送別会
7500PVアクセスならびに2500ユニークアクセスを突破出来ました、これからも宜しくお願いしますm(__)m
新たな武具乙女、信姫が仲間に加わったあたし達は信姫が実力を示す為に単独で戦ってくれた後に時折襲ってくるモンスターを蹴散らし(蹴散らしてくれているのが蓮華達なのは言うまで無いけど)ながらレパント村へと戻り、女将さんと採取から帰って来ていたアリーナさんとミアさんに信姫の事を紹介した後に2部屋分(プラス夕食と朝食の)の料金を支払ってから部屋(部屋割りは籤引きの結果、あたしと信姫に蓮華と一美になった)に戻った。
あたし達は暫く部屋で過ごした後に夕食の為に1階へと降り、同じ様に降りて来ていたアリーナさんとミアさんと一緒に夕食を食べる事になった。
昨日の夜の様にアリーナさん達と楽しく夕食を摂っているとマリーさんも到着し、あたしが一美と信姫の事を紹介すると興味深げに2人を見ながらあたしに蝋封によって閉じられた封筒を手渡してくれた。
「……ほら、こいつがこの前言ってた紹介状だよ、これをハンターギルドの係員に見せれば余程の事が無い限り登録して貰える筈だよ」
「……ありがとうございます、マリーさん」
マリーさんの説明を受けたあたしは御礼を言いながら封筒を受け取るとそれを一美に部屋に持って行って貰い、封筒を部屋に入れて鍵をした一美が戻って来た所でマリーさんを含めた一同であらためて乾杯を行った。
「これであんた達がハンターになる目処はついた訳だねえ、ここから一番近いハンターギルドはリッサの町だからそこでこの紹介状を渡したら良いよ」
乾杯したマリーさんはグラスに満たされた葡萄酒を飲み干した後にそう言ってくれて、それを聞いたあたしは葡萄ジュース(お酒は蓮華達によって止められている、飲めるのに……)の入ったグラスを置いて口を開いた。
「たしか、リッサの町ってマリーさんがここに来る前に商売していた町ですよね」
「そうさ、町の規模は少し小さめだけどハンターギルドはちゃんとあるから登録自体は問題無く出来るよ」
あたしの言葉を受けたマリーさんはグラスに葡萄酒を注ぎながら答え、あたしとマリーさんの会話を聞きながら林檎酒(ちなみに葡萄や林檎等の一部の野菜や果物の名前と形はあたしの世界の物と一緒だった)を飲んでいたミアさんが空になったグラスに林檎酒を注ぎながら口を開いた。
「私の長期警戒任務もリッサのハンターギルドで受けたんですよ」
「ミアと一緒にこの町に来た時に丁度良くミアの昇格資格が獲得出来て、そのままこの任務を始めたんだよ」
ミアさんに続いてアリーナさんがサラダをつつきながら言葉を重ね、それを聞いたマリーさんは穏やかな笑みをアリーナさんとミアさんに向けながら口を開いた。
「アリーナはミアがルーキーハンターになりたての頃に知り合ってからずっと2人でパーティーを組んで行動してるのさ、ミアとパーティーを組むまでのこいつは無鉄砲に突撃しがちだったけど今はいい具合に角が取れてこうしてミアの昇格資格獲得をアシスト出来るまでになったんだよ」
「……む、昔の事はいいじゃないですか、マリーさん」
マリーさんの話を聞いたアリーナさんは恥ずかしそうに抗議の声をあげ、マリーさんは適度にそれをあしらうと葡萄酒のグラスを手に取りながらあたしに向けて口を開いた。
「最初にリッサの町で使えば良いとは言ったけど、ハンターギルドは他にもあるし、その紹介状にも有効期限なんて無い、だからその紹介状を使うのは何時でも何処でも構わないよ」
マリーさんの言葉を受けたあたしが蓮華達に視線を向けると3人はそれに応える様に穏やかな表情で頷いてくれて、それを確認したあたしは視線をマリーさんに戻して口を開いた。
「……ありがとうございます、マリーさん、早速リッサの町に行って紹介状を使わせて貰います」
「……そうかい、それじゃあ今度会う時はハンターになったあんた達と会えるんだね、楽しみにしてるよ」
「アタシも楽しみにしてるよ、どこかで会ったらその時は宜しく頼むよ」
「私もハンターになった皆さんとまたお会い出来る日を楽しみにしてますね」
マリーさんがあたしの言葉に応じたのに続いてアリーナさんとミアさんも言葉を重ね、あたし達が笑顔で頷いているとマリーさんが満面の笑みを浮かべながら言葉を続けた。
「それじゃあ今夜はあんた達の送別会と行こうじゃないか、ここはあたしが奢らせて貰うから遠慮せずにじゃんじゃんやっとくれ」
マリーさんはそう言うと女将さんに料理とお酒の追加を注文し、それからあたし達は唐突に始まった送別会を堪能した。
マリーさんが始めたあたし達への送別会は食堂が閉店間際になるまで賑やかに続き、解散するまで料理とお酒(若干不本意な事にあたしだけジュースだった)を堪能したあたし達は明日に備えて休息をとるために各々の部屋へと戻る事になった。
「いやあ、中々楽しい宴だったな、お嬢」
あたしと一緒に部屋に戻ったほろ酔い気味の信姫はそう言いながらベッドに腰かけ、お酒は飲めなかったけど楽しかった送別会の雰囲気に気分が高揚気味のあたしは頷いた後に信姫の隣に腰を下ろしながら口を開いた。
「蓮華や一美、信姫と出逢えたただけでも運がいいと思えるのにマリーさんやアリーナさん達みたいな良い人達とも出会えた、とても嬉しいし、とても幸運だと思うよ」
あたしがそう言っていると信姫は相槌を打つ様に小さく頷きながらあたしに視線を向け、あたしは信姫の琥珀色の瞳を見詰めながら言葉を続けた。
「明日は雑貨屋さんで必要な物を購入してマリーさんやアリーナさん達に挨拶してからリッサの町に向かう、また、信姫達に負担をかける事になっちゃうけど、宜しくね、信姫」
「……お嬢」
あたしの言葉を受けた信姫は小さく呟きながらあたしを見詰め、次の瞬間にはあたしの身体は信姫に抱き寄せられていた。
「……し、信姫」
「……お嬢は凄いよな、可愛いだけじゃ無くてカッコイイ、反則だぜ、お嬢」
あたしが突然の抱擁に狼狽えていると信姫はあたしを抱き締めながらそんな事を告げ、あたしはその言葉とあたしを包み込む信姫の身体の感覚に頬を熱くさせたけど密着している信姫の胸元に昼間抱き締められた時に感じた筈のサラシの感触が無いのに気付いて頬を更に熱くさせてしまいながら口を開いた。
「……し、信姫、さ、サラシの、感触が、その、な、無いみたいなんだけど?」
「……うん、そんな物、この部屋に入った時に寛ぐ為にほどいたぜ」
あたしの狼狽えながら問いかけを受けた信姫は事も無げな口調で返答し、それからあたしの身体を更にしっかりと抱き締めながら言葉を続けた。
「……お嬢に逢えて良かったぜ、こんな風に動ける様になって、お嬢に仕える事が出来る、ありがとな、お嬢」
「……うん、ありがとね、信姫」
信姫はあたしを抱き締めながらそう言ってくれて、あたしは頬が火照っているのを感じながら信姫の告げてくれた言葉に応じると、あたしを抱き締めてくれている信姫の身体を抱き締め返した。
「……お、お嬢?」
「……信姫の身体、温かい」
あたしに抱き締められた信姫は何時もの様子からは想像する事が難しい戸惑いの声をあげ、あたしがその声と信姫の身体の温もりに頭が少しぼんやりとするのを感じながら言葉を告げると暫く無言でいた後にあたしを抱き締める手に優しく力が籠った。
「……お嬢も、とっても温かいぜ」
優しくあたしを抱き締めながらそう言ってくれた信姫、あたしはその言葉に応じる様に信姫の身体を抱き締める手に力を込めて信姫の温もりを感じた。
信姫と出逢えたその夜、あたし達が進むべき道が定まり、その道を進む決意をしたあたし達は、この世界で出会えた人達はその事を祝福する宴を開いてくれた。




