10月2日 その先
グラウンドから大きな声が響いていた。ノックをしながらみんな声を出している。キャプテンということもあり、直江は練習には出ていた。ひとまず安心といったところだろうか?ただ、直江は、テキトウに発言するような奴じゃない。これからのことを考えると、心配は変わらなかった。すると、俺の肩に手が当たった。ゆっくり振り返ると、そこには佐藤の姿があった。
俺 「なんだよ、結局来たのかよ?」
佐藤「来て欲しかったんだろ?」
俺 「ちげぇわ」
必死に抵抗はしてみせたが、近くに佐藤がいることはどこか安心だった。
佐藤「ちゃんと練習は行ってるんだな」
俺 「ああ」
今日は、ノックが終わった後にピッチャー陣は、ブルペンに入ると後輩から聞いていた。
佐藤「もし、直江が抜けたらこのチーム終わるな」
俺 「そうなんだよな。聖徳は、田中っていう1年もいるし。来年もいい選手いくみたいだぞ?」
佐藤「そうなの?」
俺 「聞いてないの?」
佐藤は、全く知らないみたいだ。
佐藤「聞いてないよ。来年はいい選手がいるのか?」
俺 「1番有名な選手が篠木蒼大って選手」
ポカンとしている佐藤を見ると、昔を思い出す。昔から、野球にはあまり興味がなくなんとなくやっている奴だった。佐藤が本気で野球と向き合っていたら、俺からエースを取っている可能性もあった。
佐藤「篠木かぁ。全く知らないな」
俺 「いや、聞いたらわかるよ」
佐藤「えっ?」
篠木は、聖徳高校BIG3の篠木七海の弟だ。たしか、今年は全国大会に出たんじゃなかったけな?この前野球スクールで噂になっていた。俺が、ゆっくり説明していくとなんとなく理解してくれたようだった。
佐藤「そんな上手いやつがなんで聖徳に行くんだよ?」
俺 「田中だよ、田中」
佐藤「田中がどうしたんだよ?」
また、俺は説明し始めた。どうやら、田中と篠木は、昔一緒にプレーした経験があり、その田中が聖徳にいるという理由で選んだという噂があった。
佐藤「じゃあ、今のうちから潰しとかないとな」
俺 「まぁ、そういうことになるな」
佐藤「俺は、直江も気になるけど、それ以上に気になる奴がいるんだよな」
誰だろう?直江以上に気になる奴って。
俺 「誰だよ、それ?」
佐藤「小坂響」
どこかで聞いた名前だ。頭の中をめぐらせた。




