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日常で世界を変える(湯浅編)  作者: mei


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8月26日 群馬北高校vs道和高校7

 やっぱり、自分がしていない野球部をみるのは、何かとても不思議な気持ちだ。ホントに引退したんだなと改めて気づかされた。マウンド上には、直江がキャッチャーに向かってボールを投げこんでいるみたいだった。俺たちも、ホントにあそこで野球をしていたのだろうか?それすら疑問だった。野球部を引退してから少しずつ、現実を突きつけられていた。勉強もしなければならないし、進路も考えないといけない。しかし、なかなかそういう気分にはなれなかった。


 ー8月20日ー 


 いよいよ投げるボールがなくなってしまった。ツーストライクスリーボール。バッターボックスに入った八乙女は、狙いを定めている様子だった。とりあえず、ストレートを待つしかない。コイツの技量があれば、簡単にスタンドまで運ぶことができるだろう。ただ、ここでもう一度変化球など読みをはずされる可能性もある。一方、ピッチャーの中川は、何を考えているかわからない。

 本来であれば、あそこで終わっていたのに。わざわざ、2番を歩かせて3番と勝負するなんて聞いたことがない。どこまでエゴイストなんだよ。再び、セットポジションに入り、キャッチャーとサイン交換をする。キャッチャーのサインに首を振ったあと、一度首を縦に頷いた。次が第9球目。大きく足を踏み出した。金属音が聞こえたが決していい後ではなかった。またしても打球は、ファールゾーンへ飛んでいく。次が10球目。あまりにも長く続くので最後まで集中力が続かないだろう。しかし、最後の瞬間を見ようとみんな必死だ。

 俺は、カバンからペットボトルを取り出し、口の中を水分で潤した。そんな俺とは対照的。マウンドにいる中川は、大量の汗をかきながら、バッターボックスの八乙女に投げていた。そろそろくるだろうか。自慢のストレートは投じられるのだろうか。ここまで、スライダー6球。チェンジアップ3球。ストレートは無しという状況だった。最後の決め球として投げてくるボールはなんだろうか?

 中川は、二塁ランナーを見ながら、第10球目が投げこまれた。八乙女は、イチニノサンでバットを出したみたいだった。しかし、残念ながら、金属音が聞こえることはなかった。次の瞬間、球場からは大歓声が聞こえてきたのだった。俺は、リュックを持ち立ち上がったのだ。まだ、歓声が鳴りやまないこのタイミングが適切かどうかはわからない。しかし、ここにいても仕方がない気がしたのだ。

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