7月21日 大森中学校
今日から、学校は、短縮授業になり午前中で授業が終わる。授業が終わると、部活動がスタートする。俺は、いつしか中学校のことを思い出していた。俺がいた大森中学校には、13人の野球部がいた。その中でも、高校で野球を続けているのは、俺以外では、たったの三人。
一人目は、聖徳高校の永谷満だ。中学校の時は、主に3番を打っていた。頭もよくて、ノリもいい。いつも野球部の中心人物だった。ただ、大の練習嫌い。アイツがまともに練習をしていることは見たことがなかった。だから、高校で野球をするなんて思ってもいなかった。そんな永谷が、野球部に入ったと聞いたのは、一年のGW頃だった。入った理由を聞くも、"なんとなく"の一点張り。俺が知らないだけで、ホントは野球が大好きなんだろうなと思わせるヤツでもあった。
二人目は、守田工業高校の友利弥喜だ。彼とは、小学校4年生から俺とバッテリーを組んでいた奴だ。ずっとバッテリーを組んでいるということもあってか、俺が投げたい球を常に読まれていた。永谷と違って大人しく、キャッチャーとは思えない性格。でも、打者の様子やチーム全体を見ており、俺以上に視野が広がった。聖徳高校に進学する学力はあったが、本人の希望で守田工業高校に進んだ。高校では、周りの推薦もあり、キャプテンをしているらしい。パワーもつき、今では、守田高校の5番を打っているとか。キャッチャーとしてだけでなく、バッターとしてもいつか、友利と対戦ができたらなんてことも考えていた。
三人目は、白峰工業高校の丹生遊だ。白峰工業高校といえば、今年の春。甲子園にも出場した強豪校。春は、レギュラーでは、試合に出ていなかったが、代走で途中出場し盗塁も決めていた。中学校時代は、一番ショートが定位置だった。彼の様な野球センスがある選手は、なかなかいないだろう。進学した白峰工業高校には、推薦やスカウトではなく、一般入試を受けて、部活動に入ってベンチ入りまでしている。夏の予選では、レギュラーになっている可能性もあるだろう。中学校時代から、物怖じしない性格で、先輩に対しても意見をたくさん言っていた記憶があった。その分衝突も多い。中学時代のバッティング問題も彼が引き金と言ってもいいくらいだ。
中学校時代を思い出しながら、授業を聞いていた。勝ち続けたら、みんなと勝負することもできるのじゃないか?そんな期待も膨らませていた。