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恋物語  作者: ゆうこ
夏の頃
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砂の城

海でひと泳ぎしていたら星宮さんがやってきて、砂のお城を作ろう!!と提案してきた。

あんまり彼女が目を輝かせているので付き合うことにする。

砂のお城作りは難しい。

波打ち際に近すぎても遠すぎてもうまくいかない。

適当に山を作りだす星宮さん。

何も考えてないね。

星宮さんが積んでは崩される砂と格闘しながら歓声を上げる。

まるで今の私たちの関係を如実に示しているようだ。

何も考えずに積み上げる星宮さん。

考えすぎて何も積み上げられない私。


何も考えずに人との距離も埋められたら。

それが崩されても彼女のように笑っていられたら。


「あ~あ~。何しとんの。姫ちゃーん。」


晴可先輩の声に我に返る。

星宮さんは砂まみれになって笑っていた。


「はい、水分補給。」


晴可先輩が私たちにペットボトルを渡す。

そして私には。


「これも。」


と言って、パーカーを差し出される。


「日焼け防止。」


じゃあ星宮さんは?と思ってちらりと見ると、


「あ、私、日焼けってあんまりしないのよね~。」


と笑っていた。

うーん。

超絶美少女はUVカット力もすごいのか。

仕方なく、手の砂を払ってうけとったパーカーに手を通した。

満足そうな晴可先輩。

なんだかお父さんのような目をしているのは気のせいだろうか・・・。


「さ~。俺らも作るか~。」


晴可先輩の掛け声にお腹が一杯になったらしい男子たちも参加して砂のお城はどんどん規模を大きくしていった。


「なんだかすごい物になってきたわね~。」


地道にお城を固めていると日傘を差した花園先輩がやってきた。

確かに砂のお城はお城というより城塞のようになっていた。

男子ってなんにでも夢中になれるんだ。

固めて削って掘って、晴可先輩も子供みたいな顔をしてお城を作っている。


「も~。ふたりとも~。お年頃の女の子がこんな直射日光の下、無邪気に遊んじゃって。ダメよ~。お肌の老化は始まってるんだから~。」


花園先輩は呆れた顔で言った。

仲間に入りたいのかと思えば、海は嫌だと駄々をこねてうるさいので、私たちはプールに移動することになった。


「じゃーねー。後は男どもでがんばって~。」


なんだか楽しそうですね、花園先輩。

微妙な顔でこちらを見ている男子たちにぺこりと頭を下げ、私たちは海を後にした。


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