現在、過去の記憶
「もう行くの」
そう問いかけたのは母だった。
時計の針は8時を指していた。
いつも同じ時間に家を出発している私。
この問いかけももう何度目だろう。
「うん。もう行くよ。」
私はいつものように言い返しもせず全て飲み込む。
母の望む回答を今日も完璧に返す。
「そうだったわね。」
母はそう言い返しながらごく普通の2段弁当を手渡しで渡してくれた。
「ありがとう。行ってきます。」
私は微笑みドアに手をかけた。
眩しい自由な世界が扉の一歩向こうに踏み出せば広がっていた。
そして、今日1番新鮮な空気を吸った。
とても澄んだ三月の空気が私の肺の中に入ってくるのが分かる。
通勤ラッシュの駅構内を抜け、満員電車に揺られて学校の最寄り駅に着く。
と同時に私はいつもこの辺で足取りが重くなる。
…その正体は友人。
私の真後ろから甲高い声が聞こえた。
振り返らなくても正体はわかる。
「おはよう‼︎」
彼女の甲高い声を朝から聞くたびに、ノイズを聞いた気分に陥る。
彼女は上部だけの人間だ。
…彼女はそういう人だ。
一度裏切られたから。
その考えを最後に視界がぐらついた。
『病気がうつる‼︎』
それは過去の記憶。
初めまして。
作者の雨夜柊佳と申します。
初めての作品で至らない点も多々あると思いますが、この作品を通して、救われない辛さ、息苦しさが主人公を通して読んでいるあなたが少しでも軽くなりますように。
陰ながらいつも私を支えてくださっている校閲をしてくださっている友人のsさんいつもありがとうございます。