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恋物語  作者: ゆうこ
冬の頃
60/77

不在

いつも読んでいただいてありがとうございます。

今回からしばらく展開がシリアスになります。

甘い展開を期待されていた方はごめんなさい。

しばらくお付き合いいただけると嬉しいです。

学園祭が終わり、しばらくしてから星宮さんは静かに学園を去った。

久しぶりの一人部屋は静寂に包まれている。

淋しくないと言えば嘘になるだろう。

でも、彼女との繋がりを、私は確かに感じている。

もしも、このまま永久に会えなくなったとしても、星宮さんは私の中にずっと存在するだろう。


意外なのが真田くんだった。

どちらかというと星宮さんの牽制役だった真田くんは、肩の荷が下りたはずなのに、なんだか元気がなかった。


「おはよ。朝霧さん。」


星宮さんがいなくなってから、真田くんはよく私に声をかけてくれる。

気を使ってくれているんだろう。

今朝もどこかぼんやりした様子の真田くんが、ふと気がついたように目を見張った。


「あれ?今日は晴可先輩来てないの?」

「うん。そうだね。今朝は食堂にも来なかったし、教室にも現れないね。」

「ふーん。珍しい。何か用事かな。」


真田くんがぼんやりとつぶやいた。

確かに、あの学園祭の忙しさの中でも、朝食の席だけは外さなかった晴可先輩だ。

何かあったのかも知れない。

休み時間に幸田くんに聞いてみよう。


「朝霧さん。面会よ。」


のんびり考えていたら、一志さんに呼ばれた。

入口を見ると、幸田くんが手招きしていた。


「授業、始まっちゃうんだけど。」


つぶやきは笑顔で黙殺された。

連れていかれた生徒会室には会長、副会長が揃っていた。

けど晴可先輩の姿はない。

その事実が私の心に不安の影を落とす。


「呼びだして悪いな。」


会長は私にソファーを勧めてくれた。


「来てもらったのは晴可の事でだ。」


膝の上で軽く組んだ指先からすぅっと血の気が引いていく。

晴可先輩に、なにかあった?


「細かい事は言えないんだが、晴可が厄介事に巻き込まれた。それであいつは実家に戻っている。」

「厄介事?」

「そうだ。だが安心しろ。すぐに解決する。俺も、宗春も、そういう事にはよく巻き込まれるんだ。」

「・・・はい。」

「ただ、晴可にはお前がいる。」

「・・・。」

「自覚してるか怪しいが、お前は晴可のウィークポイントだ。」

「・・・。」

「だから、絶対動くな。何があっても、平常通りの行動をしろ。」

「はい。」


会長はじっと私の目を見た。

その色に、晴可先輩に振りかかった事態が深刻なものなのだと確信する。

ざわつく心を必死で押さえつけ、私は了承を伝えた。

私に出来る事はないのだろう。

私に出来るのは、晴可先輩の邪魔にならない事だけ。

ギュッと握った両手が膝の上で震える。

不意に会長の目が優しく細められた。


「心配だろうが、晴可を信じて待っていてやってくれ。あいつなら大丈夫だから。」

「はい。」

「いろんな噂が飛び交うだろうが、惑わされるなよ?」

「はい。」


ポンポンと、会長に頭を叩かれ、不覚にも私は泣きそうになった。

ぐっと奥歯を噛みしめ、それをこらえる。


早く、晴可先輩に会いたい。

こみ上げる想いに押しつぶされそうだった。






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