起
初です。
頭の中に最終話までがなんとなくイメージはできているんですが,まとまりのない構成になっているかも知れません。
子供の頃に思い描くカッコいいヒーローと,少し成長した男の子がよく妄想する,厨二病めいた主人公が融合されたようなお話です。中盤から終盤にかけて面白くできるように計画しております故,気長に読んでいただけたら幸いです。
時は2050年,地球上では,不穏な空気が漂っていた。原因はオホーツク海にて確認された,正体不明の巨大な影である。
アメリカはこれをロシアによる極秘軍事兵器として捉え,自国の武装強化を開始した。この事件へのロシアの関与が確認出来なかった為,世界的戦争勃発とはならなかったのだが,この影は数日をかけて海底へと沈み,姿を消してしまった…
世界中でニュースとなって行く中で,地球の滅亡や神の降臨などを訴える者たちもいた。
突如地球に現れた巨大な影への対策として各国では既に緊急会議が行われていた。
「鎖国体制を!まだ他国による軍事的策略でないとは言い切れません!敵国の侵略を受けてからでは遅いのです!」
「この状況だからこそ他国と協力するべきだ!
外部の情報が無くてはそれこそ国力の低下を招いてしまう!」
このような異常事態の中で,会議に参加した者たちも冷静さを失っていた。
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「ッ,なんもやることねぇなぁ」
男はベットに横たわりスマホをいじりながらため息と共に呟いた。高校を卒業し,4月からは大学生になるのであろう,卒業証書の横にはA大学の合格通知が置いてある。A大学は日本人ならば誰もが知っている程の有名大学だが,男は幸せには見えなかった。大学に満足をしていないとか,そんな話ではなく,今までの人生そのものが男を満たすことがなかったのだ。
「毎日死んだように暮らして1日を終える,何やってんだろなァ,オレ。」
そういってSNSアプリ,LIMEを開く。当然誰からの連絡があるわけでもなく…
「通知きてねぇんだから連絡入ってるわけないんだよなぁ。」
自分に言い聞かせるように呟き,その呟きに寂しさを覚える。部屋の静寂に嫌気がさしたため,テレビをつけてみる。よく聴きなれたアナウンサーの滑舌の良い声が聞こえて来る。
「また影の話か。ここ最近この話ばっかりだな。いっそ世界を揺るがす大事件でも起こればいいんだけどなぁ」
巨大な影の出現は十分に大事件であったが,日々退屈を感じてきた男にとってこの程度ではちょっとした刺激でしかないらしい。確かに”影“はその巨大さにより,大事件として話題性を持ったが,人類に実害をもたらすことなく消えてしまった為,一般国民からしてみればそう長く記憶に残るものではないのかも知れない。これが人類に直接的でなくとも被害を与えたのであれば,地球上がパニックに陥っていたかも知れない。男はそういった状況を望んだのである。もちろん冗談で言ったのであり,本当にそんなことが起きたら男は絶望するだろうし,当然何もできやしないのだ。