8月14日 ブルペン
直江「お疲れ様です」
元気なさそうだ。
俺 「へこんでるの?」
昨日の大敗を受けて、俺はブルペンに足を運んでいた。
直江「はい。あそこまで通用しないとは思わなかったです」
たしかに昨日打たれたことはこたえるだろうな。
俺 「ハハハハ。そんな自分を高く見積もるなよ」
直江「でも、もっと通用すると思ったんですよ」
真顔でコイツは、本気のことを言っていた。
俺 「それは、わかるけど。認めろよ、現在地を」
直江「いやー、わかってるんですけどね」
何もわかってなさそうだ。
俺 「それが認められないと前に進まねぇよ」
直江「わかってますよ」
ピッチャーマウンドに穴を掘りながら、俺の話を聞いた。
俺 「頑張れよ」
直江「はーい」
間髪入れずに、直江は話した。
直江「それより、昨日の試合どこから見てました?」
俺 「最初から見てたよ」
食い気味に質問をしてきた。
直江「なんで俺の球通用しなかったと思います?」
俺 「直江は、なんでだと思うんだ?」
コイツがどのように、昨日のことを考えているか確認するために質問をした。
直江「俺は、コントロールだと思ってますよ」
俺 「昨日、あんまりよくなかったの?」
昨日の試合を見ていたが、打たれたのはコントロールのせいだとは思わなかった。
直江「はい。特に変化球がよくなくて。スライダーとかほとんど真ん中に入ってしまってて」
スライダーが真ん中に入ったとはいえ、あの程度の曲がりなら打たれても当然だろう。
俺 「それは、ヤバいな。でも、俺はそこじゃないと思うな」
直江の話はスルーする。
直江「じゃあ、どこですか?」
俺 「技術的な問題じゃないと思うよ」
ハッとした表情を見て、俺の方を見つめた。
直江「どういうことですか?」
俺 「そういうわかりやすいところじゃなくて」
あまり理解できていないみたいだ。
直江「メンタル的なところってことですか?」
俺 「ああ」
キャッチャーが遅れてやってきたみたいだ。
直江「んー」
キャッチャーの小島は、腰をおろした。
俺 「そろそろ、お前も本気になる時なんじゃない?」
直江は、グローブを前に出し、投げる合図を示した。
直江「そうですけど」
セットポジションに入り、ボールを投げ始めた。




