表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
3/12

1-2話 僕のモテ期からの……


 この子は今何て言った?


「公爵さま?」


「はい。お父様イワン=アガーテ=トライアルは公爵の爵位をもち私は次女です」


「たっ……助けに入るのが遅くなり申し訳ございません!」


「ふふっ……問題ないわ。優しいのね」


 あわわ……公爵家の次女だったのか。

 この絡んでいた大人たちも不運だな。

 恐らく良くて国外追放や奴隷落ち、死刑や拷問の可能性も高い。

 そして、助けるのが遅れた僕ももしかしたら……


「ゼルねぇ! 無事か!?」

「ゼルお姉ちゃん!」


 同い年くらいの深緑の短髪の男の子と、ピンク色のドレスにゼルさんと同じく水色でショートヘアの女の子が駆け寄ってくる。


「ええ。私は無事よ」


「ウソだよ! 殴られてたじゃん!」


「えへん! 実はガードしていたので効いていません! ほら見てごらん殴られた跡もないでしょ?」


「うーん……ほんとだ! でも、確かに殴られてたんだけどなーってか、そいつ誰よ?」


 男の子が指を差してきた。

 人に指を差すんじゃありません!


「こらっ! ロニ! 指を差さないの!」

「いでっ!」


 ゼルさんにチョップされた。


「この子は今日から数日お世話になるシルフィル家の次男マキナ=シルフィルさまよ。私たちを助けてくれたの」


「ふうん……歳いくつよ?」


「僕は7歳です。もう少しで8歳になります」


「なんだよ! 同い年じゃん!」


 にかっと笑うとロニは肩を組んできた。


「ありがとな! ゼルねぇも妹のクレアも助かったわ! 大人の人呼んできてくれて助かったよ! 俺のことはロニって呼んでくれ!」


「うんっ! よろしくロニ! ……?」


 ……ん、なんだ? 

 裾が引っ張られてあれ?


「……クレア……ありがとうございます」


 そこにはモジモジしている可愛らしい小動物のような女の子がいた。

 かっかわいい!

 でもここはクールにいこう!


「怪我はないですか?」


「うん。大丈夫」


「なんだなんだ~いい雰囲気出しちゃってー! まだマキナの兄貴になるのは早いな」


「ん~!」


 クレアがロニのことをポカポカ叩いている。

 かわいいなぁもぉ~


「マキナさま。引っ捕らえたこいつらどう致しますか?」


「ひとまずは牢屋にお願いいたします! 公爵さまとお父様が話合ったあと決めます」


 とりあえずは屋敷に戻ろう……

 

……


……



「いや~、マキナ君! 我が子どもたちを救ってくれたことを感謝する!」


 アガーテ公爵家の当主であるイワンさまは僕の手を握り感謝してくれた。


「流石はマルス先輩の弟さんですね」


 イワンさんの横から声を掛けて来たのはイワンさまの嫡男であるロインさまだ。

 ロニたちのお兄さんでアガーテ公爵家の長男である。


「いえ、僕はあくまでも周りの騎士を呼んだまででございます。激励は彼らに掛けていただけますと幸いでございます」


「マキナ、黙ってイワン公爵のお礼を受けなさい。無礼にあたるぞ?」


「まぁまぁ、ガルド辺境伯。マキナくんは今回のことて傲ることもない素晴らしい子じゃあないか。うちの子たちにも見習ってほしい……いや、流石勇者候補だったな」


「……まだ、わかりませんよ」


「父上、マキナくんは勇者なのですか?」


「ああ、ガルド辺境伯の第2婦人であるミラ婦人が産んだ際、その場は光で包まれた……【女神の啓示】というやつだ」


「……であればよいのですが、双子を出産したので来年の【祝福の儀】まではどうなるのかはわかりませんよ」


 【祝福の儀】とは8歳になる、もしくは8歳を向かえる歳の子どもを街の協会に集め祈りを捧げる。

 すると14柱の女神の誰かから祝福、属性を与えられることらしい。


 通常1人につき1柱の女神さまから属性を与えられるのだが、僕は勇者だから既に【光・武・炎】の女神さまから力を貰えることは知ってる。

 むしろ、8歳からという経緯があるため力が使えることは伏せている……

 【武・炎】はまだ使えないけど……


「なるほど……ガルド辺境伯。よろしければ私をマキナくんの双子の姉であるティオさまとの許嫁にさせてください」


「なんと、ロインはそれで良いのか? まだ、本人とも対面してないではないか?」


「一方的にではございますが私はティオさまは存じております。まぁ、偶然部屋の窓の外を見たら一生懸命に剣で稽古をつんでいる姿を見かけまして……」


「私としては嫡男であられるロインさまに貰って頂けるのはありがたいですが……良いのですか? あれは少し野蛮な部分がございますが……」


「いえ、ひた向きな姿に私が惹かれたので是非に……」

 

「それでは決まりですな。ガルド辺境伯」


「そうですね。イワン公爵」


「まさか尊敬するマルス先輩がお兄さんになり、マキナくんは弟になるとはね」


「そうですね。ロインさま。奇妙な繋がりですね」


「おやマルス先輩? 学園と同じ様に接してくださいよ。学園では身分の差のルールはなしですが外では~といいますが私は関係なく対応してもらいたいです」


「……わかったよロインくん。だが、僕は先に卒業するがそうなったら格式を守らせていただくよ」


「はい。それで問題ございません」


 マジで?

 ティオがロインさまの許嫁に!?

 慎みがなく、暴力的で家族誰1人も気を許さずおしゃれや学問よりも鍛練が好きなティオを?

 

 僕だけではなく内心この場にいるロインさま以外全員が驚いたようだ。


 そして、何やらゼルさまとクレアさまも前に出てきて


「お父さま……それでは私はマキナさまと許嫁にしていただきたいです」

「……私も……」


「ゼルねぇ!? それにクレアも!?」


 えええええええええっ!

 それもマジですか!?

 ロニも驚いているし!

 確かに、僕が助けた形になったけど実際は家の騎士たちだし!

 でも、もしかしてフラグが?

 やはりこれは異世界あるあるなのか?

 助けたら恋に落ちるっていう簡単な方程式のーーーーー……


「それは無理だ」

「無理でしょうな」


 はい?

 イワン公爵、お父さまの声が重なる。

 ティオの玉の輿と僕のハーレムルートが確定したのかと思ったのだけど……

 違うの?


「なっ! どうしてでしょう?」


「決まっている。身分の差だ。お前らはまだ殿下や王宮の方々と繋がる可能性もある。それに、マキナくんは嫡男ではないから学園卒業後は順貴族になる。あとは説明しないでもわかるよな?」


「……はい」


「マキナくん。私は君を評価はしている。辺境伯、そしてマキナくんには相応の御礼金を贈る予定だ。しかし、それが普通であり限度である。人生そう甘いものではないのだよ。利口な君なら理解してくれるよな?」


「マキナ、身の程を知れ」


「はい。お父さま」


 ですよねー……

 いや、ダブル許嫁を期待していない訳ではなかったです。

 お二人とも可愛いし将来はとても美しくなること間違いないさ。

 でもなー


「まっ、マキナにゼルねぇとクレアはもったいねぇって! だが、俺は友達、いや親友になってやるよ!」


「嬉しいです」


 ロニが肩を組んできて笑いかける。

 それを見たその場の全員が笑う。

 ゼルさまとクレアさまを除いた……



……



……




 イワン公爵とお父さまはまだ談笑を続けていたが夜も遅く、僕は部屋に戻った。

 湯浴みをしたあとの寝間着で別途にダイブする。

 疲れた……気を張り過ぎた……


「あぁー……疲れた……」


 独り言も出てしまう。

 

 こんこんこんっ!


「はい! 入って大丈夫です~」


 マリアお姉さまだろう……

 僕の婚約の話が出た時、話には入って来なかったが鬼のようなプレッシャーを感じたから……


「失礼します……ね」


「えっ!? ゼルさま!?」


 なんで会合は終わったはず!


「お話ししたいことがございます……あの件につきましてちゃんとした説明をして頂きたく存じます」


「あの件と申しますと?」


「光魔法【ヒーリング】についてです。あなたは7歳で祝福はまだですよね? 女神さまから加護を頂き魔法やスキルを得られるようになるのは属性を貰い且つlevelを手に入れてからです。女神の属性加護を貰ってもlevel0に到達できないものも多い中どうしてなのですか? やはり、あなたは勇者なのでは……?」


 しっ、質問責めだ!

 どっどうしよう……

 よく考えてみると【ヒーリング】で傷を治したことは誰にも言ってない色々なお話を呼んだ経験上このタイミングで裏切ることは少ない!

 むしろ、ある程度説明した方がお互いによいのではないだろうか?


 よし。この人には説明しよう。


「はい……僕は女神さまより力を授かっております【光の女神アストライア】さまからです。これから話すことは他言無用でお願いいたします」


 そうして僕は一握りのことをゼルさまに打ち明けた。

 勇者の使命を受けたこと、能力を貰ったこと、8歳の祝福の儀式まで他の力は使えないかもしれないことなど……


 ゼルさまは始終真面目に話を聞いてくれた。


「話してくれてありがとうございます……そんなに隠していた力を初めて人に使ったんですね。やはり、あなたは優しい……」


「いえ、そんなことはないです。ゼルさまこそロニやクレアさまを守って前に立ったじゃないですか! ……でも力は使わなかったんですか?」


「私は10歳で祝福の儀式は終えているので力はあります。【(いのち)の女神フォルン】さまの加護を受けようやく、level0でスキルを得ました。一応、【ハーモナイズ】という魔法で自分の声の届く範囲の生命を感知できるという戦闘には向かない力よ。でも、何とかして弟妹を守りたかった。だからそんなときに助けを呼んでもらい、優しく治療してくれたあなたをもっと知りたいと思ったのです」


 ゼルさまがそっと僕の頬に手を当ててくる。

 これは!

 来るっ!

 ファーストキスなのでは!?

 でも、公爵家のお嬢さまが結婚前にこんなことをしてよろしいのか!?

 確か、マリアお姉さまとゼルさまは同い年のはず!

 うわっ! 

 顔が近づいてって凄いいい匂いがする!

 髪の毛もよりキレイに見えるし、何がなんだか!


 ついに! ついに! キッスが来てしまうのかーーーー!

 



 その時、またノックの音がした。

 ……確かに来た。

 しかし、これは……


「マキナ起きてるか? 入るぞ」


 マリアお姉さまっ!? 

 この状況は不味い……絶対修羅場になる!

 ちょっと待って! と言おうとしたが既に時は遅く……


「……あら? ゼルお嬢さまがどうしてマキナの部屋にいるのかしら?」



 オワタ……







つづく

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ