霊刀の舞
戦闘ならびに残酷な描写がありますので閲覧は自己責任でお願い致します。
因みに今回の戦闘場面の作者脳内BGMはランカ・リーの恋はドッグファイトになります。
一美とリーゼさんの援護射撃を受けながらスケルトンの集団と戦う信姫とミリナさん、2人の実力とスペシャルスキルの加護が相乗効果は凄まじくてスケルトンの集団は瞬く間に半分程度にまでその数を減らしていた。
(このままなら何とかなりそうだな)
あたしが信姫とミリナさんの獅子奮迅な戦いぶりに安堵の思いを抱いた瞬間、その思いに冷水をぶっかける様に新たな気配の接近をあたしの脳裏が察知し、あたしは近付いてくる気配の方向に視線を向けながら傍らの蓮華に声をかけた。
「……蓮華、新しい反応が近付いて来てるよ、方向はあたしの視線の先」
「……ッ!?承知しましたリリカ様」
あたしの警報を受けた蓮華は一拍の間を置いてから答えると腰の妙法蓮華経に手を添えながらあたしの示した方向に注意を向け、あたしはそれを確認した後に一美とリーゼさんにも声をかけた。
「一美、リーゼさん、新しい気配が此方に接近中だよっ!!蓮華に対応して貰うから一美は蓮華が行動を開始したら蓮華の援護射撃をしてっ!!リーゼさんは引き続き信姫とミリナさんの援護射撃を行って下さいっ!!」
「承りましたわっ御舘様!!」
「私も了解したっ!!信姫とミリナの援護は引き受けたっ!!」
「……来ましたっリリカ様!!」
あたしの言葉を受けた一美とリーゼさんが応えてくれていると蓮華が鋭く凶報を告げ、それを受けたあたしが蓮華の示した方向に視線を向けると此方に向けて進んでくる新たな集団の姿があった。
その外見は信姫とミリナさんが戦っているスケルトンによく似ていたけどその数は先程の集団の半分程度で、血塗れの月光を浴びる骨はスケルトンよりも白く感じられて粗末な造りの剣や盾に加えて槍を持っている奴までいた。
「……あれは、ボーンウォーリアーかっ!!スケルトンよりも強力なアンデッドだっ!!やはりこの襲撃、作為的な物の様だな」
援護射撃の合間に近付く集団を確認したリーゼさんが厳しい表情を浮かべながら声をあげ、あたしがそれに頷いていると蓮華が静かに妙法蓮華経を鞘から抜き放った。
軽やかな鞘走りの音と共に抜き放たれた妙法蓮華経の刀身が神々しさを感じる程澄んだ輝きを放ち、蓮華は抜き放った妙法蓮華経を手に迫り来るボーンウォーリアーの集団を見据えながら口を開いた。
「……では、行ってまいります、リリカ様」
「……うん、分かった、気をつけてね、蓮華」
蓮華の言葉を受けたあたしは頷きながらそれに応じ、それから蓮華が腰に差した鞘を見ながら言葉を続けた。
「……ねえ、蓮華、蓮華の鞘も預りたいんだけど、大丈夫?」
「……リリカ様……勿論です、是非お願いします」
あたしの言葉を受けた蓮華は一瞬驚きの表情を浮かべたけど直ぐに嬉しそうに笑いながら応じて、あたしに妙法蓮華経の鞘を差し出してくれて、あたしは頷きながら蓮華が差し出してくれた鞘を受け取った。
「ありがと、蓮華、確かに受け取ったよ」
あたしがそう声をかけると蓮華は嬉しそうに微笑いながら頷き、それから接近してくるボーンウォーリアーの集団に視線を向けた。
「……では、行ってまいります、リリカ様」
蓮華はそう告げると同時にボーンウォーリアーの集団目掛けて駆け出し、あたしはその背中を見守りながら一美に声をかけた。
「……一美、援護射撃は任せたよっ!!」
「お任せ下さい、御舘様!!」
あたしの言葉を受けた一美は歯切れ良い口調で応じてくれながら淡く輝くマジックマスケットの銃先をボーンウォーリアーの集団に向け、集団と蓮華の位置関係を確認してからトリガーを操作した。
轟く銃声と共に発射された魔弾は集団の先頭付近を進むボーンウォーリアーを粉砕し、砕けた骨が飛び散る中妙法蓮華経を手にした蓮華が集団目掛けて突入した。
突入した蓮華は先頭を進んでいたボーンウォーリアーに向けて妙法蓮華経を閃かせ、蓮華の斬撃を浴びたボーンウォーリアーはアビリティ発生によって生じたと思われる白い閃光を放った後に塵となって飛散してしまった。
あっという間にボーンウォーリアーを倒してしまった蓮華に対して、周囲のボーンウォーリアー達が剣や槍を繰り出し、蓮華は軽やかな身のこなしで繰り出される刃や槍の穂先を回避しながら槍を突き出してきたボーンウォーリアー目掛けて白刃を振るった。
蓮華の一撃を浴びたボーンウォーリアーは閃く刃に捉えられて粉砕されてしまい、蓮華は流れる様な動きで手近な所にいたボーンウォーリアー向けて斬りかかった。
蓮華に斬りかかられたボーンウォーリアーは粗末な造りの剣を翳してその斬撃を受け止め様としたけど妙法蓮華経の切れ味と蓮華の腕によって翳された粗末な造りの剣の刀身は鮮やかに切断されてしまい、剣を切断した妙法蓮華経の刃はその勢いのままボーンウォーリアーを捉え、そのボーンウォーリアーは閃光と共に塵となって飛散した。
瞬く間に2体のボーンウォーリアーを斬り捨ててしまった蓮華だけど、ボーンウォーリアーはアンデッド故の無頓着さでその光景を無視し、手近な所にいたボーンウォーリアーが蓮華に向けて背後から刃を振るった。
あたしが思わず声をあげかけた刹那、蓮華はその場に身を沈め振るれたボーンウォーリアーの刃は虚しく空を斬っただけだった。
身を沈めた蓮華は空振りによってバランスの崩れかけたボーンウォーリアーに足払いをかけ、完全にバランスを崩されてしまったボーンウォーリアーが転倒する中立ち上がって斬りかかってきた別のボーンウォーリアーの斬撃を微かに身を反らして回避しながら横薙ぎに妙法蓮華経を振るった。
横薙ぎに放たれた妙法蓮華経の刃は標的となったボーンウォーリアーの頸骨を切断し、ボーンウォーリアーの頭蓋骨が空中に飛ぶと同時に頭部を喪った身体の骨がガラガラと地面に崩れ落ちた。
次々と蓮華に斬り捨てられていくボーンウォーリアーの集団は蓮華を取り囲もうとし始めたけど一美のマジックマスケットから放たれた魔弾がその動きを妨害し、蓮華は一美の援護射撃を受けながら襲いかかってくるボーンウォーリアーを次々に斬り捨てて行った。
一方、スケルトンの集団と戦っている信姫とミリナさんの方はあれだけいた筈のスケルトンが既に数えられる程しか残っていなくて同士討ちの危険性がある為に援護射撃が出来なくなったリーゼさんが舞う様にボーンウォーリアーと戦う蓮華の姿を見ながら口を開いた。
「……信姫の腕前も凄まじいが、蓮華も負けていないな、一美の射撃能力も惚れ惚れする程だし、それを統括するリリカも見事、空恐ろしい程有望なハンター候補生達に出会ってしまった様だな」
リーゼさんはそこで一度言葉を区切ると手にしたロングソードを軽く2、3回振ってから不敵な笑みと共に言葉を続けた。
「恐らく彼女の腕前なら問題あるまいがそれでは先輩ハンターとしての沽券に関わる、あちらはもうケリがつきそうだから助力させて貰うぞ」
「ありがとうございます、リーゼさん、宜しくお願いします」
リーゼさんの申し出を受けたあたしは即座にそれを受け入れ、リーゼさんは笑顔で頷いた後に蓮華に翻弄されているボーンウォーリアーの集団目掛けて駆け出した。
「……レパント村で出会えたアリーナ様とミア様に加えて今宵出会えたミリナ様にリーゼ様、とても素晴らしい方々と出会えておりますわね」
「そうだね、とてもありがたい事だよ」
マジックマスケットに魔力を充填していた一美は駆け出したリーゼさんの背中を一瞥してからあたしに声をかけ、あたしは相槌を打ちながら次々にボーンウォーリアーを斬り捨てている蓮華を見詰めた。
(本当にあたしは運が良い、とても素晴らしい人達に出会えいる、これはきっと貴女のおかげだよ、この異世界で初めてあたしの所に来てくれた貴女なおかげ、あたしと出逢ってくれてありがとね蓮華)
あたしはそんな風に思いながら戦ってくれている蓮華を見守り、蓮華はあたしが見守る中舞う様に流麗な動作で妙法蓮華経を振るっていた。
戦いの最中に突如として出現した新手、あたしの傍らでそれに備えてくれていた蓮華は妙法蓮華経を手に新たなアンデッドの集団目掛けて突撃した。
群がるアンデッドを次々に斬り捨てていく蓮華、彼女の操る霊刀が闇の中を鮮やかに舞っていた……




