1ー23i 少女達の秘事 (GL展開苦手な人は読み飛ばして)
【注意】
今回はヒロイン二人の攻めた百合回です。
R18にならない程度に攻めてますが、万一運営から指導受けたら、ここの部分を消してノクターンの短篇として上げ直すなりしますので何卒。
これが自己的に納得してるので本編を削って全年齢向けに改編はしない……かな。
女の子のイチャイチャシーンなんて恥ずかしくて見れないって人は、今のうちにブラバするなり読み飛ばすなりしてね!
……GL無理な人はそもそもここまでこの話読まんか(;´∀`)
私とコルは王都の城下町にあるとある宿屋にチェックインした。
今後パーティ用の服を購入する大きな出費が控えている事もあり、ハジメが入院している間は一泊600キラの比較的安い宿屋の同じ部屋に泊まっている。
だが、最低限の夕食は付いてくるし店員の接客態度も良好であり、私達は悠々自適に羽を伸ばしていた。
最初こそ受付の人に「えっ? 本当にあなた達がここに泊まるの?」と何度も聞き返されたが、今はすっかり聞かれなくなった。
かわりに変な子達という目で見られてはいるが、他者の偏見で狼狽えるような私達ではない。
ロビーには妙にカップルが多かった印象だが、それ以外は至って普通の良い宿だ。
コルトと一緒にシャワーを済ませ、お決まりの水色のネグリジェを纏ってベットの上で大の字になる。
水気を含んだ茶色の髪は艶やかで触れたベットのシーツをほんのりと湿らせる。
「……ナユちゃんただいま」
近所の夜間も開いてる飲食販売店で夜食を買いに行っていた黄色のもふもふパジャマ姿のコルトが帰ってきた。
小瓶に入っているサワーカクテルと紙で軽く巻かれたダッキーチキンが二つずつ、シンプルな紙袋に入っている。
私のいた世界ではお酒は大人しか買えないルールがあったけど、イルタディアでは金さえあればコルや私でも普通に買えてしまう。
ある意味法整備が緩いだけともとれるし、治安が悪いだけともとれる。
事実、前国王の悪政の影響で王都の治安は最悪らしい。
ここの宿屋を探す途中に遭遇したけど、まさか奴隷市を堂々と大通りで行うとは思ってもいなかった。
私達を性奴隷にするとか言い出して大柄の男達が襲いかかってきたから、あっさり返り討ちにして追い返してやったけどね。
それはそうと、ケシアさん達みたいな見た目と実年齢が乖離している人達が多いから確認が面倒臭いと言う側面もあるんだろうな。
「お帰りコル」
「はい、どうぞ……」
「うん、ありがとう」
私の隣に大人しく座ったコルは、私にカクテルとチキンを渡してくる。
早速瓶を開けて中身をちびちびと飲むと、すぐに心地よい惑いが襲ってくる。
妖精の宿で知らされずに飲んでしまったスイラ酒の一件以降、すっかり私はお酒に嵌まってしまった。
こんな小さい私がお酒を飲むのは変だと思うかも知れないけど、厳密に言えば私は人工知能。
前の世界で開発されてから20年は現役で活躍してきたのだから、とっくの昔に人類の成人ラインは越えている。
「どうしたのコル? ハジメのお見舞いに行ってから元気が無いけど、大丈夫?」
そういえば今日は毎日の様にやっていた入浴時のふれあいもやっていなかった。
単純に今日はコルがそういう気分じゃ無かったと判断して、此方から求めもせずにそのまま入浴を済ませてさっさと出たのだが、やはり何か悩みでもあるのだろうか。
「……怒らないで聞いてくれますか?」
ビクビクしている様子のコルは、私の方へくるりと向き直る。
その反動で黄金色のロングヘアーがふわりと靡き、シャンプーの良い匂いが部屋中に舞い散り、私の嗅覚を悪戯に惑わす。
「うん。絶対に怒らないから言って」
「もしかしてナユちゃんって、エリシアさんやハジメさんが好きなんですか?」
不安そうな眼差しを向けて彼女は少しよそよそしく聞いてきた。
私は少しだけ悲しくなった。
コルと約束しちゃったからもう怒れないけど、本当だったらハジメみたいにビシッと怒り散らして糾弾してやりたい。
「……聞いてたんだ。エリシアとの会話」
「ええ。お二人があまりに仲良しそうだったので、駄目だと分かっていたんですけど、盗み聞きしてしまいました。悪い子なんですよ、私って」
「ううん、いいよ。別に隠すことでもないし、言わないで行った私も悪かった。エリシアはただの昔一緒に冒険しただけの友達だから。彼女とはそんなやましい関係は持ってないから安心して。っあむ」
ダッキーチキンをむしゃむしゃと味わいながら、私はコルトに弁解をする。
噛む度に溢れ出す肉汁がジューシーで酒の摘まみとして最高の組み合わせだ。
「じゃあ、ハジメさんにはあるんですね? やましい気持ちが……っぷはっ!」
コルは獲物を引き当てた釣人の様に鋭く動き、私の言葉の文を素早く指摘しながら、カクテルの瓶をひっくり返しラッパ飲みしていた。
その勢いに取り憑かれたかのように、ダッキーチキンをワイルドに噛み千切る。
指についた脂を舌で舐める様はちょっとはしたないが、それ以上に色っぽかった。
透明な線が彼女の口から一瞬大きく伸びては、すぐに消えてしまう。
こんな大胆な一面を見せるのは私と二人っきりの時だけだ。
この姿を観ると、やっぱりコルは可愛いなって瞬時に再確認できる。
「……うん、好き。私はハジメの事が好き……なんだと思う、多分」
「ふふふ、人工知能もそうやって答えをぼかすんですね。私達神様みたいに」
ほどよく酔いが回ってきたコルは、いつにもまして可愛い笑顔を見せた。
私も余ったカクテルを一気に飲みきって、テーブルの上に空瓶を置いておく。
ダッキーチキンをハムスターのようにカジカジとかじり、ご馳走さまをした。
「最初はね、ハジメに何の感情も抱かなかった。ただこの世界の事を詳しく知っている、私とコルの代わりに戦ってくれる仲間……、ううん、そんな良いもんじゃない。きっと私の本心はもっと残酷で、利己的なんだ。私がやってる事はあの奴隷商人達となんら変わらない」
コルは私を朧気な目差しで見つめながら、小悪魔の様に不敵に微笑んた。
私に悪戯する直前の、悪巧みを企んでいる時の顔だった。
よく懲りないよなぁと思いながらも、私は御構い無しに一人語りを続ける。
「奴隷が欲しかったんだ。私の言うことを馬鹿正直に聞いてくれて、命を捨てても私達を守ってくれる、そんな都合の良い奴隷が。事実、初めてあった時のハジメは鼻を伸ばしてすっごくだらしなかったし、少し優しくしたら後先考えずにホイホイと私についてきてチョロかったし。正直に言ってハジメじゃなくても条件が揃えば私は誰でも良かったんだと思う」
「ふうん、今までナユちゃんって優等生だと思ってましたけど、意外と悪い子だったんですねー。私と一緒です」
パジャマのボタンを一つづつ解きほぐして前面をはだけさせる。
申し訳程度にレースのあしらった黒色のブラジャーをつけただけの、あられもない姿が視点の定まらない私の瞳に眩しく映る。
ブカブカのズボンからちらりと見えるガーターベルトがとてもエロい。
私は別に今更彼女の裸についてどうこう言うつもりはない。
いつも二人で湯船に浸かっているのだから、彼女の下着姿は毎日みている。
だけど、ベットの上で彼女の健康的な美肌を拝むのは今回が初めてで、何処か罪悪感を覚えてしまう。
謎の高揚感を必死に隠すため、努めて冷静に話を進める。
「だけど、今は違う。ハジメを見るとモヤモヤする。そのモヤモヤを晴らすためにハジメには色々と意地悪もした。神遊びの時だってそう。本当はあのままハジメを斬り殺すつもりでコルを振ったの。だけどやっぱりモヤモヤが邪魔をして、結局手だけを切り落としたの。ハジメのあの醜い姿が、まさに昔の私その物だったから。見るに耐えれなくなって、ハジメを殺して何もかも無かった事にしたかった」
コルはただ静かに聴きながら、私の肩に艶のある両手を優しく置いた。
撫で払うように両肩をなぞると、重力に逆らえ切れなくなったネグリジェの肩紐がストンと落ちる。
私の膨らみの乏しい胸がコルに曝され、恥ずかしさで顔が火照っていくのを感じる。
備え付けの暖色系の光電玉の影響で私達の肌がより婀娜やかに映える桃色に彩られ、自身の視覚機能が故障したのではと錯覚しそうになる。
成程、今日はこういうプレイなんだと納得してしまう私って、やっぱコルに洗脳されてしまってるんだろうな。
そりゃそうだ。
コルと契約した一年間の間、毎晩私とコルはこうやってふれあいをしているのだ。
普通だったら嫌がったり、逆らったりするのに、寧ろ私はコルの次の行動に身を委ねてしまっている。
確かにベットの上はバスルームとは違って非日常感が演出されてちょっと新鮮だ。
まるでいけない事をしているような背徳感が、快楽へと昇華してくれるのだ。
淡い期待で心踊らせながら、私は更に会話を続ける。
「だけど一旦は無くなってもまた暫くするとモヤモヤするの。エリシアがそのモヤモヤの正体を教えてくれた。私は恋しているんだって気づかせてくれた。だから私は……」
「……ナユちゃんの裏切り者!」
「へっ?」
コルは急にヒステリックに声を荒げ、私をベットのクッションへと強く叩きつけた。
すっとんきょうな顔で、晒された自身の起伏の乏しい場所を隠すことも忘れ、自分に初めて感情を荒げた彼女の顔を見つめる。
隣の部屋から静かにしろと言う合図だろう「コンコン」と壁が叩かれる音が鳴る。
だけど、私はコルの怒った原因を速く解決させたかった。
それ以外の音は全部ノイズにしか聞こえなかった。
「……えっ? 私が恋をしたら駄目なの? そんなのおかしいよ!」
せめての強がりで言葉だけは立派に言い返せるけど、こんなにコルにされるようなままでは説得力なんて無い。
「これまで一年間ナユちゃんと一緒にご飯を食べたり、モンスターを倒したり、お風呂に入ったり、一緒にベットで寝たり、ずっと一緒にいたじゃないですか! それなのに……」
「それは……私達は親友だから……んっ、くる……しい……んぁっ」
今にも涙が溢れそうな直前の顔でコルは抱きついてきた。
お互いの体温がお互いを温め合う。
彼女の立派な胸が私のまな板に強く押し付けられ、意図せず矮声が漏れ出した。
「私はナユちゃんの事を愛してたんです! ただの契約神器と憑代マスターだけの関係ではなく、親友の立場でも全く足りません! たった一人の恋人として愛してたんです! ナユちゃんがハジメさんを愛するよりも、もっと、ずっと、たっくさん!」
勿論私だってコルの好意自体にはとっくの昔から気付いていたよ。
しかし、その好意はあくまで同調シンクロの効果による補正効果だとばかり思っていた。
「……ごめんね、コル。ちょっと考える時間を頂戴」
これが今の私に導き出せる最適答だった。
コルは何も言わず抱き締める手を放してくれた。
*
ナユタが……否、彼女の人工知能を搭載した日本が生み出した最高傑作にして最終固体のスーパーコンピュータ『:Decillion:』……の、厳密に言えばその試作機プロトタイプで試験的にメインサーバー及びユーザーのアシスタントAIとして、サービス開始からサービス終了までの8年間長らく利用されていたVRMMOこそが、一躍世界中で大ヒットし累計10億人以上のユーザー数を叩き出した『イルタディアオンライン』(略称IDO)だ。
このゲームの宣伝文句は『あなたは神と契約して、新世界の英雄となる』と言うよくありふれた内容だが、その分かりやすいシンプルさ故により多くのプレイヤー達の購買意欲を煽ったのはいうまでもない。
そのIDO独自のシステムが、特定の武具は神様の魂が宿っていると言う設定の『契約神器』。まあこれだけならば他のVRMMOゲームにもごくごくありふれている内容ではあるが、他と決定的に異なっていたのは契約神器は“人間態„と“武具態„の二種類の形態を臨機応変に使い分けれるという点だった。
コルトで例えるならば、“人間態„では精霊術を魔力を必要とせずに自在に操る美少女女神、“武具態„ではばかでかいが切れ味も凄まじい大剣『クリフォニア』となる。
戦況によって器用に使い分けるのも、“人間態„一筋で一緒に冒険するのも、“武具態„をひたすら使い続けるのもその人の自由である。
入手条件がそれなりに酷ではあるものの、やり込んででも『契約神器』を最低一つでも手に入れる価値は十分にあった。
ただし、コルトとゴトクはナユタの知っていたIDOには存在しなかった。IDOに元から存在しておりイルタディアに転移された契約神器は“旧約神器„となるのに対し、現在のイルタディアで新たに生み出された契約神器は“新約神器„となる。
つまり、IDOの世界から既存の契約神器を持ち込んだ転生者の場合は“旧約神器„、イルタディアで新しく契約神器をゲットした場合は“新約神器„と分類されるのだ。
そして契約神器のやりこみ要素として、リリース後日に大型アップデートの一環として追加された隠しパラメータこそが『同調』であった。
同じ契約神器のみを装備し続けてひたすらモンスターを倒すことで、武器の攻撃性能に補正がかかり、他の武器を装備してモンスターを倒すとリセットされると言うものだが、カンストするまであげて漸く2割攻撃力上昇と微々たるものだ(ゲームバランスを崩壊させない為には致し方無いが)。
当然これだけでは大ヒットする訳もない。
同調シンクロの本当の真価は、数値は“人間態„の好感度と直結して変動するというバグである。
つまり、例えば可愛い女の子の契約神器を苦労してゲットさえできれば、あとは同調シンクロをカンストさせるだけでプレイヤーの好感度が常にMAXな契約神器の女神を自分の装備に出来るという訳であった。
当然それはイケメンの契約神器でも適用されるし、人外の見た目をした契約神器だろうが同じであり、おまけに別の武器を握らなければずっと好感度が上昇していくのみだ。
この不具合がとあるSNSで拡散されてから、すぐに世界中のヘビープレイヤーが自分の好みの契約神器を血眼になって厳選し初めて、新規のユーザーも大量に入ってきて、月間平均売り上げもサ終ラインを行ったり来たりしていた物が、ランキング上位10位以上にまで跳ね上がった化け物タイトルとなった。
この事態が表沙汰になった開発・運営会社の『セフィラゲームス』は、本来予定していた不具合の修正を中止して、公式SNSにてサプライズでこっそり入れた隠し仕様だと説明した。
今更不具合なので削除しますと発表したら、間違いなく会社の信用が無に帰して倒産してしまうと上層部が判断し、不具合と言う事実すらも隠蔽してしまった。
なので同調の好感度システムは普通の仕様だと勘違いされたまま普及し、イルタディアでも全く同じ現象が起きていたのだ。
だが、“旧約神器„の場合はそれで説明がすんでも、バグの産物でしかない恩恵が後発の“新約神器„に本当に適用されるのだろうか?
潜在的な思い込みに惑わされているだけなのでは無いのだろうか?
*
やっぱりちょっと強引すぎたかなと今更ながら後悔する。
酒の勢いを借りてナユちゃんを押し倒してしまったが、酒が入ってもやはりナユちゃんは人工知能だった。
ひょっとしたら私の事が嫌いになっちゃったんじゃないと思うと、酒の酔いなんてすぐに覚めてしまった。
「……やっぱり変ですよね。女の子どうしいちゃいちゃするなんて。ごめんなさ……んぁっ!?」
しかし、彼女は逆に私をベットに倒しこんだ。
四つん這いになって私の上に跨がり立場が逆転される。
立ち上がった事で腰に留まっていたネグリジェが脚にまで脱げ落ちて、清楚な白のショーツが露になる。
「私分かったんだ。IDOの世界とイルタディアの決定的な違いが」
「違い……ですか?」
「この世界には『同調』という概念なんて端から存在しなかったんだ」
「? どうして分かったんですか?」
私はナユちゃんをイルタディアへ転生させた張本人だ。
神様は召喚した人間の前世を全て知る事が出来る特権を持っている。
つまり、ナユちゃん本人でも分からないような秘密を、私だけが知っている。
「思い出したんだよ。IDOの黒歴史を。証拠の殆どが消されてたから、流石の私も手間取ったけどね」
その機密事項は『電脳図書館』には入力されてなかった筈。
まさか、今のやり取りの間に私の記憶から直接データを奪還したとでもいうのか、ナユちゃんはやらしい体勢のまま私を見つめる。
「単純にこの世界に契約神器がたまたま存在して、IDOのプレイヤー達がこの世界にこぞって放り込まれたから皆が勝手にあるものだと考えてしまった。あたかもIDOを忠実に再現した異世界に転生されたんだってね。つまり、ミスリードだったんだよ。強くなったと勘違いしてたのは単純に私が成長していただけで、『同調』は全く関係が無かった」
「それって結局どういう事なんですか?」
「コルの私への愛は本物だと言うこと。『同調』によるパラメータでコルの感情を操作した、偽りの愛じゃ無かったの」
私は思わず嬉し涙を溢した。
漸くナユちゃんを振り向かせる事が出来たのだから。
だけどナユちゃんは幼い顔を愉悦に歪めていた。
「……認めて貰えて嬉しいですナユちゃん」
「それだけ? 他に何かあるんじゃないの?」
「……じゃあ、今夜は一緒に寝てくれませんか? ナユちゃんと肌と肌で温もり合いたいんです」
「……分かった。だけど一つだけ約束してくれる?」
「何でしょうか?」
淀みの無い瞳に映っていたのは、恐怖にも似た感情。
生まれたての小鹿の様に身を震わせている健気な彼女の姿に、私の嗜虐心は逆撫でされていく。
「私は確かにコルが大好き。……だけど、一方ハジメに引かれている私も心の中にいるの。あいつの前では絶対に言わないけど」
「……分かってますよ。ずっとナユちゃんの顔を見ていましたから」
「将来ハジメを、もしかしたら他の誰かをコル以上に好きになるかも知れない。そんな強欲な私を受け入れた上で、このままの私を愛してくれるの? まさかゴトクに斬られて死にたいなんて言わないよね? ハジメを殺したりなんかしないよね?」
泣きすがる様に言う姿を見て、いっそ馬鹿馬鹿しくなっちゃいました。
私がそんなメンヘラみたいに見えるのですか?
「ふふふ、ナユちゃんは心配屋さんですね。だけど大丈夫。そのときはちゃんと現実を受け入れますよ。誰を好きになろうとも、どんなナユちゃんでも私は優しく抱き締めて上げます。人一人、いや、機械一機すら救えない神様は神様失格ですから」
「ありがとうコル」
「……だから、私の事をもっと愛してください。別にずっとなんてワガママは言いません。ナユちゃんが正式な恋人を決めるまでの間、その間だけでも私を愛して下さい。将来の恋人とのふれあいの練習だと思って。ナユちゃんの中に私の全てを記憶として残してください」
「……うん。分かった」
隣の部屋からドンドン叩かれる音もいつしか無くなっていた。
静かになった部屋の中で、パチパチと不思議な香りのする香炉が焚かれる音だけが奏でられ、部屋中が心地好い煙に包まれ満たしていく。
無垢なナユちゃんの可愛らしい嬌声が、私の心を満たしていった。
私もそれに応じようと喘ぐと、ナユちゃんは尊い微笑みを浮かべてくれる。
今宵はまだ始まったばかり、私達の恋も始まったばかり。
互いに身を絡ませ、欲して、求め合う。
神様も機械も根本は一緒、欲望から生み出されるのですから。
ここまでお読み下さりありがとうございます!
次回、退院したハジメを出迎えていたのは……倒した筈の王国騎士団総団長だった。
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