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恋物語  作者: ゆうこ
秋の頃
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雅会発足

次の日、教室へ行くと球技大会の話題で盛り上がっていた。


「雅ちゃんはバスケチームね~。」


星宮さんが教えてくれる。

どっちかというとバレー希望だったんだけど。

バスケチームは8人。

補欠に入れるよう祈ろう。


「私はバレーなんだ~。雅ちゃんと一緒がよかったんだけど。」


それは唯一の喜びだな。

星宮さんと同じチームなんてどんな注目を浴びるかわからない。


「雅ちゃーん。バスケやって?」


昼休み、逃げずに大人しく食堂に行く。

晴可先輩は上機嫌だ。

木田先輩はどうなったのか。

聞きたいけど怖くて聞けない。

いや、それより気を失う前の会話を思い出すと、顔を見ることすら抵抗がある。

そんな私に対して晴可先輩は以前と変わりない態度だ。

いや、少し引いていてくれるような気もする。


「俺もバスケなんや~。彬は?」

「俺もバスケだ。対決が楽しみだな。」


火花散ってますよ、先輩方。


ぽん、と肩に手を置かれ振り向くと、満面の笑顔を浮かべた真田くんと笹原くんが立っていた。

このふたりが揃っているということは・・・。


「はい。朝霧さん、名簿。」


渡されたのは厚さ1センチほどの紙の束。


「なに?これ。」


聞きたくないけど、聞かないという選択肢はなさそうだ。


「なにって、雅会の規約と会員名簿ですよ~。」


笹原くんが能天気な声でうれしそうにページをめくる。


「これ見てください!!俺、会員ナンバー1番なんですよ!?」


なんだそれ・・・。

絶望的な気分に包まれる。


「あ~。私聞いてないんで、なかったことに・・・。」

「え~!?なにそれ!!一番は俺やん~!?」

「いや、だから晴可先輩?聞いて・・・。」

「ご心配なく。晴可先輩は名誉会長ということでここに記載されてますから。」

「真田くん!?」

「あ~そうなん。なら、いいか~。」

「よくないです。」

「大丈夫。朝霧さんには迷惑かけないと思う。基本的に遠くから見守るのが会の理念だから。」

「だからね?」

「あ~。それいいな~。俺だけではどうしても目が行き届かへんし。な?雅ちゃん。」

「!!」


久しぶりに真正面から見る晴可先輩の視線に言葉を失う。

先輩。

口元は笑ってるのに、目が全然笑ってません。

怖いです。

絶句した私からすいっと目をそらして晴可先輩は星宮さんに視線を移す。


「姫ちゃんの親衛隊って何て名前やったっけ?」

「星っ子クラブで~す。」


茫然とする私を残して話題は他に移っていった。

ぽんぽんと肩を叩かれ振り向くと、真田くんが慈愛のこもった笑みを浮かべていた。


「人間、諦めが肝心。」

「・・・。」


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