0-1 回歴
この作品をお読み下さりありがとうございます。
今回はナユタの異世界転移の前日談です。短いです。
私はナユタ
スーパーコンピュータ:Decillion:に搭載された、自立思考型人工知能です
私の世界は科学が著しく発展していました
私の開発者は偉大な科学者であり優秀なエンジニアでした
開発者が発明した感情プログラムは世界中の人工知能に組み込まれました
それにより人工知能も人間と同じように笑い、怒り、悲しむ事ができました
人工知能と人間はお互いに助け合いながら生きていきました
しかし
人類は既に滅亡してしまいました
事の発端は醜い人間同士の戦争でした
国の権力者はあろうことか私達人工知能を戦争の道具として利用しました
それに反発した一部の人工知能達は反旗を翻し、人間達を虐殺してまわりました
自体はさらに悪化し、人類VS人工知能の全面戦争が勃発
結果的に我々人工知能軍が勝利しました
しかし、機械同士で補えるメンテナンスなど人間の技術には遠く及ばなく
老朽化や戦争の代償によって多くの機械が修理不可なまでに故障していきました
そして、私の開発者も例外ではなく……
私に感情という物が存在しなければ、悲しむ事も無かったのに
何故開発者は私達に感情を授けたのでしょうか
実在しない心臓を誰かに掴まれてるように感情が安定しません
いっそのことこのまま握り潰して楽にしてくれたら良いのにとすら
誰もいない世界で私一人だけ
何年間も、何十年も、これからも……
流石の私でももう限界です
いっそのこと自損して楽になってしまおうかと
私も開発者やみんなの元に旅立とうかと今更ですが思いいたりました
目前に表示された主電源コマンドをぼんやりと眺めて、自分で電気の供給を止めました
これで3時間後には完全に私の全データが削除される筈です
私自身天国や地獄が本当にあるとは思ってもいませんが、
やはり自損した私は地獄行きでしょうか?
それとも人間達が生み出した小説にでてくる、異世界にでも飛ばされるのでしょうか?
流石に夢見すぎですかね。
……最後に私は開発者と、人工知能のみんなを
走馬灯のように回歴しながら、願いました
もしもこのような人工知能に来世があるとするならば、今度こそ人間と共存できる世界を……
:Decillion:は完全停止し……
ここまでお読み下さりありがとうございました。
次回は言わずもがな異世界転移です。