貴島晴可のひとりごと1
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今回は雅ちゃんに初めて出会った頃の晴可先輩視点のお話です。
「は~。めんどくさいな~。交流会ってホントに必要なん~?」
生徒会の4人で小会議場に向かいながら俺はぼやいていた。
例年行われる交流会。
俺にとってこれほどつまらんものはない。
学園の公然の秘密。
俺は人外だ。
というか学園の男子はほとんどが人であって人でない者だ。
俺たちの祖先は人でないものと婚姻を結んだ。
それは俺たちに人以上の能力を授けた。
ここはそういう人外の子供たちのために創設された、幼稚部から大学部まで備えた壮大な学園都市である。
地域の学校ではその特異な身体能力ゆえに浮いてしまう子供たちを、全国から集め寮生活させる。
それは人外の子を守ると共に人の子を守るという目的もあった。
中学部までは良かった。
全員が人外という環境の中、特に気苦労もなく伸び伸び学園生活を送れた。
問題は高等部が人外以外にもその門戸を開いているということ。
高等部には、人間の子供の中から知力に優れた者やスポーツに優れた者を特待生として受け入れるシステムがある。
人外のみで構成された閉じられた空間。
いずれ俺たちも人の社会に出ていかなくてはならない。
そのための配慮か。
ちなみに人外は女子が生まれにくい。
いつの時代からか、特待生制度は花嫁探しの側面も担うようになってきたらしい。
どこでどうなったのか金持ち連中の娘が花嫁候補として入学するようになった。
誰が考えた制度か知らんが、そいつを呪いたい気分だ。
交流会は学年を超えた生徒たちの交流を目的としている。
が、本当の目的は花嫁探しだ。
ほとんどの女子もそれを承知している。
普段でも感じるねちっこい視線が交流会では激化する。
一人一人では何てことはない女子が、集団になるや畏れを知らぬ暴徒と化す。
できれば交流会、いや生徒会なんかやめてしまいたい。
小会議場に入ると想像通りの異様な熱気が充満していた。
それに対していつもの怜悧さを崩さない涼宮は尊敬に値する。
ふと、視線が後ろの方に引き寄せられた。
あれは2年の真田か。
来年の生徒会候補生。
その隣に座る2人の女の子。
彼女たちの目に他の女子のような盲執的な光が見えない。
珍しいこともあるな。
こっそり盗み見ると会長の桐生もそちらを見ているようだった。
もっとも奴が見ているのはふわふわ砂糖菓子のような華奢な方だけだ。
俺はどちらかというと真田のすぐ隣に座る地味な女の子が気になった。
彼女は決して美人ではない。
が、不細工というわけでもない。
ごく普通の目鼻立ちをした女の子。
俺の目を引いたのは彼女の外見ではない。
彼女の周りに張りつめるしんとした空気だった。
関西弁の晴可先輩に語らせるのは非常に難しかったです。
試行錯誤の結果、こんな感じになりました(^^ゞ