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恋物語  作者: ゆうこ
秋の頃
35/77

捕獲2

毎日、たくさんのアクセスありがとうございます。


今回晴可先輩視点です。

朝、いつもの時間に食堂に行くと、雅ちゃんの姿がなかった。

具合でも悪いんやろか。

珍しい。

賄いのおばちゃん情報で、雅ちゃんが入学して以来ずっとこの時間に朝食をとりに来ることはわかっていた。

わざとか。

俺は口元に手のひらを当てて考える。

昨日、たまたま雅ちゃんの教室の近くに行ったついでにクラスを覗いてみたら、彼女が友達となにやら話していた。

興味半分聞いていたら、俺との噂について聞かれているみたいだった。

なんて答えるんやろ。

わくわくして聞いていたら、彼女はあっさりばっさり噂を否定した。

少なからずショックを受ける俺の耳に飛び込んできたのは、相手のつぶやきだった。


「急に可愛くなったから恋してるんだと思ったけど貴島先輩のせいじゃなかったのか。」


雅ちゃんに好きな人ができた!?

しかも俺とは付き合ってないって、さっきはっきり言い切ってたし。

さーっと血の気が引く音がした。

だれや、それ。

抹殺する。


結局そんな奴はおらんことがわかったけど、気の治まらん俺はそのまま雅ちゃんを拉致した。

のだが・・・。

怖がらせたかな・・・。

わざと避けようとしているのかも。

ふ、と俺のくちびるに笑みが浮かぶ。

逃げようとしても無駄やで、雅ちゃん。

逃げるものは追いかけたくなる、そんな男の本能なんてわからんやろな。


ふと気がつくと、周りにいた朝練組が恐ろしそうな顔で俺を見ていた。


   *************


「逃げた!?」


放課後、どうしても外せない用事があって、真田に雅ちゃんを確保しておくように言っておいたのだが。


「す、すいません。」


青い顔をして頭を下げる下級生を一瞥して俺は考える。


「まあいいわ。意外に雅ちゃんもやりよるな。」


時計を見る。

まだ授業が終わってそれほど経っていない。

ぎりぎり校門を出たか出ていないか。

俺は雅ちゃんの気配を探った。


ここ数日、雅ちゃんの指に口づけて俺の気を流し込んでおいた。

それにより彼女の気配はより感知しやすくなっている。

校内にはおらへんな。

やっぱり外か。

意識を校門の方に飛ばす。

こっそり塀伝いに移動する雅ちゃんを見つけた。


「逃がさんで。」


後ろを気にしながら校門を出た彼女は、腕組みをして門にもたれる俺を見て固まった。


「なんで逃げるん?」


優しく問う。

けど雅ちゃんは真っ青な顔で震えていた。

俺は彼女の細い肩をそっと抱く。


「雅ちゃんが具合悪いんなら、寮で看病したろか?」


ぶるぶるぶると勢いよく彼女は頭を振った。


「じゃあ、生徒会室、付き合ってくれる?」


今度は機械のように首を縦に振った。

俺は雅ちゃんの肩を抱いたまま、もと来た道をゆっくり歩く。

下校する生徒がびっくりした顔で俺たちを見ていたが気にしない。


「雅ちゃん?俺から逃げたらあかんで?」


耳元に口を寄せてささやく。

そう、彼女は俺のもの。

誰にも渡さんよ。

俺は彼女に気づかれないよう髪にそっとくちづけた。

ほんの少し改稿しました。

あらすじは変わりないです。

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