虎穴にはいらずんば虎子を得ず
「どうすんのよこれ…あたしら以外皆して捕まるだなんて…」
「そんなの決まってるよ、助けないと!」
「でもここは山賊の砦だよ。見ただけでも五十人はいるよ」
トラン、エイン、レーヌ、そしてロボは高台からキオナ達が捕まったのを見て何とか救助をしようと考えるも、山賊達は木製ながら見事な砦に人数もかなりいるのを目にしてしまった。
たった三人と一匹ではすぐさま返り討ちに遭い、捕まってしまうのが目に見えていた。
『ギャアギャア!』
「おい!大人しくしろ!」
山賊達の中には甲高い鳴き声を発する肉食恐竜の幼体を縄で縛ったり、袋の中に詰め込んで押さえ込んでいた。
「グウウウ!?」
「誰かこいつの牙を封じろ!噛みつきやがった…!?」
それとは別に頭に狼の耳、腰からは狼のフサフサとした尻尾が生えた少女が口に猿轡のような物を嵌め込まれていた。
「捕まっているのはキオナ達だけじゃない…モンスターや知らない人も大勢いるよ」
暫く見ていて分かったが捕まっていたのは自分達の仲間だけではないようだ。幸いと言うべきかルシアン達はいないようだが、エインに取っては見慣れないモンスターや亜人が大勢いたのだ。
「あれは獣人ね。それによくよく考えてみれば異世界のモンスターなんて好事家からすればこぞって欲しがるでしょうね」
「そうなの?それに獣人ってモナさんみたいな?」
「物好きにはいるのよ。滅多に見られないモンスターを鑑賞用やペットにするために捕獲したり、或いはその死体を剥製にしたりとかね」
お転婆なトランだがこれでも世渡りは得意なのか、人間の中でも何かしら集めたがる収集家と言う存在を説明するのだった。
「それだけならまだ許せるだろうけど、問題はモンスターに限らず人間を収集する奴もいるのよ。もちろんその多くが奴隷としてだけどね。あたし達エルフもずっと…」
話していく内に襲われた恐怖からか自身の腕を掴んで小刻みに震えるトラン。
「その中でも獣人はその歴史の一番の被害者よ。彼らは人に近い見た目と獣特有の身体能力の高さからか、愛玩用から過酷な労働用の奴隷として長い間歴史に影を落としてきたのよ」
「オイラも父ちゃんから聞いたことあるよ…今ではそんなこと聞かなくなったけど、その歴史から獣人の人達は海沿いに住む場所を移したって」
エルフはもちろんだが、その中でも獣人は歴史の裏舞台で酷い扱いを受け続けていた。そのこともあり元の世界では海岸沿いを安住の地にしていたのだ。
「モナさんもその一人だったのかな」
「レーヌが言ってたでしょ、元の世界では確かに奴隷制度はほぼ撤廃されてたから、何も全員が全員ではないのよ」
思えばエインが知っている獣人はモナぐらいだったし、グランドレイクでも彼女のような人種はあまり見なかったような気がするが、そう言う暗い歴史が関与していたためだった。
「でも、あの山賊はキオナ達を奴隷に…」
「そうね、あいつらには法律は関係ない。やりたい放題の無法者よ。だから誰でも奴隷にしようとするのよ、国家の王族だろうとね」
いずれにしてもそんな野蛮な連中にキオナ達が囚われの身になったことは変わりなく、何としても助けねばと決意を新たにする。
「それじゃあどうやって助ける?大木を使って建てられた壁は高いし、その周りは堀が掘られていて中には尖った杭が埋められているよ」
「それにあの高い建物…見張り台って言うんだよね?あれじゃあ何処から近寄っても狙われちゃうね」
改めて砦を見ると外側の守りだけでもかなり厳重で不用意に近寄れば杭で串刺しか、もたついている間に見張り台の山賊に見つかっておしまいだろう。
「入り口はあそこだけ…けど、守りが厳重ね」
他に入れそうなのは扉のある出入り口だけなのだが、そこにも見張りの山賊がいて、堂々と入れば門前払いされるのが関の山だ。
「山賊にしては無駄が少ないし、妙に設備が充実してるよ。誰かがあの人達に入れ知恵をしたのかも」
砦の全てが襲撃に備えやすく反撃もしやすいことから、山賊にしてはどうも用意周到過ぎることにレーヌも違和感を覚えていた。
「要するに付け入る隙がないってことね…どうしろってのよ…」
『……』
「……ん?トロオドン?」
たった三人では攻略するのは不可能だと分かり肩を落としていると、エインは自分達の後ろにトロオドンが視線を送っていることに気が付く。
『クキュウ』
「また付いて来てだって」
「何なのあいつは?あたしらに何をさせる気なの?」
肉食でありながらこちらを襲うつもりはなく、それなのに付かず離れずの距離を保ち自分達に何かを暗示させてくるトロオドンに疑問符が止まなかった。
「うわ…何これ?さっきの大きなリザードマン?」
「見事に食べられたわね…」
恐る恐る付いて行くと目の前にはディノニクスの死体があったのだ。しかも食われた後らしく、身体は皮と骨以外の筋肉や内臓が見当たらなく、頭部も目玉や舌など柔らかい部分はほとんど食べられていた。
『クゥン…』
「もう食べられるところがないの?」
「確かに随分と綺麗に食べたわね。少しぐらい可食部位があってもおかしくなさそうなのに」
ロボもお溢れに預かろうとしたがそのディノニクスの死体にはもう食べられる部位は存在していないぐらいに食べられていた。
「ちょっと変ね、普通はたくさんのモンスターや生き物に食べられて徐々に減っていく物よ。なのに骨に肉の欠片が残らないぐらい食べるなんて」
「もうそれぐらい経過したとかじゃないの?」
「それにしては残ってる皮膚や骨に風化してない。少なくとも餓死してからそんなに経過してないわ」
自然界での生き物の死体は捕食者やスカベンジャーなどによって徐々に食べられ、最終的にはバクテリアによって徹底的に分解されるのだが、この死体は割と早い段階で肉を食べられ骨になってしまったようだ。
「ちょっと待って!餓死ってことは飢えて死んだってこと?何でそんなことも分かるの?」
しかし更に気になったのはこのディノニクスが他の捕食者に襲われたのではなく餓死だったと言うことだ。
死因なんて外傷ならともかく、目に見えない病原菌などが体内で悪さしていた場合まず分かるはずがない。ましてや肉体がここまで欠損している場合、元々の死因が判明する訳もないのにトランは餓死だと判断したのだ。
「この骨を見て、スゴく脆いわ。それにこの死体もよく見るとそこまで身体が大きくないわ。これって多分、栄養失調を起こしてて充分に成長しきれなかった証ね。奴隷の中にはキチンと栄養が取れずに骨が折れたり、大きくなれない人がいるってアレシア姉さんが教えてくれたわ」
食事は身体を作る。だからこそキチンと食事を摂って栄養をしっかり摂取しなければ肉体を成長させることは出来ないのだ。
「そう言えばエインくんも結構ガリガリで身体も小さいけどキチンと食べてる?」
「まあ…野菜とか?」
その話を聞いたレーヌはかなり痩せているエインを見ながらそんなことを語り掛ける。エイン自身は前よりも食べるようになったが基本的には少食のままであった。
「でもこのディノニクスは食べ物がなくて死んだってことだよね?言われてみるとさっきから生き物の気配があまりないような気がする」
「それにさっきから見かけているのは肉食のモンスターばかりだし、他の草食のモンスターは何処に行ったんだろう?」
話は戻るがこのディノニクスはとどのつまり、獲物が捕れずに飢えて死んだことになる。餓死なんて自然界ではなくもない話だが、それ以前に獲物となる生き物の気配がないことが気掛かりだった。
「獲物が手に入らない…そう言えばこいつらは群れで動いてたけど、まさか餓死した仲間を食べたんじゃ…それくらい獲物がないってこと?」
「共食いってこと?」
先程もディノニクスは群れで現れたが、その内の一体が餓死して食べられていると言うことは共食いをしたのではと考える。
自然界に置いても共食いは御法度とされており、食べ物が手に入らない場合の最後の最後の手段として使われる場合が多い。
今は正に獲物としている生き物が少なく、先程もカリエの遺体を巡ってアクロカントサウルスと争うほどに飢えていたのなら共食いが起きていてもおかしくはないだろう。
「どうなってるんだろう?キプロニアス王国やルミナスでは見たことないモンスターがたくさんいたのに、ここでは生息数が極端に少ないんだね」
これまではモンスターの生息数が過密であることが多かったが、ここでは極端に少なかったことにエインは首を傾げていた。
「それよりもこれがどうし」
「ひゃははは!今日も獲物が大漁だぜ!」
思わぬことが発覚するも結局トロオドンがここへ案内した理由が分からなかった。その時誰かの下品な笑い声が聞こえてくる。
「見ろよ!こんなにたくさんの肉が手に入ったぜ!」
「皮も取り放題だぜ!これなら鍵束を失くしたのを許して貰えるぜ!」
鍵束を落としたスキンヘッドとモヒカンの山賊が馬車に載っていたのだ。その馬車の荷台には先程暴走し道に迷うこととなったランベオサウルスが山と積まれていたのだ。
「あんなにたくさんのランベオサウルスを積んでる」
「まさかあれを全部砦に運ぶつもりなの?どうりで獲物がいないと思えばあいつらが全部総取りにしてたのね」
どうやらこの辺りの生態系が狂っていたのは山賊達が手当たり次第にモンスターを狩り尽くしていたからだ。
『グルルル…!』
『ガルルル…!』
だがそれを見ていたのはエイン達だけではない、茂みから飢えたディノニクス達が山賊達の馬車を見ていた。
『プオ!プオ!プオ!グアアアァァクククク…!』
「いっ!?まさか…!?」
不気味な甲高い鳴き声に山賊達もエイン達もゾッとなり萎縮する。
『『ギシャア!』』
「うわっ!リザードマンだ!?」
馬車を引く馬にディノニクスが組み付き、後ろ脚の鉤爪を身体に食い込ませて切り裂いていく。
「こいつら性懲りもなく…ぎゃあ!?」
モヒカン頭の山賊は剣を抜いてディノニクスを殺そうとするが、ジャンプしてきた他のディノニクスに飛び掛かられて馬車から転げ落ちてしまう。
「おい、嘘だ…ぐあああ!?」
仲間を殺されたことに唖然とするスキンヘッドの山賊は頭部に激痛が走ったかと思えば、見上げてみるといつの間にか馬車の屋根に乗っていたディノニクスが彼の特徴的なツルツル頭に牙を食い込ませていたのだ。
『ヒヒー!?』
「ちょっ、こっちに来るわよ!?」
山賊達は襲われて馬車から振り落とされたが、馬車馬はディノニクスを何とか振り落として逃げ出すが、その先にはエイン達がいる方向だった。
「あれに乗ろう!」
「どうして!?」
「あれを使って僕らも砦の中に…!」
賛成か反対かを決める前に馬車はもう間近まで迫っており、提案者であるエインは真っ先に手綱を掴んで乗り込み、レーヌとトランは一か八かだと言わんばかりに馬車の荷台に転がり込むのだった。
「ん、何だ?馬車だけが帰ってきたぞ?」
「誰もいないのか?」
「載ってるのはモンスターの死体だけだ」
やがて馬車は砦の前で停止し見張りをしていた山賊に見つけられる。しかし馬車には荷物のランベオサウルス以外は誰も乗っていないことに怪しみ始める。
「馬のこの傷…きっとこの辺のリザードマンの仕業だな。気の毒にな、襲われて馬車だけ帰ってきたのか」
「まあ、肉を奪われなかっただけ上等だな」
最初は怪しむものの肉が大漁に手に入ったことに深くは追求しなかった。扉が閉じる大きな音がした後で馬車の中のランベオサウルスの死体が僅かに動き、その下から誰かがこっそりと顔を覗かせる。
「くっさ〜…何でここに隠れんのよ?」
「しょうがないよ。ここしかなかったんだから」
「でもお陰で侵入出来たね」
エイン達は乗り込んだ直後に馬車を砦まで操作し、到着する寸前に積荷の中に潜んで見張りの目を盗んだのだ。
「侵入したけどこれからどうするのよ?」
「そうだよね…外はどうなってるかな?」
気付かれないようにエインは艶のある黒い石で馬車の壁を抉って穴を開ける。
「エインくんの持っているそれ、もしかして黒曜石?」
「これ?随分前に手に入れた物なんだけど…」
「オイラの鉱山でもたまに見かけるんだ。割れやすいけど、意外に頑丈で切れ味もあるから刃物にも使えるんだ」
長いこと謎であったこの黒い石の正体は黒曜石だった。かつて人類は黒曜石を叩き割り、尖らせて切れ味を持たせることでナイフや槍の切っ先に取り付け武器にしていた。いわゆる『石器』の原点となる鉱石なのだ。
「それよりも外はどうなのよ?」
「えっとね…奴隷の人がいっぱいいる。それにルミナスで見たエルフの人も何人かいるよ」
開けた穴から外を見てみると奴隷にされた人々が山賊のために世話を焼いたり労働させられたりしており、その中にはルミナスで見たような顔もあった。
「キオナ姫達はどうなったの?」
「ここにはいないみたい…」
別の場所に移されたのかキオナ達の姿は何処にもなかった。
「ボス、あいつら多分リザードマンに襲われたと思います。その際に鍵束も一緒に食われたかと」
「そんなの大した問題じゃねぇ。それよりもこっちは大事な客の相手をしてんだ。邪魔をすんなよ」
ふと馬車の中でも聞こえる程の会話が聞こえてくる。どうやら山賊の一人がボスに報告をしているようだが、そのボスは何やら大事なことをするために逆に釘を刺してくるのだった。
「客人ってのは例のグランドレイク王国とキプロニアス王国の姫様に関係することですかい?」
「まさか両国の姫君を捕らえたのは大きかったからな。これを交渉材料にすればこの世界の国勢は大きく傾くぞ」
国家間のパワーバランスが崩れるようなことを大声で話す二人だが、ここには同じ山賊しかいないのだから機密もへったくれもないだろう。しかし馬車の積荷に隠れているエイン達に取っては聞き捨てならない内容だった。
「それって両国を攻め落とすってこと?」
「あり得るわね。キプロニアス王国は今は王様が倒れてるしシーナ姫を人質にすれば太刀打ち出来ないわ」
「それにキオナは代理だけど一応は王様だし、このままだと…」
思い返せば国勢的にもキオナとシーナが捕まったと言うことは山賊達が両国の政権を握ったも同然とも言えるだろう。
「やっぱり何とかしてここから皆して脱出しないと!」
「相手が多過ぎるわ。せめて夜になってからじゃないと…」
明るい内に事を起こせば真っ先に目をつけられてしまう。だからこそ日が落ちて視界が効かない夜間の方がまだ安全なはずだ。
「と言っても相手が多過ぎるし、ここから身動きが取れないし…ん!?」
「おい、この肉を食事前に解体し整えとけよな?」
隠れていたランベオサウルスの身体が僅かに持ち上がって明るくなったと思ったら、盗賊の一人が奴隷の誰かに精肉するよう命令していたのだ。幸いにも命令しているのに夢中で、その下にトラン達がいることには気が付かなかった。
「はあ…いつまでこんなことするんだろう」
「早く始めましょう…じゃなきゃあたしら貴族達の狩りのターゲットにされるわ」
命令している山賊がいなくなったことで疲れた口調で話しながら作業を始める奴隷の二人。声からしてまだ若い少女のようだ。
「よし、まずはこいつを降ろすぞ」
今度は若い男の声が聞こえたと思えばランベオサウルスの身体がゆっくりとだが動き始める。どうやら荷降ろしが始まったようだ。
「どうするの。見つかるわよ」
「なら今度は…えい!」
黒曜石のナイフを今度は馬車の底の部分に突き刺し、缶切りのように動かしてこじ開けていく。
「うん?何だこの穴?」
「もうボロいんだ。穴が開いてても不思議じゃないだろ」
荷を降ろし終えて、馬車に残ったゴミを掃除しようとしたら底に穴が開いているのを目にするも、今は精肉しなければならないためそれどころではなかった。
「何とか小屋の中に入れたわね…」
「ちょっとドキドキした…!」
かくれんぼと言う訳ではないが、三人と一匹は見つからないよう体勢を低くして近くの小屋の中に入っていた。その中でもエインだけは何処か楽しそうにしていた。
「この匂い…食糧庫?レーヌの言う通り、山賊のくせして立派な木造建築の小屋まで用意してるなんて生意気ね」
隠れたのは山賊達の食糧庫だったらしく、辺りには恐竜や動物の肉が吊るされていたり、棚に乱雑に置かれたりしていた。
「取り敢えず一安心だけど、どうやって皆を助ける?」
「夜に実行するのは変わらないけど、それだけじゃバレる危険性があるわ。何かで注意を引きつけられれば…いや、それ以前に檻をどうするかね。鍵が掛かってるだろうし…」
自分達の身の安全は確保したが、脱出計画は今だに滞っている。そもそも問題が山積みだらけで本当に可能かどうか分からなかった。
「う〜ん…ん?…ねぇ、こんなのはどうかな?」
エインは小屋の窓から外を見てみると、パチパチと薪木を燃やす焚き火、山賊達の見張り台、山賊達の移動力である馬車、山賊に仕留められた恐竜の骨が目に入り、トランとレーヌに自身の作戦を話してみる
「…確かにそれなら注意を引けるでしょうけど」
「随分と大胆なことを考えるね」
作戦を聞いた二人はその内容に驚かされた。その作戦ならば山賊達の注意を引きつつも監視の目を奪うことが出来るのだが、穏やかなエインからは考えられないほどの大胆な内容だった。
「でも檻の鍵はどうするの?」
「それなんだけど、もしかして…これのことじゃない?」
「「あ…!」」
だが、残る問題として檻の鍵をどうするかだが、エインはトロオドンが落とした鍵束を見せる。これはあのモヒカン頭とスキンヘッドの山賊の所持品だった。つまりこの鍵束は…。
「後は脱出する方法が問題ね」
「そこは任せてよ!オイラは手先が器用だから鍵を開けておくよ!」
「それじゃあ…僕はキオナ達を助けに、トランちゃんも作戦通りにして!」
「オッケー、勝負は夜ね!」
砦から出る算段はレーヌに任せ、エインはトランと最終確認をし、互いに頷いて夜を待つことにする。
『グルルル…』
『グククク…』
辺りが夜の闇に包まれる直前、先程山賊を襲ったディノニクス達は獲物を骨と皮になるまで食べて満足し寛いでいた。
『ギャア!ギャア!』
ところが他の捕食者の匂いを嗅ぎつけたディノニクス達は慌ててその場を立ち去る。その直後に重い足取りが森の奥から聞こえてくる。
『グルルル…』
『ゴルルル…』
獲物にありつけるかと思えば既に骨と皮しかないためお預けとなる。
しかし食べられずに残った山賊の衣服の匂いを嗅ぎ取った捕食者はまだ獲物がいると確信し、サメのような尖った歯から涎を垂らしながら他の山賊がいる砦へと向かっていく。
『グルルル…ガオオオオン!』
しかしその後でアクロカントサウルスが森の奥から現れ、山賊の匂いを嗅ぐと意を決したように雄叫びを挙げて亡骸を力強く踏み潰す。




