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恋物語  作者: ゆうこ
春の頃
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交流会

星宮さんは空気が読めない人らしい。

初めて会った時から決して親切にしたことなどない。

笑顔を見せたこともないはずだ。

なのになぜか彼女は私に懐いてしまった。


「それでは今年も交流会実行委員を決めたいと思います。」

教壇には爽やか系イケメンのクラス委員、真田くんが立っていた。

「交流会って?」

隣の席で星宮さんが首をかしげた。

今日も無駄にキラキラオーラが垂れ流されている。

「生徒会主催のダンスパーティー。学年を超えて交流を持つのが目的。」

「ふーん。」

生徒会主催の行事はいくつかあるが、その手伝いとしてクラス委員と実行委員が招集される。

「では立候補をお願いします。」

真田くんがよく通る声で呼びかけるが、誰も立候補などする訳がない。

この学園は無駄にイケメンが多い。

そして生徒会に名を連ねる生徒は超イケメン揃いだ。

彼らにはそれぞれ親衛隊なるものが存在している。

実行委員は例年、親衛隊員の中から選ばれるのが暗黙の了解になっていた。

このクラスの女子も半数近くが親衛隊に入っているが、選ばれるのは加納財閥のお嬢様、加納里佳子で間違いないだろう。

「立候補はいませんか?」

真田くんの再度の呼びかけに加納さんの取り巻きの女子数人が素早く目配せした。

お嬢様は立候補などしないのだ。

周りに推薦され、実行委員になる。

そういう筋書きが存在するのだ。

真田くんも気の毒に。

茶番とはいえ、やらねば劇は進まない。

しんとした空気の中。

「はいっ。私やります。」

私の隣で空気を読まない美少女がピンと手を伸ばしていた。

「私、転校したばかりで何もわからないので、学園の事を知る良い機会だと思います。」

一気に教室内の温度が下がった。

加納さんが鬼のような顔で星宮さんをにらんでいる。

ひー。怖い。

美形がにらむと恐ろしい。

「入ったばかりの星宮さんでは実行委員は難しいんじゃありませんか?」

加納さんが氷のような声で発言した。

「そうですね。なので朝霧さんも一緒にお願いします。」

「!?」

自分の名を呼ばれ私は目を見開く。

なんで!?

「朝霧さんならしっかりしているので大丈夫だと思います。」

「いや、ちょっと!?」

私を無視して決めないでほしい。

にらみ合う加納さんと星宮さん。

いや、にらんでいるのは加納さんだけか。

こうなったら頼れるのは真田くんだ。

頼むよ、委員長!例年通りってわかってるよね!?

黙って成り行きを見守っていた真田くんは私の顔をちらりと見た。

お願い、真田くん。私の平穏な日々は君にかかってるんだよ!?

真田くんがにっこりほほ笑んだ。

「ということなんだけど、他に立候補もないし、朝霧さんと星宮さんに実行委員をお願いします。」

「え!?」

私の驚愕の叫びを爽やかに無視して真田君は学活を締めくくった。



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