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恋物語  作者: ゆうこ
夏の頃
23/77

夜中の密談

はっと目を覚ます。

頭に響き渡るような心臓の音がうるさい。

そっと目をやると時計は12時を指していた。

星宮さんは隣のベッドで静かに寝息を立てている。

すぐには眠れそうにないので私はベッドを抜け出した。


水でも飲みに行こうと談話室に向かう。

柔らかい灯りの下、誰かが話をしていた。


「あれ?朝霧さん?どしたの?」


そこにいたのは真田くんと幸田くんだった。


「えっと、のどが渇いて。」


と言うと、幸田くんが冷蔵庫からミネラルウォーターを出してくれた。


「ありがとう。」


彼らも昼間の話を聞いていたはずなのに、ちらりともそんな雰囲気が感じられない。

真田くんが穏やかな顔で話しかけてきた。


「日焼け、大丈夫?体が火照ると眠りにくいよね。」

「真田くんが一番焼けてるね。」

「うーん。すぐに真っ赤になっちゃうんだよね~。今日は布団も痛いかも。」


なんでもない会話。

それに心底ほっとする。


私はペットボトルの蓋を開けて水を飲んだ。

ところでこんな夜更けに何をやってるんだろう。

私の視線に気づいた真田くんが困ったような笑みを浮かべた。


「えーとね。内緒にしといてもらえるとうれしいんだけど、明後日、晴可先輩の誕生日なんだ。」

「ふうん。」

「でね、何かサプライズを考えてるんだけど、なかなかいい案が出なくて。」

「そうそう。去年は蝶野会長が仕切って、全員女装してハーレム作ったんだよね。」


先代の会長の名を出して幸田くんが渋い顔で言う。

苦い思い出なんだね。


「晴可が喜ぶものか~。」


幸田くんがつぶやく。

晴可先輩って18才になるのか~。

私はぼんやり考えながら水を飲む。


「あっ!!」


突然、幸田くんが叫んだ。


「なに?いい案浮かんだ?」


真田くんが尋ねると幸田くんがこちらを見てニンマリと笑った。


「内緒。」


なんだ?

この笑顔。

悪寒が走った。

私は思わず眉を寄せた。




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