探索
これからも本作を宜しくお願い致します。
レパント村を出たあたし達は途中のモンスターを倒し(勿論倒しているのは蓮華と一美だけど)ながら前進を続け、村を出て2時間程した所で目的地である踏破済みのダンジョンへと到着した。
そのダンジョンは小高い岩山の麓に穿たれている洞窟で、それを目にしたあたしは蓮華と一美に視線を転じながら口を開いた。
「到着したね、アリーナさん達の話だと別れ道の無い一本道で奥まで一時間程だって言う話だから、このまま入ってみようか?」
「……そうですね、そうしましょう」
「……私も異論ございませんわ」
あたしの提案を受けた蓮華と一美は頷きながら賛成してくれて、それを聞いたあたしは現在の所持金(3万5275ヴェール)を確認した後に言葉を続けた。
「それじゃあ行こうか、その前に二人ともちょっと立っててね」
「「……?」」
あたしの言葉を受けた蓮華と一美は怪訝そうな面持ちになりながらも頷いてくれて、あたしはそれを確認した後に2人のレベル上げを始めた。
武具乙女のレベルを上げる為には戦闘では無くてヴェールが必要でその計算式はキャラレアリティ×アビリティレベル×1000ヴェールとなっていて、あたしは現在の所持金の内3万ヴェールを使用して蓮華と一美のアビリティレベルを2つづつ上昇(蓮華に1万8000ヴェール、一美に1万2000ヴェールを使った)させた。
「……よし、それじゃあ行こうか、蓮華、一美」
「はい、リリカ様」
「畏まりました、御舘様」
2人のレベル上げを終えたあたしが2人に声をかけると2人は頷きながら返答し、あたし達は夜目薬を飲んだ後に蓮華、あたし、一美の順番で岩山に穿たれた洞窟へと入って行った。
洞窟の内部はだいたい3〜4メートル程の高さと幅を有した空間でその地面は全体的に平坦な状態になっていて、あたしは夜目薬の効果で得た暗視能力で内部の様子を確認しながら呟きをもらした。
「やっぱりダンジョンなんだね、見た目は単なる洞窟だけど普通の洞窟より遥かに歩き易くなってるね」
「そうですね、この空間なら戦いにも支障はなさそうですね」
「私も腕を振るえそうで一安心ですわ」
あたしの呟きに対して蓮華と一美も油断なく状態を確認しながら相槌を打ち、それからあたし達は周囲の状態に注意しながらダンジョンの奥へと進んで行った。
(……あれ、前から何か来てる?)
暫く進んでいた所であたしは前方から進んでくる気配の様な物を感じ、それとほぼ同時に蓮華が足を止めながらあたしに声をかけて来た。
「……リリカ様、前方から何かが来ます、恐らくはモンスターかと」
(……蓮華と同じくらいの早さでモンスターの気配に気付けた!?2人のレベルを上げたおかげかな?)
蓮華の言葉を受けたあたしはそんな事を思いながらその足を止めた。
「武具乙女」でのプレイヤーのレベルは所属する武具乙女のレベル合算値であたしの今のレベルは蓮華と一美のレベルの合算値であるレベル12(ステータスを確認したらHPの上限がかなり上昇していた)の筈だ。
ゲーム内ではプレイヤーのレベルが上昇してもHPとクエストを探索する際に消費されるタフネスの最大値が上昇するだけだったのだけどこの世界では危機察知能力も上昇しているのかもしれない。
「……蓮華さん、私は何時でもいけますわ」
あたしがそんな事を考えていると後方にいた一美が淡く輝き始めたマジックマスケットの銃先を前方へと指向しながら蓮華に声をかけ、蓮華が小さく頷いた後に右手を腰の妙法蓮華経に添えていると前方から4匹の岩子鬼(草子鬼の焦茶色バージョンで岩山とから岩場で活動している)が姿を現した。
「……一美殿、先頭の奴を射ってくれ、後は私が斬る」
「……分かりました、頼みますわね、蓮華さん」
草子鬼の姿を確認した蓮華は岩子鬼の集団を見据えたまま一美に声をかけ、それを受けた一美は小さな声で応じながらマジックマスケットのトリガーを操作した。
一美のマジックマスケットは洞窟内に銃声を轟かせながら魔弾を発射し、放たれた魔弾は先頭を進んでいた岩子鬼の頭部を射ち抜いて骸へと変えた。
骸と帰した岩子鬼が崩れ落ちる中、他の岩子鬼達は混乱した様な唸り声をあげながら周囲を見渡し始め、それを確認した蓮華は妙法蓮華経を抜き放って混乱する岩子鬼達の只中に向けて突撃した。
岩子鬼達の只中に突入した蓮華は妙法蓮華経を閃かせて瞬く間に3匹の岩子鬼を斬り捨ててしまい、蓮華は倒された岩子鬼達が光の粒子となってあたしの身体に吸い込まれて行くのを横目で確認しながら妙法蓮華経を鞘へと収めた。
「……お疲れ様、蓮華」
「……お見事でしたわ、蓮華さん」
あたしと一美は蓮華の元へと歩み寄って声をかけ、あたし達の労いと賞賛の言葉を受けた蓮華ははにかみながら口を開いた。
「……ありがとうございます、リリカ様、それと一美殿、貴女の射撃も見事でしたよ、おかけで楽に敵を倒せました」
蓮華の言葉を受けたあたしと一美は微笑みを浮かべ、それからあたし達は更にダンジョンの奥へと進んで行った。
ダンジョンを進んでいると岩子鬼や岩鬼(岩子鬼の親玉で外見は草鬼の灰色バージョン)や飢狼犬、蠍の尻尾を持ったでっかい鼠なんかが襲って来たけど蓮華と一美は難なくそれらのモンスターを蹴散らしてしまい、あたしは2人に護ってもらいながらダンジョンを進んで行った。
ダンジョンを進んでいると宝箱(外見もザ・宝箱って言う感じだった)を2つ見付けたけど既に踏破済みだった為どちらの宝箱も空っぽで、あたし達は空っぽの宝箱をその場に置いたまま更にダンジョンの奥へと遭遇するモンスターを蹴散らしながら進んで行った。
2つ目の空っぽの宝箱を発見してから更に進んでいると目の前に行き止まりである事を示す岩壁が出現し、それを確認した蓮華はあたしに視線を向けながら口を開いた。
「どうやら一番奥まで到着した様ですね、リリカ様」
「……そうみたいだね」
蓮華の言葉を受けたあたしは頷きながら応じると周囲を確認してみた。
岩壁の前には小さなストーンサークルの様な石柱の集まりが存在していて、あたしは何気無くそれを眺めていたけど石柱の中の1つを目にした瞬間思わず声をあげてしまった。
「あれって、ギフトシンボル!?」
「……リリカ様?」
「……いかがなさいました、御舘様?」
あたしのあげた驚きの声を耳にした蓮華と一美は驚きと戸惑いが入り雑じった声をあげ、あたしはその声を耳にしながら石柱の1つに浮かんでいる印、ギフトシンボルを見詰めた。
踏破済みのダンジョン、何気無い気持ちでその場の探索を行ったあたしはダンジョンの奥で意外な物を発見した。
踏破され宝も取られ尽くした筈のダンジョンで発見した物、それは新たな武具乙女が存在している事を示すギフトシンボルだった……




