9月2日 面接
顔は強面だったが、思ったより緊張はしていない。事前に佐藤から話を聞いていてよかった。監督は、俺の履歴書を黙々と見つめていた。無言が10秒ほど経つと、俺に履歴書を返してきた。軽く会釈をして、俺は口を開いた。
俺 「よろしくお願いします」
監督「おう。ポジションは、どこだ?」
俺 「ピッチャーです」
絶対聞かれると思った質問に対して即答した。
監督「どこの高校?」
俺 「淮南高校です」
自信をもって答える。今年は、ベスト4。誇れる数字だ。
監督「淮南って、今年ベスト4だったんじゃないか?」
俺 「はい。そこでピッチャーさしてもらってました」
どんなことを考えているだろうか?
監督「なるほどな」
意味深な顔をしてきた。
俺 「‥‥」
話すまでじっと待った。
監督「ここで何をしたい?」
俺 「大学でも野球をやりたいと思ってます。少しでも上手くなれるならと思って来ました」
将来の明確なビジョンをぶつけてみた。
監督「そうか。自分の課題はどこだと思っている?」
質問と回答が次々と繰り返される。
俺 「自分は、どこにでもいるピッチャーです。だから、全てが平均なところが課題で」
これは、ずっと思っていた。平均だからこそ、弱いところには勝てるけど強いところには勝てない。
監督「自分の長所を見つけたいということか?」
俺 「長所じゃなくてもいいです。こんな俺でも勝てる方法がないか知りたいです」
監督は、顎をさわりながら、何かを考えているみたいだった。
監督「投げてないから、わからないけど。今度来た時に投げてみるか」
俺 「投げたいです」
別に誰かに勝ちたいとかそういうことじゃない。今の自分よりもっと成長したい。その想いだけだった。
監督「最近、投手志望も多いしな」
俺 「そうなんですね」
投手志望。これは、海美の春風のことをさしているのだろうか?
監督「じゃあ、次は6日後。そこで投げれる状態にしてこい」
この前考えていたシナリオ通りの展開だ。
俺 「わかりました」
監督「問題なかったら、今日の面談は終了する」
俺 「ありがとうございます」
6日後かぁ。簡単ではないけど、やれることはすべてやりたいと今のうちから思っていた。明日から、また別の楽しみが加わったのだ。




