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題噺  作者: 谷渓峪
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唐揚げ

「なあ、唐揚げってなんなんだろう」

卒業式もすでに終え、なんとなくふわふわした時期に居る僕は、無二の親友でもなんでもない腐れ縁の友人と食卓を囲もうとしていた。いまだ食材は一つもないが。

そして、何を作るか相談しようという矢先に出た、友人からの言葉がこれだった。

「唐揚げが食べたいのか?」

「違う! 違うんだ! 私は唐揚げが食べたいわけではない!」

あまりの剣幕に僕は後ろへと気圧されてしまった。暖かい炬燵からいきなり立って、テーブル上に置かれていた蜜柑を揺らすほどの力で思い切り叩いたのだから、僕が気圧されても仕方が無い。

「そうなのか。じゃあ何を食べようか。寿司とかいいんじゃないか」

「寿司なんてそこら辺の回転ずしで食べれるだろう! 私は! オリジナルな! 唐揚げが食べたいのだ!」

「やっぱ食べたいじゃないか」

「しかし、私は唐揚げを作ったこともないし、からあげられたことも無い」

「奇遇だね。僕も無いよ」

「だから唐揚げの定義から決めようということだ!」

「なるほど。君を揚げたものが唐揚げなのかから決めないといけないんだね」

「私を揚げたものが唐揚げなわけがないだろう!」

「うん。僕もそう思うよ」

「…………」

黙った。

「まず、唐揚げの中身は鳥みたいな風潮があると思うんだ」

「豚だったらとんかつだよね」

「牛だったら……?」

「聞いたことが無いね。僕が寡聞なだけかもしれないけど」

友人は黙り込んだ。

「原材料から考えるのはいけない」

断言した。

「変わり身早いな……」

「私は唐揚げの神髄を見つけようと努力しているのだ! 多角的方面から検証しようというのは当然だ!」

「なるほど……」

「ということで、唐揚げはなんで唐揚げなんだろう」

「お腹すいた」

「じゃあ私が唐揚げ買ってくるから、白米でも炊いててくれ」

そういうことになった。

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