小屋
明けましておめでとうございます、2016年の初投稿になります、今年も宜しくお願い致します。
旅人が束の間の休息を取るために街道脇に設けられた小屋、その直前でモンスターに襲撃されたけど蓮華達が即座に襲いかかってきたモンスターを駆逐し、あたし達はその戦闘が終了した後に無事に小屋へと到着した。
レパント村で目にした一般的な住居と同じ位の大きさの木造平屋建ての小屋の近くには石造りの井戸が設けられていて、あたし達は周囲に他の旅人の気配が存在しないのを確認した後に小屋の出入口に近付いて蓮華がドアを開けた。
長らく使用されていなかった事を示す軋み音と共に開かれたドアを潜って小屋の中に入ったあたし達の前には木のテーブルとその近くに纏められた10脚程の椅子があるだけの殺風景な光景が拡がり、テーブルや床の上にうっすらと埃が積もっているのを目にした一美が微かに顔をしかめながら口を開いた。
「……最近はあまり使われていない様ですわね」
「……リッサの町からレパント村までは馬車でなら1日で行けるから、馬車で行く人達は水を補充するか素通りしちゃうらしいからね」
一美の呟きを聞いたあたしがそう言いながらテーブルを手で撫でてみると薄く積もった埃が舞い、その様子を目にした蓮華は窓の所に移動してそれを開け放ちながら口を開いた。
「私と信姫は少しここの埃を払います」
「……そうだな、このままお嬢を休ませる訳にはいかねえもんな」
「……あっ、あたし達も手伝うよ」
蓮華の言葉を聞いた信姫は頷きながら言葉を返し、2人の会話を聞いたあたしが手伝いを申し込むと、2人は柔らかく笑って頭を振りつつ言葉を重ねた。
「……いえ、リリカ様は外で一美と待っていて下さい」
「……そうそう、こう言う事は俺等に任せとけよ、お嬢」
「……で、でも」
2人の言葉を受けたあたしは戸惑いの声をあげ、それを聞いていた一美は穏やかに微笑みながらあたしに声をかけてきた。
「……御舘様、それでした私達は少し休憩してから夕食を用意して蓮華さんと信姫さんをお待ちしましょう?」
「……一美、うん、分かった、そうじゃあお願いね、蓮華、信姫」
一美の提案を受けたあたしが相槌を打ちつつ蓮華と信姫に声をかけると2人は穏やかな表情で頷き、あたしは2人に頷き返してから一美と一緒に小屋の外へと出た。
外に出たあたしと一美は井戸の傍らへと移動し、一美は釣瓶を手に取ると井戸の傍らに設けられている石造りのベンチを示しながら口を開いた。
「御舘様、そこに座って少々お待ちになって下さいませ」
一美の言葉を受けたあたしが頷きながらベンチに腰を降ろし、それを確認した一美は釣瓶を使って水を汲むとそれをあたしの近くに置いた。
釣瓶を置いた一美はマジックマスケットを肩から外して銃剣を取り外し、取り外した銃剣を手に意識を集中さ始めた。
一美が意識を集中させ始めて暫くすると銃剣の刃が熱を帯びて赤くなり、それを確認した一美は小さく頷きながら真っ赤になった銃剣の刃を水の中へと入れた。
刃が水の中に入るとジュワッと言う音と同時に水蒸気が上がり、一美は通常の状態に戻った銃剣を通常から出して指先を釣瓶の中の水に入れた後に再び銃剣に意識を集中させて刃を真っ赤にさせた。
一美は真っ赤にさせた銃剣の刃を再び釣瓶の水の中に入れ、それからもう一度指先を釣瓶の水の中に入れると満足げに頷いてからあたしに向けて口を開いた。
「御舘様、おみ足を拭かせて頂きますわ」
「……へっ?」
一美の唐突な言葉を受けたあたしは思わず間の抜けた声をあげてしまったけど一美はにこやかに微笑みながら頷き、それを目にしたあたしが頬に仄かな熱が帯びるのを感じながら頷くと一美は布を釣瓶の水の中に入れて水(たぶんお湯になってると思うけど)に浸してから取り出し、それを軽く絞った後に言葉を続けた。
「それでは拭かせて頂きますわ、御舘様、おみ足を御出し下さい」
「……う、うん」
一美の言葉を受けたあたしは頬が火照るのを感じながら靴を外すと素足を一美に向けて差し出し、一美は穏やかな表情であたしの足を取って布をあたしの足先に当ててくれた。
「……んっ」
「……熱くありませんか、御舘様?」
あたしは足に程好い温かさの布が当たった瞬間思わず声をあげ、それを聞いた一美は穏やかな笑みと共に質問してきたのであたしは微笑みながらそれに応じた。
「……大丈夫だよ、一美、丁度良い温かさで気持ち良いよ」
「そうですか……でしたら続けさせて頂きますね」
あたしの答えを聞いた一美はそう言うと微笑みながらあたしの足を拭いてくれて、あたしは疲れた足を心地好く包み込む温かな布の感触と滑らかな一美の手の動きを堪能させて貰った。
「……終わりましたわ、御舘様」
「……うん、ありがと、気持ち良かったよ一美」
あたしの足を拭き終えてくれた一美は使い終えた布をお湯で洗って軽く絞りながらあたしに声をかけてくれ、あたしは御礼を言った後に笑顔で一美を見詰めながら言葉を重ねた。
「……それじゃあ今度はあたしが一美が座って、あたしが一美の足を拭いてあげるから」
「……はいっ?」
あたしの重ねた言葉を受けた一美は何時もの彼女の様子からは想像する事が難しい戸惑いの声をあげ、あたしが笑顔で頷いて見せると頬を仄かに赤らめさると慌てた様子で言葉を続けた。
「……そ、その様な事、お、御舘様にやって頂く等、め、滅相もございませんわ」
「……気にしないで良いよ一美、あたしがしたいんだから、それとも、あたしの命令、聞けないの」
「……ぐっ」
一美の慌てふためいた言葉を受けたあたしがそう言いながら悪戯っぽく微笑みかけてみると一美は言葉に詰まり、それから暫くした後に頬を更に赤らめさせて軽く俯きながら口を開いた。
「……わ、分かりました、宜しくお願いします、お、御舘様」
真っ赤になって俯いた一美はそう言いいながら脛当と甲掛を外してあたしに布を手渡した後に露になった素足を恥ずかしげにあたしに向けて差し出し、一美のその反応と露になったスラリとした美脚を目にしたあたしは自分も頬が火照るのを感じながら布を一美の足に当てた。
「……んっ」
「……だ、大丈夫、熱くない、一美?」
「……だ、大丈夫ですわ、御舘様」
温もりの籠った布が足に当たると同時に一美の口から微かな吐息が溢れ、あたしがその少し悩ましげな吐息に心臓の鼓動が激しくなるのを感じながら声をかけると一美は恥ずかしげに目を伏せたまま応じてくれた。
一美の返答を受けたあたしは自分の心臓が喧しく高鳴るのを自覚しながら一美のスラリとした美しい足を拭き、真っ赤に顔になって俯いた一美の口からは時々微かな吐息がもれ出した。
「……お、終わったよ、一美」
「……あ、ありがとうございました、御舘様」
一美の足を拭き終えたあたしが喧しく鳴り続ける心臓を落ち着かせる為にゆっくりと息を整えつつ一美に声をかけると、一美は顔をあげると仄かに頬を赤らめさせながら応じ、その後に恥ずかしげに微笑いながら言葉を続けた。
「……夕食の準備を致しましょう、御舘様」
「……そうだね」
一美の言葉を受けたあたしは一美と同じ様に微笑いながら応じ、あたしと一美をゆっくりと頷き合ってから夕食の準備を始めた。
街道脇に設けられた小屋、少し寂れ気味のその場所が今夜のあたし達の寝床……




