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恋物語  作者: ゆうこ
春の頃
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至福のひととき

翌日、星宮さんは見事に復活した。


「いつの間に寝たんだろう。会場にいた頃から記憶が曖昧で・・・。」


と首をひねっていたのはご愛敬だ。

会場に着くと生徒会とお嬢様方を除いた実行委員が集まっていた。


「おはようございます。」


挨拶をするとみんなの視線が突き刺さった。

やばい。

昨日さっさと帰ったこと、かなり恨まれてる!?

思わず一歩下がると


「雅せんぱーい」


涙目の笹原くんが飛び出してきた。


「!?」

「花の事、すみませんでした!」

「なんで!?」


よく見れば実行委員のみんな温かい目でこちらを見ている。


「具合の悪い星宮さんを休ませるためだったって、晴可先輩が言ってたんだよ。」


近くに来た真田くんが教えてくれた。

くそう。

頭ぽんぽんに動揺して口止めするの忘れてた。


そのあと涙目で抱きつく星宮さんをなだめるのにえらく手間取った。


なんでだろう。

星宮さんが来てから私のいい人度数が半端なく上がっているような気がする。

私は受付に座り、次々と会場入りする人たちに名簿をチェックしてもらいながら花を渡していく。


「お前・・・。」


指定された3年2組の名簿を開けていると突然声をかけられた。

顔を上げると知らない男子が私を睨んでいた。


「はい?」

「ふーん。珍しいな。」


彼はそう呟いて自分の名前にチェックをつけた。


<木田祐真>


花を渡すとにやりと嫌な笑いを浮かべた。


「貴島によろしくな。」


貴島?

晴可先輩?

なんだろう。



あっという間に交代の時間になり、私と星宮さんは会場入りした。

一緒に回ろうと言う星宮さんに、私は交流よりも食事がしたいからと言い別れた。

どんな天然であれ、あれほどの美少女だ。

結構人懐っこい面も持っているし、交流会ではたくさん友達を作るだろう。

やっとおもり解任かと肩の荷が下りた気分だ。


交流会よりもお嬢様の手配してくれた高級料理に興味津々の私は人気の少ない会場の端のテーブルを目指す。

うーん。美味しそうな匂い。

いざ、食べよう。

私は見向きもされない高級料理を好きなだけ皿に盛り、壁際に並べられた椅子に座りのんびりと食べ始めた。

うーん。

さすがお嬢様御用達の料理は冷めても美味しい。


会場の中央付近には生徒会の面々が集まっているようで、遠目にも大変な騒ぎになっているのが窺えた。

生徒会の連中は花を受け取らない。

それを知っていてもなお、女の子たちは花を差し出す。

自分だけは彼らのオンリーワンになれるかもしれないという願いを込めて。


あ~大変そう。

中央の喧騒を完全に無視して私は料理を堪能した。


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