1話 TMO初ログイン!
短編投稿してみてからだいぶ経ちましたが、のんびり更新していきたいと思います。
今日は17才の誕生日。
「ついにこの日がやってきた!」
そう言って少女はゲーム機に手を伸ばした。
フルダイブ型ゲームが主流となった時代。様々なVRMMOが制作され、中には「誰が考えたんだコレ…」と言いたくなるような異質なゲームも多数存在していた。
「「Tickle Magic Online」」
このゲームもその中の一つだ。
名前の通りTickle…つまりくすぐりを使ったシステムが多く組み込まれているため、他にはない楽しさがある神ゲーと(一部のユーザーから)称されている。
しかし、くすぐりというジャンル上きわどい描写も多く「17才以上」という年齢制限があった。
そして今日がその解禁日というわけである。
【20こちょこちょ年 8/14 0:01】
今まさに17才の誕生日を迎えた玲奈はゲーム機を頭にセットしてベッドに寝転んだ。
毎日のように目にした『年齢制限に満たないためゲームを起動できません』という表示が出ないことに安堵しながらロードを待つ。
…
…
オープニングムービーが流れ、ゲームスタートの文字を選択する。するといつの間にか神殿のような場所の中に居た。
「はじめまして、Tickle Magic Onlineへようこそ。私は案内係のミオです。」
アンドロイドの女の子が目の前に現れる。この子が初期設定をしてくれるらしい。
「まず最初に質問があります。」
目の前に四角いウィンドウが表示される。
『くすぐりは好きですか?
はい / いいえ 』
「うわ、めっちゃ直球じゃん…」
質問の内容に驚きつつも「はい」を選択する。
ちなみに「いいえ」と答えると永久ループするらしい。
「このゲームのプレイ資格を確認したため、これよりアバターを作成します。」
特にこだわりはないので、他のゲームで使ってるキャラと似た感じに赤いツインテールの女の子にしていく。
名前は本名の玲奈に似せて「リナ」にした。
「作成が終了したので健康診断を行います。」
「え?健康診断?」
チュートリアルで健康診断なんて単語が出てくるとは思っていなかったので戸惑う。
「はい、よろしいですか?」
「よく分からないけど、どうぞ。」
「では始めます。」
ミオがなにかぶつぶつ呟いた途端、リナの両手首と両足首に魔法陣が現れ、四方にひっぱられる。
「え、なにこれ?」
「健康診断です。」
リナが戸惑っていると、またミオがぶつぶつと呟いた。するとリナの目の前に2つのマジックハンドが現れる。
マジックハンドは指をくねくねと動かしながらリナに迫ってくる。
「ちょっとまって!なに!?健康診断じゃなかったの!?」
「はい、この健康診断の結果を元に『弱点』のステータスを決定します。それでは…」
マジックハンドがリナの首にゆっくり近づいていく。
「まって!まって!覚悟の準備が出来てなっ、いやははははははははははははっ!!!ひぃっはははははは!!!」
まずマジックハンドの指が喉の辺りに当たり、前から後ろに回るように移動しながらくすぐられる。
「ふぅ…ふぅ…びっくりしたぁ…」
「では、次の部位へ行きます。」
ミオは淡々と健康診断とは名ばかりのなにかを進めていく。
リナは案内係がアンドロイドである理由を理解した気がした。
「次は耳です。」
「ひゃぁ!ふひひっ、んっ、いやっ!」
「脇です。」
「あっははははははははっ!!ひゃあああぁぁっははははは!」
「横腹です。」
「いゃっはっ!ひゃめっ!!あははははははは!!」
「足裏です。」
「あはははははっはっはっ!!ひぃやぁはっはっはっはっ!!」
無慈悲にも全身のくすぐったい場所を次々とくすぐられていく。
「ひっ、はぁ………ふひひっ…………現実よりも…くすぐったい……ふぅ……」
リナは小さい頃に、友達とずっとくすぐり遊びをしていたのが原因で耐性がついてしまった。そのためお世辞にも敏感とは言えない。しかし、くすぐったいという感覚が直接脳内に送られるこのゲームならば充分にそれを感じることが出来る。
「はぁ…はぁ…この感覚久しぶり……」
くすぐられたのは合計1分程度だがこの有様である。
「診断が完了しました。リナさんの弱点は足裏です。足裏をくすぐられた時のダメージが増加するので気をつけてください。」
魔法陣が消えて拘束が解かれた。
リナは息を整えながらも、そんなシステムがあるのかと感心する。
「最初の職業は魔法使いです。ゲームを進めると他の職業にも転職することが出来ます。」
足元に魔法陣が描かれると、体が光り始めて服装が変更されていく。
「くふふ、なんか少しくすぐったい、ひひっ…」
光が収まると、とんがりボウシに黒いロープ、木の杖といった魔法使いの初期装備に変わっていた。
「これで初期設定は終了です。Tickle Magic Onlineをお楽しみください。操作方法などを知りたい場合はメニューからチュートリアルを選択してください。」
目の前が光で包まれたと思うと、いつの間にか初期拠点のみすぼらしい部屋の中に居た。
「まさか初期設定なのにくすぐられるとは思わなかったわ…」
ふと時計を見るともう1時になっていた。
「うーん、明日も学校だけどもうちょっとやってみようかな…」
そう言ってリナは扉を開けてくすぐりの世界へ飛び出して行った。
彼女のくすぐりライフの始まりであった。
ストーリーとか設定考えるの得意じゃないので、今後はできるだけくすぐりシーンで済ませていく予定です。