10月1日 キャプテン
佐藤が助けてくれないんじゃあ、自分がやるしかない。ただ、どうすればいいかはわからなかった。俺は、河川敷からなんとなく、遠くを見つめていたのだ。何かを考える時は、いつもここに来ていた。この河川敷は、答えを授けてくれるようで、俺には必要な場所だった。しかし、俺の反対には川を挟んで既に誰かがいる。誰だろうか?俺は、周りを見ながら自分がどうすればいいか再考していた。
もし、直江に今会ったとしても考えは変わらないだろう。だったら、今会って話しても無理かもしれない。昨日、直江とすれ違ったがどこか沈んでいるように見えた。とても悩んだけど、俺はその気持ちを汲み取りたいと思い、声をかけることはしなかった。声をかけるかどうか、それは大きな差があることはわかっていた。俺も、ちょうど昨年同じような壁にぶつかった経験があった。
あの頃は、秋季大会で負けた後、練習試合にも負け続けた。そこに園田ともぶつかり、何もかもが上手くいかない時だった。ピッチャーとして打ち込まれ、チームメイトとも上手くいかず。苦しいから辞めようかどうか考えてしまったのだ。当然、周りに相談できる相手なんていない。だから、周りが俺の異変に気づくことはなかった。ただ、颯希だけは違った。落ち込んでいる俺を見てすぐに声をかけてきたのだ。正直、どう答えたらいいかわからなかったけど、自分が思っていることをすべて伝えた。颯希は、俺の話をすべて聞いた上で、ゆっくり話をしてくれた。颯希は、俺が野球をしてもしなくてもどちらでもいいと言ってくれた。ただ、急いで結論を出すのは辞めた方がいいとアドバイスをくれた。
ゆっくりと言われてもどうすればいいかわからない。いつまで待てば変わるのか?ずっと疑問だった。そんなある日、俺を元気つけてくれたのが、佐藤と直江だった。あの日、二人はどんな感じだったのだろうか?今ではもう覚えてない。たしか、直江が遊びに行きたいというからそれについて行ったという記憶だけはある。本来なら、野球部とすら関わりたくなかったけど、なぜか直江の言うことはしてあげたかった。あどけないアイツの愛嬌にやられてしまったのかもしれない。結局、その日に遊んだことによって、俺たちは再び夏の大会を目指すきっかけになったのだ。もし、直江が同じように苦しんでいるのであれば俺が声をかけないといけないんじゃないか?それが前年度のキャプテンの仕事じゃないかと問題提起をしたのだった。




