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能力者の日常  作者: 相上唯月
5平穏

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15彼氏ができたらして欲しいランキング

一方その頃、


「杏哉先輩……この服、本当に僕に似合っているんでしょうか…?」


メイサが光姫にヘアアレンジをしてもらっている間、同じく悠も杏哉とデートの準備をしていた。そして、制服からデート服に着替え終えた悠は、出かける直前になって再び、普段との服装のギャップに不安になっていた。


悠は膝を抱えて座り込み、上目遣いでその可愛らしい顔を杏哉に向ける。このシチュエーションで、もしも悠が女子ならば、見つめられた男子はイチコロだろう。それくらい、目の前の年下男子は、世間一般の男子にとって庇護欲がそそられる、か弱い魅力的な女の子のようだった。


(…お前、そういう行動するから女子みたい、って言われるんだぞ。)


今日は呆れて嘆息を漏らすと、無理やり悠を立たせた。


「自信持てよ。俺がお前のために選んでやった服だ。似合わないわけないだろ。」


杏哉はわざと自意識過剰的な発言で悠を励まそうとしたが、やはり彼の表情は晴れない。


「杏哉先輩はいいですよ。だってイケメンですし。イケメンは何着ても似合いますもんね。けど、僕だと話が違うでしょう。急にこんな小洒落た服を着ていったら、流石に引かれるとしか…。」

「まぁ、世間一般のイケメンとはニュアンスが違うかもしれんが、端正って意味ならお前だってイケメンだろ。てか、〝引かれる〟って言ったか? 逆だバカ。〝惹かれる〟んだよ。光姫様もかっこいい、って言ってたろ。あん時、俺すげぇお前のこと妬ましく思ったんだからな。大丈夫だ、心配するな。メイサもおしゃれになったお前を見て、狂喜のあまり卒倒するぞ。」

「いや、卒倒はまずいですから。」


ニヤッと怪しげな笑みを浮かべる杏哉に、思わずツッコミを入れる悠。少し表情が晴れた悠を見て、杏哉はこの機会を逃すまい、と前々から考えていたことを言おうと口を開く。


「あ、あと言い忘れてたことがある。お前、そのマフラー巻いてるだろ?」

「え、あ、はい。」


意味の分からない杏哉の問いかけに、悠は首を傾げた。そんな彼を見て、杏哉は続ける。


「そのマフラー、ただのおしゃれじゃないんだよ。光姫様に聞いたところ、メイサはマフラーをして行かないそうだ。今日の夜は一段と冷え込む。だから、もしメイサが寒がったら――。」


すると、杏哉の怪しげな笑みを見て何かを悟ったのか、悠は慌てふためいて口を挟んだ。


「え、え。ちょ、ちょっと待ってください。そ、それってつまり…僕のマフラーを、メイサ先輩に巻く、ってことですか…?」

「お、流石。正解だ。」

「え、は…? そ、そんなの無理に決まってるじゃないですか…! というか、男が巻いてたマフラー、巻かれて嬉しいですか?」


お前の場合(女子だから)例外だろ、そう、思わず口走りそうになった言葉を慌てて喉元で止めて、杏哉は彼の問いに答える。


「嬉しいに決まってる。メイサにとって、好きな人が巻いていたマフラーなんだから。というか、これはメイサが言ってたことなんだぞ。」

「ど、どういうことですか?」

「いや、光姫様が言ってたんだよ。マフラー巻いてやるの、メイサの『彼氏ができたらして欲しいこと』ランキングでトップ五に入ってたらしいぞ。」


杏哉がそう言うと、眼前の悠の顔は、なぜか真っ赤に染まっていった。


「か、彼氏…。」


一体、今のセリフの何に反応したのかと思ったら。――そういうことらしい。


これからクリスマスデートに行って、そしてそこで告白する&もう既に了承を得られることはわかっているのに、なぜこの単語にそれほど過剰反応するのか。


「悠、そうこうしてる間に、出発まで十五分切ったぞ。」


悠が杏哉の部屋にやってきたのも、そこまで前の話ではないので、実際には『そうこうしている間』は短かったのだが。


「じゃ、色々と頑張れよ、悠。」


杏哉はそう行って、悠を送り出してやった。悠はまだ案じ顔をしていたが、やって来た時に比べれば、かなり表情は明るくなっていた。

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