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旅立ち

これで第1章は終了となります、今後も本作を宜しくお願いします。


マリーさんが開いたくれた賑やかな送別会から一夜が明け、目覚めたあたしが既に起きていた信姫と身支度を整えて(と言っても着ると頭に念じただけだけど)から部屋を出ると身支度を整えた蓮華と一美が既にドアの前であたし達を待ってくれて、あたしは2人に向けて口を開いた。

「おはよう、蓮華、一美」

「おはようございます、リリカ様」

「おはようございます、御舘様」

あたしの言葉を受けた蓮華と一美は穏やかな表情で応じ、あたしがそれに頷いていると一美が穏やかな笑みを浮かべながら言葉を続けた。

「御舘様、本日の予定ですが御世話になった方々に挨拶と雑貨屋さんや隊商での物品購入、そしてそれが終了した後にリッサの町に向かうと言う事で宜しいででしょうか?」

「うん、その予定だよ」

あたしは頷きながら一美の予定確認の問いかけに応じ、それからあたし達は朝食の為に1階の食堂へと降りて行った。

「おはようさん、食事かい?」

「はい、お願いします」

「はいよ、席について待っといておくれ」

1階に降りると女将さんが何時もの笑顔で声をかけてくれ、あたしが笑顔でそれに応じると笑って応じながら厨房へと入って行ったのであたし達は手近なテーブルについて女将さんを待つ事にした。

テーブルについたあたし達が暫く談笑していると女将さんが焼きたての黒パンとこんがり焼いたベーコンに炒り卵にサラダと言う朝食が盛られた大皿をあたし達の前に置き、その後に穏やかな笑顔を浮かべながら口を開いた。

「今日でお別れだねえ、寂しくなるよ」

「女将さん、今までありがとうございました。またこの村に来た時には、泊まらせて貰いますね」

女将さんの言葉を受けたあたしはそう言うとペコリと頭を下げ、それを目にした女将さんは明るい笑顔と共に言葉を返してくれた。

「また来ておくれよ、それとこれはお昼のお弁当と家で作った緑魔イノシンのベーコンだよ、あたしからの餞別だから旅の途中で食べとくれ」

女将さんはそう言うとテーブルの上に4つのお弁当とベーコンの塊を置いてくれて、あたしはベーコンの塊に手を添えながら女将さんに向けて口を開いた。

「……ありがとうございます、女将さん」

「いいよ、いいよ、さあ、冷めない内に食べとくれ」

あたしの言葉を受けた女将さんは笑顔でそう言うとテーブルから離れていき、あたし達は暫くその背中を見送ってから朝食を食べ始めた。


朝食を食べ終えたあたし達は女将さんにもう一度御礼を言ってから宿屋を出て雑貨屋さんに向かった。

雑貨屋さんで干肉や乾燥果実にビスケット等の携行食糧や毛布等を購入して旅の支度を整え、それが終わった後にマリーさんのテントへと移動した。

「準備が出来た様だね、御別れに来てくれたのかい?」

あたし達の様子を確認したマリーさんは穏やかに笑いながらあたし達に声をかけ、あたしは頷いた後にマリーさんを見詰めながら口を開いた。

「これからハンターになる為にリッサの町に行きます、マリーさん、いろいろありがとうございました」

「「ありがとうございました」」

あたしがそう言いながらマリーさんに頭を下げていると蓮華達も同じ様に頭を下げ、マリーさんは少し照れた様に笑いながら口を開いた。

「ハハハ、よろしとくれよ、そんな風に改まって言われると照れちまうよ、あたしがしたのはあくまであんた達が進む道の始まりを示しただけだよ、これからはあんた達で進んで行くんだよ、あんた達だけのハンターの道をね」

「はい、分かりました、マリーさん」

マリーさんの激励の言葉を受けたあたしは笑顔で応じ、あたしの笑顔を目にしたマリーさんも穏やかな笑顔で頷いてくれた。


女将さんに続いてマリーさんと御別れの挨拶を交わしたあたし達はリッサの町に向かう為に街道に向けて歩き始めた。

「アリーナさんとミアさんにも挨拶しておきたかったね」

「確かにそうでしたが仕方ありません、御二人には御二人の御予定があるのでしょうから」

あたしがアリーナさんとミアさんに挨拶が出来なかった事を呟いていると傍らを進む蓮華が歩きながら応じ、あたしがそれに頷いていると信姫と一美が村外れの木立を指差しながら口を開いた。

「残念がるのはちっとばかし早いみたいだぜ、お嬢」

「信姫さんの仰有る通りですわ、御舘様」

2人の言葉を受けたあたしが2人の指差す方向に視線を向けてみると、木立の傍らにはアリーナさんとミアさんが立っていて、あたし達が2人の所に歩み寄るとアリーナさんが手を振りながら笑顔で声をかけてきた。

「今朝は早朝から採取があって朝は会えないから採取を終えてから、ここで待ってたんだよ」

アリーナさんがそう言うとミアさんが笑顔で頷き、それを目にしたあたしも笑顔になりながら口を開いた。

「ありがとうございます、アリーナさん、ミアさん、今からリッサの町に行ってきます、ミアさんが無事昇格資格を獲得出来る様祈ってますね」

あたしがそう言いながら頭を下げると蓮華達もそれに続き、それを目にしたミアさんは柔らかく微笑みながら口を開いた。

「皆さんありがとうございます、私も皆さんが無事ハンターになれる様お祈りしてますね」

ミアさんはそう言うと手にしていた大きめの袋からハープを取り出し、近くの木の根元に腰掛けながら言葉を続けた。

「皆さんの御無事を祈り、一曲、爪弾かせて頂きますね」

ミアさんがそう言いながらしなやかな指先でハープの弦を爪弾くと穏やかな澄んだ音色が周囲を優しく楽しげに舞い始めた。

あたし達は滑らかに動くミアさんの指先が爪弾く餞別の曲に静かに聞き惚れ、曲を弾き終えたミアさんは少し恥ずかしげにはにかみながら口を開いた。

「皆様の旅路に加護と祝福のあらんことを」

「……友の旅路に幸多からんことを」

ミアさんに続いてアリーナさんも優しい眼差しであたし達に言葉をかけてくれて、あたし達はその言葉を噛み締めながら深々と頭を下げた。

「……それじゃあ、行きます、無事ハンターになれたらアリーナさん達の長期警戒任務が終わる頃にもう一度ここを訪れますね」

「……分かった、その時を楽しみにしてるよ」

「皆さんにお会いできる日を楽しみにしていますね」

頭を上げたあたしの告げた再会の約束を受けたアリーナさんとミアさんは頷きながら返答し、あたしは大きく頷いた後に蓮華達を促して歩き始めた。

あたし達が歩き始めたのを確認したアリーナさんは傍らのミアさんに穏やかな表情で頷きかけ、ミアさんは頷き返しながら再びハープを爪弾き始めた。

歩き始めたあたし達をミアさんが爪弾く優しく楽しげな音色が包み、あたし達はもう一度アリーナさんとミアさんに頭を下げてから街道に向けて歩を進めた。

「……それじゃあ行くよ、皆」

「……承知しました、リリカ様」

「……畏まりました、御舘様」

「……どこまでもついて行くぜ、お嬢」

あたしが歩きながら蓮華達に声をかけると蓮華達は力強い口調で応じてくれて、あたしはその言葉を噛み締めながら蓮華達と共にミアさんの爪弾く音色の中を歩き続けた。



今からあたし達は異世界で初めて訪れた村を後にする、その村で出会った素敵な人達との出会いを噛み締め、再開を約した後にあたし達は新たな道を進み始めた。あたし達の進む道はまだ始まったばかり……

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