは…」
『グアアア!』
言い争っている間にカルノタウルスの子供は鳴き声を挙げて襲って来るかと思えば、反対方向に向かって走り出したのだ。
「どうやら俺ら全員を相手するのは不利だと判断したらしいな」
「しかしマズいぞ!あの方向は街だ!」
幾ら捕食者とは言え、まだ幼いためにマルス達を相手するのは不可能と判断したようだ。だからこそカルノタウルスの子供は狩猟場を街に変えたようだ。
▷▷▷
『グアアア!』
「何だ!?ワイバーンか!?」
その街中ではキプロニアス王国の国民がいつも通りの日常生活を送っていたが、路地裏から飛び出したカルノタウルスの子供にすぐさまパニックになる。
『ガルルル!』
「こ…来ないで!?」
どれを狙おうか迷っていると腰が抜けて逃げ遅れた女性に狙いを定める。
『ギィ〜!』
『ガルア!?』
大きく口を開いて食らいつこうとするが、側面からのフォークの突進を受けて倒される。
「大丈夫ですか?」
「ありがとう…」
その間にエインはその女性の手を引いて何処かへと避難させる。
『ギィ〜!』
『グルル…!』
立ち上がった幼いカルノタウルスは恐竜としての本能か、目の前の同じく幼いトリケラトプスであるフォークに狙いを変える。
『ガルアアア!』
『グググッ…!』
動きの早いカルノタウルスはフォークの角の一本に噛みつき抑えようとする。
『ウオオオ!』
『グガッ!?』
しかし力ではフォークの方が勝っていたらしく、頭を振り上げてカルノタウルスをひっくり返す。
「スゴいな…幼体とは言え、あのワイバーンもどきと互角に戦っているぞ」
「さすがは角の騎士だ!」
マーキー達も追いついたが両者の戦いに割って入ることが出来なかった。
「でもあいつも諦めてないぞ!」
『グルル…!』
ひっくり返されたがカルノタウルスは再び立ち上がり唸り声を出していた。
「落ち着いて!君を外に出したいだけなんだ…」
しかしその戦いに割って入ったのは生体電流を使うエインで、フォークと睨み合うカルノタウルスの子供と意思疎通を図ろうとする。
「ちょっと、そんな奴に話が通じるの?」
「危ないよ!」
以前大人のカルノタウルスに食べられそうになったことがあるエリーシャ達からすれば話をするどころか二度と見たくない相手なため、エインを引き止めようとするが彼は止まる様子はなかった。
『グルル…!』
「…何だって?」
その甲斐あってかエインは幼いカルノタウルスからあることを知り得たのだが、伝えられた内容は信じられないことだった。
『ギャア!?』
「えっ!これは…!?」
向き合いながら意思疎通をしていたが、カルノタウルスに投網が被せられたことで何が起きたか分からずエインも唖然とし、エリーシャ達の方を見るも彼女らも首を横に振って知らないとアピールしていた。
「脚と顎を縛れ!抑えつけろ!」
『グウウウ…!?』
お互いに訳が分からないままでいると、何処からともなく衛兵を引き連れた青年が剣を抜いてカルノタウルスを抑え込みに掛かったのだ。
「一体何を…うわっ!?」
「オーサイス様の邪魔をするな!」
エインは訊ねようとするがオーサイスと言う青年が引き連れている衛兵達はこの国の衛兵達と違い、彼に忠実であると同時にかなり高圧的な一面を見せた。
「皆の者、安心しろ!この国を騒がせた野蛮な人殺しのモンスターはこのオーサイス様が捕らえた!」
投網で動けなくなったところを顎と脚まで縛られ、なす術なくなったカルノタウルスの子供は転ばされる。そしてオーサイスはその頭を力を誇示するかのように踏みつけ、殺人鬼を捕らえたとのは自分だと大声で宣言するのだった。
「ちょっと何よあいつ!ポッと出のくせして、ワイバーンを捕まえたのは自分達ですって?」
「動きが止まっていたのはエインくんのお陰なんじゃ…それにエインくんは何もそんなことするつもりじゃなかったのに…」
突然のことで訳が分からなかったが少なくともトランとレーヌの言うように、名前と手柄を横取りするようないけ好かない態度をした人間だと言うのは満場一致で全員が頷いた。
「おおっ、オーサイス様だ!」
「貴族のご子息であるオーサイス様が殺人鬼を捕らえたのか!スゴいぞ!」
「ありがとうー!」
ところが第三者であるこの国の人々はオーサイスがカルノタウルスを捕らえたと本気で信じてしまい囃し立てていた。
「おいおい、何であんな奴が持て囃されるんだ?」
「これも王が不在のせいだろう。結果を残す力ある者に、人は寄りつき逆らえないのだからな。例え薄汚れた権力だろうとな」
いけ好かない態度は見て分かるのに、それでも人々が慕う理由が分からなかった。と言うのも全ては王が負傷しこの国を治める者が不在になってしまったことが起因していた。
王とは良くも悪くもどの国に置いても絶対的な存在だからこそ、不在の間はどうしても人々が不安に駆られてしまう。
そこへ王族の次に位や権力が高い貴族や領主が介入したことで、一応の身の安全は保証されるため人々はそれを受け入れたのだろう。
「よく分からないけど、それって良いことなの?」
「そんなことないですわ!あんなの人の上に立つ存在とは思えませんわ!それにこの国は法を守るはずなのにこんな不正が許されていいはずがないわ!」
「しかし奴や大臣を見て分かっただろう。権力が法を上回る場合だってある。ましてや何でもかんでも規律を遵守している国に取って、権力の高い者の言うことは法律そのもの…つまりは絶対服従が良いところさ」
前々から思っていたがシスカは自由奔放な一面もあるため、法律や規律などはある程度は守るものの権力などは嫌う傾向があるのか吐き捨てるように政治の黒い面を言い放つ。
「さあ、今ここでこの殺人鬼に報いを!処刑してみせようぞ!」
ある程度人々の歓声を受けたオーサイスは剣を振り上げ、衛兵が抑えているカルノタウルスの首に狙いを定める。
「ダメ!」
『ギィー!』
エインの声に呼応するようにフォークは衛兵達にタックルをする。これにはオーサイス達も驚き距離を取り、その間にエインはカルノタウルスを庇うように立ち塞がる。
「何だ貴様は?俺を貴族の者と知っての狼藉か?」
最初は驚くも平民の子供らしき人物だと知って、露骨に機嫌が悪くなる。
「このカルノタウルスはまだ人を殺してない!だから殺さないで!」
殺したくないと言うのもあるが、エインはカルノタウルスの子供が人を殺してないことを必死に訴えてくる。
「…ふ…ふははは!これはとんだお笑い草だ!そのモンスターが人を殺してないだと?」
しかしオーサイスを始め、彼を慕う者達全員がエインの発言を笑うと同時に何人か哀れみの視線を向けていた。
「エイン、それはちょっと…助かったとは言えルシアンのこともあるし」
「仮に本当に襲わなかったとして、今後ともそんなことがある訳でもない。かわいそうだが仕方あるまい」
エリーシャやメリアスも疑いたくないが、こんな恐ろしそうな見た目な上に相手は幼いとは言え肉食恐竜だ。仮にそうだったとしても今後とも人を襲わない保証はないし、気に食わないとがオーサイスのように駆除を薦めてくる。
「でも…カルノタウルスはこの国で人を殺していないのに殺すのはあんまりだよ!」
「何でそんなことが言い切れるの?」
「ええい!ごちゃごちゃとうるさい奴らだ!平民の分際で庇い立てするのならまず貴様から駆除してやろうか!」
「お兄ちゃん!」
キャロラインは理由を聞こうとするがオーサイスは問題無用と剣をエインに向け、リリーは青ざめながら叫ぶ。
『ギィー!』
「おわっ!?貴様…さっきの!」
エインに気を取られていてフォークの角の接近に気付かなかったオーサイス。剣の刃は角に防がれると同時にフォークの突き上げによってオーサイスの手元から弾かれる。
「こいつ…そう言えばモンスターを引き連れているな」
オーサイスから見ればエインが見たことないモンスターであるフォークを引き連れていることに怪訝な顔をする。
「ちょっとあなた達!これは何の騒ぎなの!」
すると集まっていた群衆を掻き分けて軍服のような制服を着込んだ少年、少女達が割って入ってくる。
「モルマお姉さん」
「リリーちゃん…これは一体何の騒ぎなの?」
その先頭に立っていたのはリリー達とも面識のあったモルマ達だったが、拘束されたカルノタウルスの幼体に、貴族の子息であるオーサイスがエインと見たことないモンスターと何やら一悶着あったような光景に今度はこちらが怪訝な顔をする。
その場にいた誰もが硬直する中でオーサイスは何か閃いたのか不敵な笑みを浮かべながら彼女達に近付いていく。
「君達か!やあやあ、聞いてくれ!そこにいる彼こそが事件の犯人なんだ!」
「えっ…?」
突然のことでエインは呆気に取られてしまう中で、その場にいた大勢の人々に動揺が走る。
「はあっ!?何言っているのよあいつ!?」
「何でエインくんを殺人鬼に?」
これにはトラン達も訳が分からないが、明らかに濡れ衣を着せられようとしているのだけは分かった。
「何故そんなことが言える?それにその後ろのワイバーンみたいなのは何だ?」
軍服のような制服を着た少年のカルロスはその理由と拘束されたワイバーンについて訊ねるが、オーサイスはそれを待っていたと目を光らせる。
「それなんだよ!彼はあのモンスターを『カルノタウルス』と呼んだ。その上であの三本角の見たことないモンスターとも親密だった。これは彼がこの異世界のモンスターと親しい間柄である何よりもの証拠だよ!」
オーサイスは何処かキザッぽい様子でエインの印象やフォーク達との間柄を簡潔に説明した。
「つまり何を言いたいかと言うとだな。そこにいる彼がそこのワイバーンを三本角のモンスターのように使役して大勢の人達を殺したのではないかと言うことだよ!」
そしてオーサイスは何故エインを殺人鬼だと言い放ったのかその結論を述べるのだが、それを聞いていた一同のどよめきがより大きくなっていく。
「まさかあんな子供が…?」
「でも、確かにワイバーンの名前を知ってたし三本角のモンスターとも仲が良かった」
「それに殺させないようにしているのも何か怪しいな」
証拠を耳にした人々は思い当たる節があったことに徐々に疑念が確信に変わっていく。
「殺人鬼ではないにせよ、全ての黒幕は彼だったんだ!」
ダメ出しでオーサイスがエインを黒幕だと言い放つと、人々は波を打ったように静まり返るが…
「この殺人鬼め!お前のせいで大勢死んだんだぞ!」
「この悪魔め!死んでしまえ!」
「生まれてきたことを後悔させてやる!」
途端に烈火の如く、人々はエインをゴミを見るような目付きで罵詈雑言や石などを投げつける。
「あっ…うっ…やめ…ごめんなさ…!?」
エインの心臓は早鐘のように動き、吐き気や過呼吸を引き起こし、涙目で蹲りうわ言を言いながらその場から動かなくなってしまう。
「ちょっと、どうしたのよ!なんで何も言い返さないのよ!」
「何だか様子が変だよ!」
肉食恐竜を前にしても臆せず立ち向かうはずなのに、人々からの非難を受けたエインが動けなくなるなんてレーヌ達には何が起こっているか分からなかった。
「まさかトラウマが蘇ったんじゃ…」
「そうか、ウチらのせいで…」
だが、グランドレイク王国出身のルシアン達には何が起きていたかは分かっていた。今の光景は元の世界で彼が受けていた心の傷を抉るには充分過ぎたのだ。
「いずれにしても止めるぞ。このままだとエインが本当に犯人にされてしまうぞ」
エインがトラウマで何も言い返せないこともあるが、これだけ証拠や証言を得られてしまっては本当に殺人鬼だと思われる危険性があった。
「待ちなさい!それだけで本当に犯人であるとは言い切れないはずです!」
しかし待ったをかけたのはモルマ達だった。彼女達はまだエインが犯人かどうか決めつけるのは早いと述べる。
「何を言っているんだ?現に証拠なら…」
「言葉を返すようですが、それはあくまでも状況証拠でしかありません。この子と事件との因果関係は不明なんですよ」
証拠の中には間接的に容疑などを決めつけられる状況証拠と言うのが存在する。確かに証拠や証言は事件解決には必要不可欠だが、関連性が高くてもそれが全て真実であると言う訳では無い。
この場合はエインにはモンスターを使役する力があると仮定するが、それなら矛盾点も幾つか存在することになるのだ。
「仮に彼がそのワイバーンを使役したとして…何故こんな人目につくことをする必要があるのですか?わざわざ自分の首を締めるような物です」
もしもモンスターを操って人を殺せるのなら、人々に見られるようなことはしないとロナが説明する。人々もそれにハッとなり、バツが悪そうに目を逸らしていく。
「だが、こいつは何故モンスターの名を知っている。そして何故庇おうとするのだ」
「少なくとも人を殺したと言う証拠にはならないはずです」
旗色が悪くなり食い下がるオーサイスにしつこいぞと言う様子でカルロスが睨みを利かせながらキッパリと告げる。
「…!だったらこのモンスターはどうする!人を食ったかもしれないのに野放しにする気か!そもそも侵入させるとは管理体制はどうなっているのだ!」
貴族でありながら軍候補に言いくるめられ、民衆の前で恥をかいたことに腹を立てたオーサイスは揚げ足を取るように怒鳴り付けるのだった。
「…このモンスターは我々が監視します。管理体制は今現在も見直しの最中です」
「ふん、職務怠慢だな」
互いに気分が悪くなるもモルマ達はそれ堪え、オーサイスは露骨に態度を露わにし捨て台詞を吐いてその場を去るのだった。それに伴い民衆もそそくさと立ち去るのだった。
「…あなた、大丈夫?」
「ごめんなさい…ごめんなさい…!?」
ため息をついた後、モルマはエインに話し掛けるも彼はうわ言を呟き続けていた。
「お兄ちゃん…?」
「わあっ!?ごめんなさい…ごめんなさい…!?」
リリーは心配になりエインの手に触れるが、彼は驚いて彼女の手を振り払ってしまう。
「…お兄ちゃん」
「あ…ゴメンね…」
振り払われて呆然とするリリーと目が合い、エインはハッとなり抱き寄せる。
「おい、こいつはどうしたんだ?」
「えっと、なんて言うべきかな…」
カルロスは事情聴取も兼ねてエインの様子を聞くも、説明すると長くなりそうだったため、カルノタウルスと共に場所を移すことにする。
エインは今日一日は再起不能となりそのままモルマ達に診られる形で宿屋に停泊し、カルノタウルスは宿屋の倉庫内にカルロス達が用意した猛獣用の檻に拘束された状態で収監され、因果関係は不明だが一応は事件が終息したと誰もが思った…。
▷▷▷
「きゃああああ!」
しかし、事件はこれで終わりではなかった。再び翌朝になると絹を裂くような女性の悲鳴が爽やかな雰囲気を打ち破る。
「酷いわね…またこれまでと同じ殺され方ね」
モルマ達はその女性が悲鳴を挙げた場所に衛兵と共に集まっていた。そこには無惨にも手足を引きちぎられ、腹肉を食い破られた遺体が血の海に沈んでいたのだ。
「犯人はあのワイバーンでも、あのエインでもなかったってことか?」
エインは宿屋でずっと診ていたし、翌朝になってもまだ再起不能となっていたためアリバイが成立した。
「エインくんはともかく、ワイバーンとは別のモンスターもいたと考えるべきですね」
カルノタウルスも収監されたままなため犯行は不可能だが、これはカルノタウルス以外の別のモンスターの存在を疑うべきだとロナが補足する。
「どっちにしても犯人は別にいると言うことね…?」
「この遺体、女性かしら?」
モルマは事件が終息していないと結論づけていると、見慣れた猫の獣人族が事件現場を調べているのを目にした。
「あなた、エインくん達と一緒にいた人ね」
「…これでエインが犯人ではないことが証明されたわよね?」
アレッサに話し掛けるも彼女はエインの容疑が晴れたことを確信しており、そのことを言及するように話しかけてくるためモルマは静かに頷く。
「あの手柄横取り貴族にも同じこと言ってやりたいわ」
「気持ちは分かるけど相手が悪過ぎるわ。それよりもここで何をしてるの?」
確かに手柄を横取りしただけでなく、あれだけのことを言ってエインに容疑を掛けたのだから鼻を明かさないと気が済まないと語るアレッサに相槌を打ちつつもモルマはここで何をしているのか質問する。
「キオナ姫の容疑を晴らすために情報を集めていたのよ。にしてもここ最近殺されているのは女性ばかりね」
「ちょっと待って。何を何処まで知ってるの?」
少なくともエインのことを心配し診てくれたため、少しは信頼出来ると同時に他に情報がないかとモルマと話を続けて情報を得ることにしたアレッサ。そして分かったのが…
一、犯人は間違いなくモンスターで被害者を捕食している
二、被害者の死亡時刻を見るに事件は夜間に起きているため夜行性である
三、殺され方は常に手足がバラバラで腹部を主に食べられている
四、事件の被害者の多くは若い女性だった
五、枝や木の葉が遺体に付着していたため草木のある場所で犯行が行われた可能性がある
「…スゴいわね。こんなにたくさんの情報をよく集めたわね」
「私達獣人は周囲のことには敏感なのよ。特に人の目とかはね」
獣人族は昔から迫害や奴隷の歴史を持っており、自分達を守るため、そして生き残るために周囲の人間からの情報収集に余念がなかったのだろう。ここまで纏めあげていたことにモルマ達は目を丸くしていた。
「どうでしょう?私達と手を結びませんか?」
「エインを疑った人と組むメリットはあるの?」
ここまで事情を知っている上に情報収集に長けている彼女らがいれば自分達に取っては有益だと考えるも、アレッサに取ってオーサイス程ではないにせよ一応はエインを疑った人間だと認識しているため渋い顔をする。
「確かに私達は信用出来ないでしょうけど、彼の疑いを晴らすためには私達の捜査も必要なはずよ。それにあなた達は私達よりも先に事件を捜査し、壁の穴のことを明るみにしたのも知っているわ」
ロナは農業区域にいた人々から壁の穴の存在を明らかにしたのはエイン達だと聞いたことを話す。
「廃品置き場の近くの壁に穴が開いているなんて誰も…そして私達も知らなかった。それなのにあなた達は私達よりも先に動いて見つけていた実力は確かなものよ」
「…それで私達に力を借りたいと?容疑をかけて置いて?」
容疑を掛けて置いて力を借りたいなんて虫が良過ぎると確認すると見せかけて責めるように聞き返す。
「恥を忍んで言わせて貰えばその通りよ。でもこのままだと更なる被害者が出て、また彼に言いようのない非難が及んでまた塞ぎ込むことになるわ」
自分達が疑ってしまったことは素直に認めはするが、このままだとエインは再び容疑を掛けられ人々から非難されてしまうと警告じみたことを言われロナは更に渋い顔を浮かべるのだった。




