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月明かりと夜桜
「あなたは…?」
月明かりに照らされ透き通った肌はこの世のものではないように思えた。
気の抜けた私の声をよそに、彼はしゃがみ込み私を覗き込む。
「君を助ける天使。」
そういい、私の反応をみてくすくすと笑いだす。
この状況についていけず、思考が止まる。
「…僕は、朔。」
彼はいつの間にか笑うのをやめ、彼は私に視線を合わせたまま微笑んだ。
「君は…?」
彼は、首を傾げ目を丸くする。
こちらの戸惑いを無視し、彼の純粋な瞳が私を映した。
「…私は…朔羅。」
普段なら初対面の見ず知らずの人間に自分の情報を開示することなど普段は絶対に無いが何故か言ってしまった。
午後18時過ぎ。
あなたと出会った。
同年代であろうことはかろうじてわかった。
ただそれだけの始まりだった。