来訪者
PVアクセス1万カウントを突破しました、これからも本作を宜しくお願い致します。本話より新たなハンターが登場致します。
リッサの町へと伸びる街道脇に設けられた小屋にて一夜を明かす事になったあたし達、あたしと一美は互いの足を拭いた後で堅焼きビスケットと干した肉に女将さんから貰ったベーコンと言う夕食を用意し、小屋を掃除した蓮華と信姫と共に夕食を摂ってから井戸の近くで焚き火を囲みながらレパント村で購入していた紅茶を飲んだ。
「……だいぶ暗くなったね」
紅茶を啜っていたあたしはそう呟きながら宵闇に包まれた周囲を見渡し、それを聞いた蓮華はカップを手に頷きつつ口を開いた。
「……暗くなる前にここに着けて幸いでしたね、リリカ様、御疲れでしょうから今宵は早目に休んで明日に備えるとしましょう」
「そうだね、モンスターに襲われたらいけないから交代で見張りもしないと駄目だね」
蓮華の言葉を受けたあたしはそう返事をしながら紅茶を啜り、蓮華がゆっくりと頷く事で応じていると紅茶を飲みつつ周囲を警戒していた信姫が傍らに置いていたへし切りに手を添えながら口を開いた。
「……お嬢、こっちに誰か近付いて来てるぜ」
信姫の言葉を受けた蓮華と一美はさりげない風を装いながら妙法蓮華経とマジックマスケットに手を添え、あたしは意識を集中させて近付いて来ていると言う気配に敵対する気配が無いのを確認してから皆に声をかけた。
「皆、妖しい気配は感じなかったけど、一応注意はしといて」
あたしの言葉を受けた蓮華達はゆっくりと頷く事で応じ、それを目にしたあたしは頷き返してから信姫が示した方向に視線を向けた。
そうして暫く待っているあたしの耳に大地を踏み締める微かな音が響き、やがて焚き火のおぼろげな明かりの中に2人の美女が姿を現した。
かなり露出の激しい(具体的に言うとビキニ水着みたいな服)装いに包まれた小麦色の瑞々しい肢体とロングヘアの赤毛とトパーズ色の瞳の美貌、そして髪から覗くフサッとした黒い兎耳が印象的な兎の獣人のお姉さんと黒いライトアーマーに包まれた出る所が出て引っ込む所が引っ込んだ薄褐色の肌のスラリとした肢体と、銀糸の様にサラサラで滑らかな銀髪のロングヘアとアメジストの瞳の物静かな雰囲気の美貌、そして銀髪の合間から覗くエルフ耳が印象的なダークエルフのお姉さん、何れ劣らぬ2人の美女はあたし達の近くにまで移動するとそこで足を止め、兎耳のお姉さんが朗らかな笑顔と共に口を開いた。
「こんばんわ、良かったら私達もお邪魔させて貰える?」
「あっ、はい、どうぞ」
「……すまない、感謝する」
あたしが兎耳のお姉さんの言葉に応じるとダークエルフのお姉さんが落ち着いたハスキーボイスで御礼を言い、それを受けたあたし達は頷きながら2人に焚き火の近くに座って貰った。
「ありがとね皆、私はミリナ、見ての通り黒兎の獣人で★★ランクのハンターだよ」
「……私はリーゼ、ミリナと同じく★★ランクのハンターをしていてダークエルフだ」
焚き火の近くに座った2人、ミリナさんとリーゼさんは丁寧に一礼しながら自己紹介をしてくれて、それを受けたあたしは一礼を返してから自己紹介を始めた。
「あたしはリリカと言います、ハンター資格獲得の為にレパント村からリッサの町に向かっている所です」
「私は蓮華と申します、リリカ様の御伴をさせて頂いております」
「私は一美と申しますわ、蓮華さん達と共に御館様を御護りさせて頂いておりますわ」
「俺は信姫、俺もお嬢に仕えて一緒に旅してるぜ」
あたしに続いて蓮華達も自己紹介を行い、あたし達の自己紹介を受けたミリナさんは興味深げにあたし達を見詰めながら口を開いた。
「ハンターを目指して旅するやんごとなさげな雰囲気の女の子と彼女に使える美女達、うーん、絵になるし気になる主従パーティーね」
「……そう言う事は普通思っていたとしても口には出ない物よ、ミリナ」
ミリナさんの興味津々と言った響きの呟きを聞いたリーゼさんは微かに苦笑しながらミリナさんに声をかけ、ミリナさんはあっけらかんとした表情で言葉を返した。
「だって気になったんだもん」
ミリナさんのあっけらかんとした口調の声を聞いたあたし達は邪気が無くて好奇心丸出しの言葉に思わず笑い声をあげ、それを聞いたリーゼさんは苦笑するてあたしに頭を下げながら言葉を続けた。
「……すまない、決して悪い奴では無いんだがミリナはだいたい何時もこんな調子なんだ」
「気にしないで下さい、リーゼさん、あたしは話し易そうな女で良かったなって思ってますよ」
あたしがそう返事をするとリーゼさんは安堵した様に微笑みながら頷き、それからあたし達はミリナさんとリーゼさんとの会話を始めた。
ミリナさんとリーゼさんはあたし達の向かっているリッサの町を拠点にして活動しているハンターで、夜にだけ咲いて高値の回復薬の原料になる夜菊草の花を採取した帰りで、この小屋で野営してからリッサの町に帰るとの事で、ハンター資格獲得というあたし達の目標に対して、快くリッサの町のハンターギルド支所までの案内を申し出てくれて、あたしはありがたくその申し出を受け入れる事にした。
「ありがとうございます、ミリナさん、リーゼさん」
あたしがミリナさんとリーゼさんに感謝を告げると2人は穏やかに笑いながら頷き、ミリナさんが更に言葉を続けた。
「ここで会ったのも何かの縁だからあんまり気にしないでいいよ、女性のご同業は珍しいから仲良くしたいしね」
「……やっぱり女性のハンターって少いんですね、レパント村でアリーナさんやミアさんに会えたし、ここでミリナさんやリーゼさんに出会えたのでそこまで少いって言う印象が無かったです」
ミリナさんの返事を聞いたあたしはレパント村で出会えたアリーナさんとミアさんの事を思い出しながら応じ、それを聞いていたリーゼさんが懐かしげな表情になりながら口を開いた。
「あの2人にも会ったのか、元気にしていたか」
「はい、今はミアさんの★昇格資格獲得の為、2人でレパント村の長期警戒任務をしてます」
「そっか、ミアちゃんももうそんな時期になったんだねえ」
あたしがリーゼさんの言葉に応じているとミリナさんが何度か頷きながら感慨深げな様子で呟き、それを聞いたリーゼさんも大きく頷きながら口を開いた。
「アリーナは私やミリナとほぼ同時期にハンターになった間柄でね、アリーナは★★になるまでは単独行動が多くてとにかく突っ走りがちだったんだが、採取に訪れた森でミアと偶然出会い共に行動する様になってからいい意味で角が取れて丸くなったんだよ」
「あのアリーナがあそこまで落ち着かせちゃうんだからミアちゃんは結構前途有望だね」
リーゼさんに続いてミリナさんは笑いながら言葉を続け、あたしがアリーナさんとミアさんの馴れ初めに笑みを浮かべていると再び口を開いた。
「さっきの話に戻すけどやっぱり女性のハンターは数が少いね、イバンは大陸の国に比べたら女性のハンターは多い方だけどそれでも全体の3割に届くか届かないか位だよ、大陸だと国にもよるけど大陸全体で考えると2割行くか行かないか位の割合だって話だよ」
「そんなに少いんですか」
あたしはミリナさんから告げられた事実に思わず声をあげてしまい、それを聞いたリーゼさんは苦笑しながら口を開いた。
「……自由な身分ではあるが、それ相応に危険な仕事だからな、やはり女性だと二の足を踏んでしまう事が多いのさ、そう言う意味ではアリーナと一緒に行動したいからハンターになったミアの存在は面白いと言えるな」
「でも、ミアさんなら何と無くその話頷ける気がしますね」
リーゼさんの言葉を聞いたあたしは穏やかだけどその中に芯の強さも感じたミアさんの様子を思い出しながら口を開き、あたしの言葉を聞いたミリナさんとリーゼさんは笑顔を浮かべながら頷いてくれた。
それからもあたし達はミリナさんやリーゼさんと言葉を交わし、異世界での初めての野営の夜は賑やかに更けて行った。
異世界で初めて迎えた野営の夜にあたし達の所に訪れた2人の美人ハンター、あたし達が過ごす初めての野営の夜は来訪者と賑やかな会話を交わしている内に静かに更けて行った……




