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能力者の日常  作者: 相上唯月
5平穏

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36/81

6光姫の恋愛大作戦

十二月六日。メイサが悠のことを好きだと自覚した翌日の、夜八時。


杏哉は夕食を食べ終え、部屋に戻ってきたところだ。これから入浴しに行こうと思い、着替えを持って扉を開けると、


「杏哉さん、お時間よろしいですか。」


なぜだか、扉の目の前に、天使のような微笑みを浮かべた光姫が立っていた。

杏哉は思わず大驚失色し、思わず数歩尻込みするが、慌てて踏みとどまる。


「…ど、どうされましたか?」

「あの。どうしたらメイサさんと悠さんの仲を深められるのか、相談に来たんです。」

「…へ?」


思わず間抜けな声を出してしまったが、無理もない。杏哉は自分の耳を疑った。


「そ、相談? 二人の恋を発展させるために?」

「はいっ。この間のゲームで私が勝ったので、杏哉さんは私のお願いをきく義務があります。」


光姫は太陽のように眩しい笑みを浮かべ、杏哉の言葉に頷いた。そんな彼女の姿を見て、杏哉が断れるわけない。


「…部屋、入って話しますか?」

「いいんですか? では、お邪魔します。」


光姫は躊躇することなく、杏哉の部屋に入っていく。ここは光姫の屋敷なので躊躇うのもおかしいのだが、男の部屋にこんな簡単に入っていくものなのか。杏哉は光姫だから仕方ないか、と頭を抱えながら、彼女を自宅から持ってきたお気に入りの椅子に座らせる。


「…それで、具体的に何を話せば…?」

「あの、私。恋愛経験がこれっぽっちもないので、どうしたら二人の仲を深められるかわからないんです。なので、その相談です。」

「…いや…それはまぁ、分かるんですが…。なぜ光姫様がそんなことを? 二人のことなんだから、二人に任せておけばいいんじゃないですかね。」


張り切る光姫に、杏哉は首を傾げてそう主張する。


「私が二人の恋を応援するのはダメなのでしょうか。」

「ダメというか…。何もしなくてもそのうちくっつくと思うというか…。」


杏哉がどうしたら、余計なお世話ともいえる妙な事にやる気になっている彼女を説得できるか考えていると、


「ダメではないんですね。なら応援します。」


と、光姫は半ば強引に話を進める。なんというか、守光神家の当主である光姫も、他の同級生と同様に恋愛に興味津々な女子中学生なんだな、と思った。


「…二人の仲を深めるにはどうしたらいいか、ですか? そんなの、一緒に暮らしてるんだし、自然に仲良くなるもんなんじゃ…。まぁ…何かするとすれば…デートとかそういう?」


杏哉が先ほどの光姫の相談内容に対し、そう返答すると、光姫は目を爛々と輝かせた。


「デート! それです、杏哉さん!」


何が『それです』なのかよく分からないが、彼女の満足する返答ができたらしい。


「今週の休日に、二人をショッピングモールに連れていくんです。」

「連れていく? 誘導するんじゃなくて?」

「はい、私たちもついて行くんです。私だってお二人の様子を窺いたいです。」


光姫は双眸を宝石のようにキラキラと輝かせ、そのように意気揚々と宣言した。

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