表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

22/29

疑惑の痕跡

今後も本作を宜しくお願い致しますm(__)m

リーゼさんが加勢した事で既に優勢だった蓮華とボーンウォーリアーの集団との戦いの経過は更に一方的な物となり、スケルトンの集団を殲滅した信姫とミリナさんがあたしと一美の所に戻った頃には最後のボーンウォーリアーが蓮華のアビリティによって閃光と共に塵に帰して飛散して蓮華達の倒したスケルトンとボーンウォーリアーが光の粒子となってあたしの中へと吸い込まれた。

「……終わった、みたいだね」

あたしがそう呟いていると蓮華達は周囲を警戒しながら頷き、ミリナさんとリーゼさんも同意する様に頷いてからミリナさんが笑顔を浮かべながら口を開いた。

「それにしても凄かったわねえ、リリカちゃんの加護の力も驚きだったけど信姫ちゃん達の戦闘技術もとてつも無かったわ、あたしやリーゼも結構腕には自信がある方だけど信姫ちゃん達はそれ以上だよ」

「ああ、だからこそリリカのスキルが痛し痒しでもあるな、倒したモンスターが直ぐに換金されると言うのは便利だが、そのおかげで討伐系の依頼を受けるのが不可能になってしまうからな、それに他のパーティーとの行動にも支障が出てしまうな」

ミリナさんに続いて腕組みしたリーゼさんが苦笑と共に頷き、あたしは同じ様に苦笑を浮かべて頷き返してから表情を引き締めつつスケルトンとボーンウォーリアーの出現した方向に視線を向けて口を開いた。

「……もう襲撃した連中は逃げちゃってますよね」

「……うん、スケルトンと戦ってる最中に馬の嘶きと馬車が動いてる音みたいなのが聞こえたよ、今から追っても間に合わないよ」

あたしの呟きに対してミリナさんが肩を竦めながら答え、それを聞いていた一美がマジックマスケットを肩に吊るしながら口を開いた。

「でしたら、恐らく途中で出現したボーンウォーリアーの集団は逃げるまでの時間稼ぎですわね」

「……ケッ胸くそ悪くなる連中だぜっ」

一美の言葉を聞いていた信姫は吐き捨てる様な口調で呟き、蓮華はゆっくりと頷いてからあたしに向けて口を開いた。

「……如何なさいますか、リリカ様、この周到な行動を見る限り襲撃してきた連中の痕跡を確認するのは難しいとは思われますが」

「……そうだね」

蓮華の言葉を受けたあたしは相槌を打った後に暫く思案してから再び口を開いた。

「……一応駄目で元々のつもりで行ってみよう」

「承知しました」

あたしの言葉を受けた蓮華は頷きながら応じてくれて、一美と信姫も頷いてくれた。

「なら、私達も行ってみるとしよう」

「そうだね、それじゃあ馬の嘶きと馬車みたいな音がした方に案内するね」

あたし達の会話を聞いたリーゼさんに声をかけられたミリナさんはそう言うとスケルトンの集団が出現した方向を指差しながら歩き始め、あたし達は周囲を警戒しながらその後に続いた。

あたし達は一美とリーゼさんの援護射撃の跡が所々に点在する場所を通り過ぎるとそこから更に後方にある小さな丘の頂上へ移動し、先頭を進んでいたミリナさんはそこで足を止めるとあたしの方に向き直りながら口を開いた。

「音がしたのはこの辺だと思うよ、リリカちゃん」

「……そうですか、やっぱり誰もいませんね」

ミリナさんの言葉を受けたあたしがそう言いながら周囲を見渡していると蓮華達が周囲を確認し始め、暫くすると蓮華が足下の地面を指差しながら口を開いた。

「リリカ様、此方に蹄の跡と轍があります」

蓮華の言葉を受けたあたし達がそこに移動して蓮華が指差す先に視線をむけると、そこには蹄の跡と轍が微かに刻まれていて、それを目にした一美はその近くにしゃがむと地面に手をつけながら口を開いた。

「土が少し湿り気を帯びておりますわ、ですから僅かに跡が残ったのでしょう」

一美はそう言いながら轍の先の方に視線を向け、あたしも同じ様にその方向に視線を向けて口を開いた。

「……やっぱり襲撃した連中はとっくに脱出しちゃったみたいだね」

「……ええ、今から追いかけた所で到底追い付けませんわね」

あたしの呟きを受けた一美はそう言いながら立ち上がり、あたしが頷いていると信姫の声が周囲に響いた。

「お嬢!!此処に何か落ちてるぜっ!!」

信姫の言葉を受けたあたし達が駆け寄ると信姫は足下の地面を指差し、あたしがそこに視線を向けると轍が刻まれた地面に貝殻のカメオのブローチが落ちていて、信姫はしゃがんでそれを拾ってあたしに差し出してくれたのであたしはそれを受け取ると一美が灯してくれた魔力の明かりの下でそれを確認してみた。

淡いクリーム色の貝殻には止まり木に止まった双頭の鷲が描かれていて、あたしはそれをリーゼさんとミリナさんに示しながら口を開いた。

「リーゼさん、ミリナさん、この図柄に見覚えありますか?」

あたしの言葉を受けたリーゼさんとミリナさんはあたしが手にしたブローチに描かれた図柄を見詰め、暫くするとリーゼさんが戸惑いの表情で首を傾げながら口を開いた。

「この図柄は、オストブルク公爵家の家紋だ」

「うん、双頭の鷲はオストブルク公爵家しか使ってない図柄だから間違い無いよ」

リーゼさんとミリナさんの口から出て来たのは今あたし達がいる地域を治める有力諸侯の名前でそれを聞いたあたしが妙な感覚を抱きながらブローチを見詰めていると、信姫が苦笑しながら声をかけてきた。

「……どう思う、お嬢?」

「……素直に考えるならこの襲撃にオストブルク家が関わっているって言う事になるよね、あくまでも素直に考えるなら、だけど」

信姫の問いかけを受けたあたしは小さく肩を竦めながら答え、信姫はあたしの言葉に同意する様に頷いてから更に言葉を続けた。

「……こうも此れ見よがしにされてると、素直にはいそうですか、とは思えねえよな」

あたしの呟きに対して信姫は頷きながら同意してくれ、あたしと信姫の会話を聞いていたリーゼさんとミリナさんも頷きながら口を開いた。

「……確かに2人の言う通りだな、もし、この襲撃にオストブルク家が関与しているとしたら、これほど見え見えな証拠を残すとは考え難い」

「……それにオストブルク家はハンターや隊商を保護している家だから、そもそもこんな事自体やりそうに無いんだよね」

「……だとしたらこのブローチはオストブルク家を陥れる為かもしれませんね、こう言うあからさまな証拠って謀略なんかでよく使われるし」

リーゼさんとミリナさんの言葉を聞いたあたしはブローチを見詰めながら呟き、それを聞いたミリナさんは何かに思い至った表情になりながらリーゼさんに声をかけた。

「ねえ、リーゼ、これってマリーカ様を貶め様としてるんじゃ」

「……だとしたら悪趣味な話だな、既に充分貶められていると言うのにな」

(……ああ、何か妙なフラグに巻き込まれそうな予感が)

ミリナさんとリーゼさんは顔をしかめさせながら言葉を交わし、あたしはその意味深な内容に嫌な予感を感じながらリーゼさんとミリナさんに声をかけた。

「あの、マリーカ様と言う方は一体?」

「……そっか、リリカちゃん達は知らないよね、マリーカ様はオストブルク家の令嬢マリーカ・フォン・オストブルク様の事でリッサの町に駐留しているオストブルク第三騎士団の団長をしてるんだよ、すっごい美人さんで気立ても良い素敵なひとなんだよ」

「更にイバンでも一二を争う程の剣技の持ち主で、その美貌と鮮やかな戦いぶりからオストブルクの舞姫とも呼ばれているんだ」

あたしの問いかけを受けたミリナさんとリーゼさんはどこか誇らしげな表情で答えてくれたけど、ミリナさんはすぐに表情を曇らせながら言葉を続けた。

「……マリーカ様は17歳になった時にイバンポリスにある王立高等魔導院に入学したんだ、入学前にイバン王家とオストブルク家との間の取り決めで第一王子との仮婚約と卒業後の結婚も決まってたんだよ」

(な、何か、立ち位置が典型的な乙女ゲームの悪役令嬢ポジションっぽいんだけど)

ミリナさんの説明を聞いていたあたしが思わずそんな事を思っていると、リーゼさんは顔をしかめながら言葉を続けた。

「……しかし、同級生として入学してきた子爵家令嬢に王子が一目惚れ、有力閣僚や諸侯の息子達と一緒に求愛した挙げ句に卒業式の舞踏会にそいつ等と一緒になってマリーカ様に難癖つけた上に婚約を破棄した、それが去年の話だ、オストブルクに戻ったマリーカ様は新設されたオストブルク第三騎士団の団長としてリッサの町に赴任したと言う訳だ」

リーゼさんが説明してくれた話はいっそ清々しく感じられる位見事な逆ハー&断罪&婚約破棄の展開であたしの傍らでそれを聞いていた信姫は思いきっり顔をしかめながら口を開いた。

「新設騎士団の団長として赴任させたって言えば聞こえは良いが、実際は追放に近いじゃねえか」

「……近いでは無くほぼ確実に追放だな、何しろ王子と一緒に子爵家令嬢に御執心だった有力諸侯の子息の一人はマリーカ様の弟でもあるオストブルク公爵家の後継者だからな、そいつがどうにかならない限りマリーカ様はこのままだな」

信姫の言葉を聞いたリーゼさんは信姫と同じ様に顔をしかめながら応じ、あたしがそれを聞きながら手にしたブローチを見詰めていると蓮華が声をかけてきた。

「リリカ様、やはり、このブローチの他には何も無いようです」

「……即断は危険ですが、このブローチ、意図的に放置された可能性が高そうですわね」

蓮華に続いて一美も口を開き、2人の言葉を受けたあたしは頷く事でそれに応じた。



戦いを終え、その場を捜索してみたあたし達は予想に反して襲撃をしかけてきた輩の痕跡を発見した。

あたし達が見つけたのはカメオのブローチ、それは不自然な程明確に襲撃者の正体を主張する疑惑の痕跡……

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ