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幼馴染
カーテンを開けると、月光がまるで僕を突き刺すように光っていた。視線の先には、何時もほんの少しだけ見えている、彼女の部屋があった。携帯を開くと、十時頃が表示されている。
寝転ぶ彼女は、おそらく僕の視線を察しているだろう。
今でも、たまに会話をする――その時の彼女の表情は、不文律を語るような、陰のある表情をしていた。携帯は時刻のみを表示している。
彼女は満面の笑みを浮かべながら、文字を画面に滑らせていた。一瞬、ピンク色の携帯が光ったかと思うと、彼女の表情に花が咲く。
そんな様子を、十分くらい見ていた。彼女は何度か寝返りを打つように身体をくねらせていた。
そして、僕の携帯が震えた。当然のように、僕が今視界に収めている幼馴染からではなかった。
通知として表示された文面は、高校からの親友の名が表示されていた。
「なぁ! 幼馴染ちゃんとデートに行くことになったんだが、場所はどこが良いかな? お前が一番詳しいと思ってさ!」
僕は携帯を布団に投げだし、カーテンを静かに閉めた。