生徒会便り~書記編
幸田くん視点のお話です。
「あれ~。どうしたの~。」
生徒会室の扉を開け、重い空気をぶち破るように言うと、彬が顔を上げた。
「とうとう愛想をつかされたんだ。」
「ふ~ん。朝霧ちゃんがんばってたのにね~。」
朝霧、という言葉に机に伏せっていた晴可の体がピクリと反応する。
おもしろい。
「どうするの~。晴可。朝霧ちゃんに何日会ってないの?」
「・・・3日。」
3日でこれか。
僕は心の中でクスクス笑う。
「散々彬にも言われてたのにね。晴可が朝霧ちゃんなしで生きてけると本気で思ってたの?」
「・・・俺が我慢したらいいんや。」
「できる?」
「・・・する。」
ふうん。がんばるんだ。
「あ、朝霧ちゃん。」
僕の言葉に晴可が、ガバッと顔を上げる。
「な~んて。」
「~~~~~。」
鬼のような顔で晴可が睨む。
わ~。怖い。
「ねえ、謝るなら早い方がいいよ?朝霧ちゃん、結構頑固だから時間かかるだろうけど、ちゃんと理由を言えば許してくれるんじゃない?」
「謝らん、って言うかお前やろ。雅ちゃんにいらん事吹き込んだんは。」
「え~。なんのこと~?」
とぼけると、晴可はそれ以上、何も言わなかった。
いや、言えないの間違いか。
朝霧ちゃんから逃げているのは晴可の意思なのだ。
彼女に僕が接触しても、晴可にはどうこう言う資格などない。
「ああ、クリスマスパーティーに一緒に行くこと~?」
「なに!?」
あれ、そこまでは知らなかった~?
僕は会心の笑みを浮かべる。
「朝霧ちゃん誘ったら、オッケーをもらっちゃった。言ってみるもんだね~。」
「・・・。」
「あれ?晴可、なにか都合悪かった?」
「いや・・・。なんも。」
「あ~。楽しみだな~。僕、女の子と同伴でクリスマス行くのは初めてなんだ~。どんな会話したらいいのかな~。ねえねえ、晴可~、どう思う~?」
「いい加減にしておけ。睦月。」
再度、机に突っ伏した晴可にとどめを刺していると、彬に窘められた。
彬は苦い顔で僕を見ている。
「え~?なんで?朝霧ちゃんについての情報は、元彼の晴可に聞くのが一番でしょう?」
元彼、という単語に反応して晴可の背中がピクリと動く。
「あれ?まだ別れてなかったとか、言わないよね?」
「睦月。」
彬の声が低くなり、僕はぺろっと舌を出し黙った。
僕だって、本気になった晴可は怖い。
でも朝霧ちゃんの気持ちを考えたら、これくらい苛めたっていいと思うんだけどな~。
「あ~。明日が楽しみだな~。」
これは本心からのつぶやき。
朝霧ちゃんを気に入ってたのは晴可だけじゃないんだからね。
余裕見せてると、本当にさらっちゃうよ?




