七彩色の能力者(リレー小説)
警報警報警報警報警報警報警報警報警報警報
周囲を敵プレイヤーに包囲されています。
ただちに防御態勢を立ててください。
警報警報警報警報警報警報警報警報警報警報
オペレーティングシステムの機械的な声が鳴り響く。
目の前も警報という文字が赤く光り、俺に危険を知らせていた。
しかし、俺にとってそんなものは日常の一コマでしかない。
ほかのプレイヤーなど俺にとってはいないも同然なのだから。
左から弾丸、右からは爆弾。正面からは斬撃が襲い掛かってくる。
こんなものよけるまでもない。
俺の脚はなくなり、右腕はちぎれた。
こんな激痛でさえももう慣れたものである。
慣れてしまうという事に少しの嫌悪感を感じる。
そして数秒後には俺の体は手足が生え始め、完全回復していた。
周囲からは悲鳴が上がる。
「ば、化けものだぁ!!」
そういって逃げ惑うほかのプレイヤー達。
化け物か、なるほど、そうかもしれないな。
そんな風に思いながら俺はいつも通りに歩き出した。
俺は指をパチンッとならした。その瞬間。逃げ惑う相手の体が木っ端みじんに吹き飛んだ。
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能力名:再生身体&同調身体
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俺の能力は自分が受けた分だけのダメージを再生し、相手に返すことができる。なぜ戦っているかなんて俺だってわからない。でも戦うしかなかった。
このバトルは無差別に世界中の人々を選出し、戦わせる。ただそれだけのものだ。誰がこんなことをしたかなんてわからない。ルールなんてそこには存在しなかった。ただ勝ち残ればいい。そう本能が告げていた。
「はぁ、ゆくっり歩くひまもないな」
後ろから足跡がする、2人…いや3人か
「しょうがない、新しい能力の実験材料にでもなってもらうとするか」
俺は振り返って敵の足を見た。そうすると敵の足はバキバキに折れ始めた。
敵は悲鳴を上げる
そのまま、三人ともぐちゃぐちゃにつぶれて肉片と化したのだった。
「この能力はちょっと汚いな…」
俺はそう言うと肉片に手を合わせる。
「ごめんな、ルールだから…俺はまだ死ねないんだ」
そういった俺の顔はなんだか悲しそうな表情だったかも知れない
そう俺には死ねない理由があるんだ、、
ーーー7年前ーーー
「ねぇねぇ、みてみて〜。このお花きれーだねー」
そこには赤いワンピースのよく似合う5歳の女の子がいた。
「おい、そんな走り回るなよ」
俺はそうその女の子に声をかける。
そう、俺には5歳下の妹がいたんだ。
「お兄ちゃん。はい。お花!」
妹は兄思いのいい子だった。
「あ、向こうにもお花がある!」
そう言って妹は走っていく。
「きれいなお花たくさん取ってきてくれよ」
「うん、お兄ちゃんのためにいっぱいとってくるね」
妹はそういって元気よく走っていき、それ以来会うことはなかった。
なぜなら俺がその後すぐにこのゲームに選ばれたからだ。
……………あれからもう7年か
プレイヤー人数は圧倒的に減っているはずだが終わる気配がまったく感じられない。やはり最後の1人になるしかないのか、、
この7年は俺には早かった。戦わなければ殺されて死んでしまうからだ。最初は生きることに必死だった。そして日が過ぎるにつれて妹の安否がわからないのが何よりも心配となった。7年もたってしまうなんておもってもみなかった。そう考えているうちに時間は過ぎ、また戦いがはじまる。そして近くで大きな光の柱みたいなものができていた。
これは通常、新たなプレイヤーが召喚された時のエフェクトだ。
…またこっちにきてしまったやつが一人増えるのか。
どんな奴なのか。
いつもなら気にならないが、なんだかこの時ばかりは見に行ってみる気になったのだった。
それから二時間後、俺は女の子の手を引いて追っ手から逃げていた。
なぜそうなったのか、説明させてほしい。
光の柱はこの世界に召喚された目印となるが、それによって初心者狩り集団も集まってしまう。
俺は久しぶりに芽生えた野次馬魂程度の気持ちで見に行ったが、真ん中では女の子が総攻撃を受けていた。
結論を言えば、助けたのだ。
気付くと手を引いて走っていた。
なぜ、こんなことをしたのかわからないが、それは少し前に妹のことを考えていたために、女の子を放っておけなかったのかも知れない。
あるいは、この女の子と妹を重ね、守ってやろうとしたのかもしれない。
「ちっ、まだ追っ手がきやがる、おい、ちょっと伏せとけよ!派手に行かせてもらうぜ!!」
俺の両手に力が集まる。
そのまま追っての群に手のひらを向けた、それと同時に目の前が白くなる。爆発を起こしたのだ。
「ちょっとやりすぎたか。まぁいいや。おい、大丈夫か?」
強すぎる爆風で女の子に影響が出ていないか心配になる。
「だ、大丈夫です。ありがとうございます。」
女の子は泣いていた。
「なにが起きたかわからないかも知れないが今は逃げるぞ、走れるか?」
俺は問いかける。
女の子は黙って頷いた。
「そういえばまだ名前を聞いてなかったな。なんていうんだ?」
礼儀として、いや、逃げる時に何を話せばわからなくてそう話しかけていた。
「わ、私は芦屋 日和っていいます…」
女の子はそういって黙りこんでしまった。
「いい名前だな。」
俺はそれだけ言うと今後について考え始めた。
なんにせよ今は追われる立場。とりあえず、この世界の説明をしながらどっかに隠れるか…
「この世界の説め…」
「仲間にしてください!」
隣の女の子、日和ちゃんはそう叫んでいた。
「…は?」
正直訳が分からない。
「あなたは私を助けてくれた、悪い人じゃない…ですよね?」
日和と名乗る少女はそう言う。
「お前を俺が騙そうとしている仮定はないのか?その場で相手をまるっきり信用するのはよくないと思うぞ」
俺は俺としての意見を言う。
なんか、大丈夫な気がするんですと日和は言う。
何を根拠に彼女はこんな自信に満ちた顔をするのか…。
日和は続ける。
「あー!今、呆れてますね?根拠は?とかおもってるでしょ!」
「まぁな…、どんな根拠なんだ?」
そう言って日和の意見を聞いてみる。
「ズバリ、女の感です」
日和は人差し指指を立てて自慢げにいう。
「お前の感があたるといいな」
俺はそう言いながらも少し嬉しかった。
少しくらいは寂しさも失せるかもしれないな。と思ったのだった。
「あっ、そうだ!」
何かを思い出したかのように日和は言った。
「これ何か知りませんか、気がついたらポケットの中に入ってたんですが、、」
俺は興味なさそうにその物を見た。
!!!
思わず目を見開いてしまった。
スキルリングじゃねえか、7年このゲームに参加しているがまだ自分は一つしかもってない代物だ。
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《スキルリング》
身につけるとそのリングに応じた能力を使うことができる。物理攻撃、
遠隔操作、回復、などジャンルは様々。稀に初心者ボーナスで得ること
ができる。
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その事を説明し、日和にスキルリングをつけるように言った。
「じゃあ、つけてみますね!」
そして日和はスキルリングを装着した。
「どうだ?」
「どうだって言われても…何をどうすればいいんですか?」
「手や足に力を込めたりしてみろ」
「分かりました!やってみますね。…なにも起こらないんですけど?」
「ほかにもいろいろとやってみろ」
それから俺と日和でいろいろ試してみたもののなにも起こりはしなかった。
「とりあえずスキルリングのことは置いとこう。じゃあ、この世界の話をするぞ。まずこの世界には…」
俺は日和にこの世界のあらかたの説明をした。
「要するに、この世界に入る前にひとつだけ能力が芽生える。そしてその能力はどうすれば使えるかわかる。6時間安全な場所、セーフティゾーンっていうものもがある。ってことですかね?てか、竜さんの能力は何ですか?」
「教えない。」
「なんでですか~」
日和が駄々をこねる。
「初対面のやつに教えるのは自分を不利にしてしまうからな」
「それは…そうですね。」
たしかに・・・。と日和はうなずいていた。納得してくれたみたいである。
「とりあえず、セーフティーゾーンに行くか、今日はお前も召喚されたばかりで、つかれただろ?」
俺は日和を労うようにそういって歩き始めたとき
目の前が真っ赤になった。
結論を言おう。俺は何者かによって狙撃されたのだった。
即座にスキル≪再生身体≫を使い体制を整え、狙撃手を探す。
しかし、見つからない。
すぐにわかった、これは俺を知っているやつの攻撃であると。
スキル≪同調身体≫はダメージを相手に返すわざだが、相手が分からないと使えないという弱点がある。
それを知っているやつの攻撃であることはわかった。
くそっ、敵の気配がまったくしねぇ、逃げ足のはやいやつだ。しかしなぜだ?俺の能力を知っているならばこの程度の狙撃では2、3秒あれば再生することも知っているはず。狙いは俺を殺すことではない?
ハッ︎
日和のことを思い出し周りを見る。
日和は横で倒れていた。
ケガはない、気絶しているだけか。
日和は無事だったがそれと同時にあることにも気づいた。
…リングがねぇ…
日和が目を覚ましたのはセーフティゾーンについてから1時間くらいたったあとだった。
「ん…」
日和はやっと目を覚ましたようだ。
「おい、大丈夫か?」
少し心配なので声をかける。
「なんとか…ですが、一体なんだったんですか?」
「リング狩りだ。」
そう俺は言い、さらに付け加える。
「それに俺の知っているやつだ。あいつがリングを集めているとなるとだいぶ厄介なことになる。取り返しに行きたいところなんだが相手の場所がな…」
「それなら分かります!」
日和がいう。予想外だった。
「ここにいれば六時間は安全だが、一応教えてくれ、さっきのやつは近くにいるか?」
俺は確認がてら聞いてみる。
「ううん、ずいぶん遠い…です。」
日和はそう答えた。
「そうか、すぐに追いかけたいが今はお前の回復が先だよ。あと5時間。休んでから行こう。」
俺はそう言って横になり、眠りについた。
目が覚めたのは外が暗くなったころだった。
あと30分でセーフタイムが終わる。
「あ、起きましたね。」
日和が話しかけてきた。
「あぁ、もう大丈夫なのか?」
体を起こして日和を見る。
「はい、おかげさまでゆっくり休むことができました。」
起きてすぐで悪いんですけど、、そう日和は続ける。
日和の話によるとさきほどの敵が結構近くにいるらしい。
今のうちに倒しておくか、今逃せば次はいつになるかわからないからな。
次はこっちから奇襲をかけてやる。
「日和、詳しい敵の場所は?」
「ここから南西、距離3km地点です。」
日和が目を閉じ、何かを見ているのだろうか。そんな風にして答える。
「よし、俺は少しでてくる。お前はここで待ってろ。」
「私もいきます。」
「ダメだ、また危険な目にあわすわけにはいかない。」
本心だった。また何があるかわかない。ここに残るよりも逃げてくれと言いたかった。でも、ここで日和を逃がすことは直結して日和を殺しかねない。
「そんなに心配しないでください。私だって、、!」
2人が言い争っているなか日和が急に会話をとめた。
「あなたみたいに強くなりたいんです!」
そういった日和の目にはとても強い意志を感じた。
「…わかった。着いてきてもいいが俺の守れる範囲内にいろよ。」
「はい!」
俺は甘いなと思う。日和を守りながら戦えるほど甘い敵ではないのに。
それからすぐにその敵がいるところに向かった。
「あの空き地に座ってる人です!」
日和が指を指す。
「わかった。ありがとう、だが今までとの戦いとは段違いに危険だから少し離れていてくれ。」
「分かりました。」
日和もさすがに気を使ったのか、いや身の危険を感じたのか、そう言った。そして俺は空き地へと向かった。
「結構待ったよ、わが友よ。しかし、この世界に退屈してきたよ。まったく…。みんな弱すぎさ…。」
空地の彼はこう言う。しかし、これは恒例のやり取りとなっていた。
「そんなことはどうでもいい。早く奪ったスキルリングを返せ。」
「それをスキルリング狩りの俺に言うのか?呆れたやつだな。」
こいつの名前は小倉 虎。俺と同じ7年前にやってきたやつだ。こいつとはしょっちゅう殺し合いをするんだがなかなか決着がつかない。
「早く戦いをしようぜ。お前は強いから退屈しなくて済むから…なっ!」
そう言って虎は攻撃を仕掛けてきた。
虎の攻撃はその多彩さにある。それもそのはず虎はスキルリング狩りでも有名なプレイヤーだからである。
あうたびに変化しているその技の数は技が多彩な相手をたくさんみてきた俺でも予想を出来ない。
スキルリングは一つの能力をボーナスとして獲得できるが、あくまでも初心者ボーナス。
それゆえに、そこから発動される技など想像内であり、何が起こるかがわかりやすいのだ。俺が今まで見てきたスキルリングの技は見るからにタイプわけのできるものしかなかった。
「悪いな、虎。お前の技見分けられるんだわ。」
そう言って技を俺は見極めようとした。
瞬間。俺は大きな衝撃を受けて吹っ飛ばされていた。
結論として、見分けることができかった。ということである。
「おいおい、見分けられても見切れなかったら意味ないぜ。」
虎はそういってまた攻撃態勢に入る。
その動作よりもはやく俺は仕掛けた。
虎の右腕めがけて能力を発動する。
「悪いな。能力が多彩なのはお前だけじゃねえんだ。」
能力を発動した瞬間に虎の腕が凍りはじめる。
虎は少し驚いた顔をしたがすぐに冷静さを取り戻し能力を発動した。
右腕の氷が溶け始める。
おそらくスキルリングの能力、熱である。
「そんな、ちっぽけな能力で俺を止められるとおもったか?氷雪系の能力なら俺の炎熱系の能力のほうが強え。これでもくらいな。」
虎が指先をこちらに向け指先から熱光線が発射される。
しかし俺に当たりそうになったところでいきなり熱光線が消えた。
流石に虎も驚きを隠せない。
「なにしやがった、、。」
「俺の能力を氷雪系と判断したのはミスだったな。残念ながら違うんだ。」
俺はそう話ながらさらに能力に力をいれる。
この能力はエネルギー変換の能力だ。だから、光エネルギーと熱エネルギーを変換して、合わせて熱エネルギーにして、再び攻撃をした。
「まぁ、能力は教えんがな。」
そう言って虎の周りを高音の熱で覆いつくした。周りのコンクリートごと虎も溶けていった。
がしかし、手ごたえがまるでない。
「…ちっ、またか」
スキルリングの能力、分身である。その数秒後、腕がちぎられていた。
腕はすぐに再生するが戦闘中においてその数秒のスキは大きい。
虎はいつくかのスキルを使って総攻撃をしかけてきた。ガードが間に合わない。
俺はその全ての攻撃を受けてしまった。
見た目に俺は体の原型を保っていなかった。
しかしそれでも再生する。
「お前がその程度では死なないことは知っているよ。だから今回はこいつを使わせてもらう。」
虎はポケットからリングを取り出し指にはめた。
俺の周りの地面から数えられないほどの札が現れた。
そして周囲を次々と取り囲んでいく。
「新たな能力、封印だ。これでお前はなにもできねえ、俺の勝ちだ。」
虎は勝ちを確定させたかのような態度で笑っている。
しかしその笑い声もすぐに消えた。
「なにっ︎?」
虎の視界は突然切り替えられ目の前には札が舞っていた。
「な…んで俺の周りに札が、、」
能力『相互転移』
俺はこれを発動させたのである。
「残念だよ、虎。」
もう、君に会えないと思うとね。
虎は自分の能力で封印され、その場に札だけが残る。
俺はそれを拾い上げて、破り捨てた。これがルールだから。
持っていたかったけど、助けてやることも出来ない。そんなものを持っていては辛くなるだけだから。
「虎。お前、相互転移の能力知ってただろ?」
そう、空に話しかける。
またな。そう言って俺は次に進んだ。七年の親友にまたなと言って。サヨナラじゃないのはまたどこかであえる気がしたから。またどこかで会うことを祈って。
「日和、行くぞ。」
俺はそういって歩き出した。
7年の月日をもってしても変われなかった心情が、誰か守るべき人を手に入れると何か変われる気がしていた。
このたびは連合作家によるファンタジーリレー小説を人儚が改稿して投稿しました。楽しく読んでいただければ幸いです。




