10月7日 これから
時刻は、16時を過ぎようとしていた。放課後に俺は、佐藤とこの前のことを話し合っていた。俺も佐藤もあれから野球部には顔を出していないから、どうなってるか詳しくはわからなかった。
佐藤「あれから、来てるのか?」
俺 「いや、来てないだろ」
佐藤「心配だな?」
俺 「そうか?」
俺は、あの日の直江を見て、必ず戻ってくると確信していたのだった。直江は、そういう奴だ。
佐藤「心配じゃないのか?」
俺 「ああ。アイツなら、大丈夫だろ」
佐藤「お前がそういうなら、安心だ」
佐藤なりに、いろいろ考えてくれていたみたいだ。
俺 「悪いな、巻き込んでしまって」
佐藤「そんなことねぇよ」
俺 「お前がいなかったら、また変わってたかもしれないよ」
佐藤「そんなことないだろ」
佐藤がいなかったら、あの場はいい感じには終わらなかったと俺は思っていた。これで、アイツが帰ってきたらなおいいんだけど。そこまでは、上手くいかないだろうな。
俺 「いろいろありがとう」
佐藤「それより、お前野球スクールの方はどうなんだ?」
そういえば、最近行けてなかったな。
俺 「まだ、全然だよ」
佐藤「ちゃんとやれよ」
俺 「やりたいのはあるんだけどな」
今は、夜に体を動かすのがやっとだった。
佐藤「大学行っても野球するんだろ?」
俺 「ああ」
佐藤「大学に行けば、レベルも上がるしさお前もエースで投げれるかわからないだろ?」
俺 「今のままでは、絶対無理だな」
佐藤の言う通りだ。野球スクールにいるような選手は、本当に上手い奴らばかりだった。
佐藤「お前には、大学でも頑張ってもらわないとな」
俺 「なんでだよ?」
佐藤「だって、俺たちの代で、大学でも野球する奴なんていないぜ?」
まぁ、言われてみたらそうなのか。自分ではわからなかった。高校を卒業したら、当たり前に野球をしなくなるのか?俺は、そんなことを理解すらできなかった。この先もなんとなく、野球をみんなするもんなのかと思っていた。
俺 「そっかぁ」
佐藤「期待してるんだからな」
俺 「なんだよ、期待って」
佐藤「ハハハハハ」
思わず、笑ってしまっていた。たしかに、そうだな。おかしいな、なんかこの感じ。よくわからないけど、気がつけば俺たちは、あの日の頃のように笑いあっていたのだ。




