消えない冬の足跡は・・・ 【冬のあしあと企画】
本作は、遙彼方さま主催「冬のあしあと」企画参加作品です。
あなたと出逢ったのはあの夏の
輝く季節の中だった
あなたは静かな優しい瞳で
じっと私を見つめて
それは穏やかに蕩々と
深遠な哲学を
趣深い芸術を
壮大な宇宙の理を
あらゆること全てを私に語って聴かせた
それはいつしか熱い恋をも語り
誰にも引き裂くことは出来ない
神聖な永遠の愛を誓ってくれた
それなのに
やがて、涼しい風が吹く頃から
あなたの目は虚ろに漂い
何かに駆り立てられるように
あなたは遠くを見つめるようになった
ああ
私達は確かにお互いを
誰よりも深く愛していたのに
それはあの冬、初めて雪が積もった日
音もなく密やかにひっそりと
あなたは何処へともなく
私の許から去って行った
私の中に消えない冬の足跡を残して……
企画に参加させてくださった遙彼方さま、お読み頂いた方、どうもありがとうございました!