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剛焔剣舞

戦闘描写がありますので閲覧は自己責任でお願い致します。


踏破済みのダンジョンで新たに出逢えた3人目の武具乙女、信姫と出逢えたあたし達は宿屋で貰ったお弁当(3人分)を4人で別けて食べ、それから暫く休憩して6000ヴェールを使って信姫のアビリティレベルを2つ上げた後にレパント村への帰路についた。

信姫は手にしている鞘に収めたへし切りを右肩に担ぎながら蓮華と共にあたしの前を歩き、あたしは一美と共に2人の後に続いた。

「……信姫殿、今の所モンスターの強さは然程の物では無い、だが、私達にはリリカ様を御護りするのが最大にして唯一の目標、その為にも常にリリカ様の周囲を気にかける必要がある」

「……成程、確かにモンスターを殲滅してもお嬢が攻撃されちゃ元も子も無えからな、了解したぜ、蓮華、お嬢に近付くモンスターは片っ端からぶった斬ってやるよ」

蓮華から話しかけられた信姫は頷きながらそれに応じ、その様子を見ていた一美は微笑を浮かべながらあたしに声をかけてきた。

「なかなか心強い御方ですわね、御舘様」

「……うん、とってもありがたい話だよ……ッ」

あたしが一美の言葉に応じていると前方から何かが近付いてくる気配が感じ取られ、あたしは前方を見据えながら3人に声をかけた。

「皆、前から何かが近付いて来てるよっ!!」

あたしの言葉を受けた3人は即座に前方を見据え、数拍の間を置いた後に蓮華が腰の妙法蓮華経に手を添えながら口を開いた。

「……確かに、前方から害意が近付いていますね」

「……ああ、俺等より先に気付くなんて、やっぱ流石だな、お嬢は」

蓮華に続いて信姫も前方を見据えたまま呟き、あたしの傍らで銃剣付マジックマスケットの射撃態勢を整えた一美も頷きながら口を開いた。

「……御護りせねばならぬのに御舘様の方がわたくし達より先にモンスターの気配を察知してしまう、良い事ではありますが少々複雑ですわね」

一美の声を聞いた蓮華と信姫はゆっくりと頷き、その様子を目にしたあたしは3人を見詰めながら口を開いた。

「……あたしが皆より早く近付いてくるモンスターに気付ける様になったのは皆があたしの下に来てくれたおかげだよ、それにどれだけ早くモンスターの接近に気付けたとしても戦えないあたしはやっぱり皆に護って貰うしか無い、皆に苦労をかけちゃうけど、御願いね、皆」

あたしは皆を見詰めながらそう声をかけ、それを受けた皆は頷きながら言葉を返してくれた。

「……お任せ下さい、リリカ様、そう言って頂くだけで私達の力になります」

「……この身体は御舘様に頂いた物ですわ、ですから御舘様が気になさる必要等ありませんわ」

「……ふ、心配するなよ、お嬢、お嬢に近付くモンスターどもは1匹残らず撫で斬ってやる、だからお嬢は後ろでデンと構えててくれよ」

蓮華達は次々に言葉を返してくれて、最後に言葉を返してくれた信姫は一歩前に踏み出すと肩に担いでいたへし切りを肩から外しながら更に言葉を重ねた。

「……お嬢、今こっちに近付いて来てるモンスターどもとの戦いについてなんだが、良ければ俺一人に任せてもらえねえか?取りあえず俺の実力を見せときたいんだよ」

信姫はそう言うと肩から外したへし切りの鞘に左手を添え、あたしは暫し思案した後に信姫を見詰めながら言葉を返した。

「……分かった、信姫に任せるよ、気をつけてね、信姫」

「……ああ、大丈夫だよ、お嬢」

あたしの返答を受けた信姫はそう言うと顔をあたしの方に向けて更に言葉を続けた。

「……お嬢は優しいんだな」

「……し、信姫」

信姫はそう言うと今までの野性味溢れる雰囲気からは想像出来ないあどけない笑みを浮かべ、突然の信姫の言葉と笑顔を受けたあたしが自分の頬が熱を帯びたのを自覚しながら行った呼び掛けに頷く事で応じた後に視線を前方に向けた。

「……それじゃあ、行ってくるぜ、お嬢」

信姫はそう言いながら鞘からへし切りを抜き放ち、陽射しを浴びたへし切りの刀身が凄絶な煌めきを放つ中モンスター、草鬼に率いられた5匹の草子鬼が姿を現した。

モンスターの姿を確認した信姫は鞘を腰紐に差し込んだ後に一気に駆け出し、瞬く間にモンスターとの距離を詰めると手近な所にいた草子鬼に斬りかかった。

信姫の斬撃を受けた草子鬼は応戦する暇すら与えられずに斬り捨てられ、配下が倒されたのを目にした草鬼があげた怒りの咆哮を受けた残りの草子鬼達は剣を構えると雄叫びをあげながら信姫に向けて殺到した。

信姫に近付いて来た草子鬼は手にした剣を信姫に向けて振り降ろしたけど、信姫は軽くステップバックして回避した後に空振りによってバランスを崩した草子鬼に向けてへし切りの刃を閃かせた。

陽射しを浴びて輝くへし切りの刃の標的となった草子鬼が一太刀で斬り捨てられて倒れる中、新たな草子鬼の斬撃が信姫に放たれ、信姫は小さく身を捻らせてそれを躱しながら腰に差した鞘を左手で取ると手にした鞘で斬撃を浴びせて来た草子鬼の腕を強かに打ち据えた。

鞘で腕を打ち据えられてしまった草子鬼は悲鳴の様な声をあげながら手にしていた剣を落とし、信姫は残る2匹の草子鬼が放った斬撃を躱した勢いを利用して丸腰になった草子鬼へと近付いてへし切りの刃を振るった。

信姫の凄まじい斬撃を受けた草子鬼の亡骸はアビリティの発生によって生じた焔に包まれ、その光景を目の当たりにした2匹の草子鬼は怯んだ様に数歩後退してしまった。

草子鬼達が後退するのを目にした信姫は鞘を腰に戻しながら草子鬼達の所に駆け寄ると2匹の草子鬼を瞬く間に斬り捨ててしまい、配下の草子鬼を斬り捨てられてしまった草鬼は怒りの咆哮を轟かせると巨大な棍棒を振り回らしながら信姫目掛けて駆け出した。

「……御舘様?」

草鬼の突進を確認した一美はマジックマスケットの銃先を突進する草鬼に向けながら確認する様にあたしに呼びかけ、それを受けたあたしは両手を痛いくらいに握り締めて静かに佇んで草鬼の突進を迎える信姫の背中を見詰めながら口を開いた。

「……あたしは、蓮華や貴女と同じ様に信姫も、信じてるよ」

「……畏まりました」

あたしの返答を受けた一美は穏やかな口調で応じてくれて、あたしが小さく頷いていると蓮華が固く握り締めていたあたしの手を握ってくれた。

「……れ、蓮華?」

「……大丈夫ですよ、リリカ様、信姫殿なら、あの程度の敵等、物の数ではありませんよ」

あたしが思わず蓮華に声をかけると蓮華はゆっくりな口調で語りかけながらあたしの手を握ってくれて、あたしは握り締めていた手の力を少し緩めながら頷いた。

そうしている内に突進していた草鬼は佇む信姫の所に到達すると雄叫びをあげながら振り上げた棍棒を信姫目掛けて振り下ろした。

振り下ろされた棍棒は地面に叩きつけられて土塊を跳ばしたけどそこにいた筈の信姫は既に草鬼の頭上近くにまで上段にへし切りを構えた状態で跳躍していて、それに気付いた草鬼は慌てて棍棒を両手で頭上に掲げて防御の構えを取ったけど信姫はそんな事お構い無しに落下しながら上段に構えたへし切りを振り下ろした。

振り下ろされたへし切りは掲げられた棍棒ごとを草鬼の巨体を両断してしまい、信姫は草鬼の亡骸がアビリティ発生による焔に包まれる中、地面に着地した。

着地した信姫が立ち上がっていると倒された草鬼と草子鬼が光の粒子となってあたしの中へと吸い込まれ、立ち上がった信姫はへし切りを鞘へと戻しながらあたしの所に歩み寄って来た。

「……流石の実力でしたわね、御舘様」

あたしが近付く信姫を見詰めているとあたしの傍らに近付いて来た一美がそう声をかけながら空いているあたしの手を安心させる様に握ってくれて、あたしが両手を優しく包み込んでくれる蓮華と一美の手の感触に頬に少し火照らせながら頷いているとあたしの所に近付いて来た信姫がワイルドな笑みを浮かべながら口を開いた。

「どうだい、お嬢、俺の実力は?」

「……うん、とっても凄かったよ、お疲れ様、信姫」

信姫の言葉を受けたあたしはそう答えながら握り締めていた拳を開き、それに気付いた信姫は少し怪訝そうな顔をしてあたしの両手を握っている蓮華と一美に視線を向けた。

信姫の視線を受けた蓮華と一美は穏やかな表情で頷き、それを目にした信姫は得心した様に大きく頷いた後にいきなりあたしの身体を抱き締めてきた。

「……し、信、姫?」

「……ったく、お嬢はホントに優しくて可愛いなあ」

あたしが抱きついてきた信姫の身体の引き締まりながらも柔らかな感触に頬を熱くさせながら信姫に呼びかけると信姫は嬉しそうにそう言うとあたしを抱き締めながら言葉を続けた。

「……心配ないぜ、お嬢、あんな奴等、俺等の敵じゃねえよ、だから、安心してくれよ、お嬢」

「……うん、ありがとう、信姫」

信姫の言葉を受けたあたしがそう答えると信姫はそれに応じる様に優しく、そしてしっかりとあたしの身体を抱き締めてくれた。



あたしの所に来てくれた3人目の武具乙女、信姫、彼女が鮮やかに舞いながら操るのは備えごと敵を斬り裂く、焔を宿した剛刀……

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