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能力者の日常  作者: 相上唯月
4犯人

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20/81

3案内

その後、光姫と杏哉はリビングルーム、能力完全防備の稽古部屋、バスルーム、本部屋などの共同スペースをメイサと悠に案内した。ちなみに、ここには使用人や親族が住んでいるため、バスルームやトイレは男女別になっている。バスルームなんて家庭的なのは名前だけで、中身は旅館の温泉のような造りだ。


「次は私の部屋を紹介して、その後、皆さんの部屋に案内しますね。」


共同スペースは一階に固まっており、二、三階には、光姫や照光、母親の部屋をはじめとし、使用人たちの個人の部屋がある。光姫の部屋は、二階の奥から三つめ。一番奥は照光、二番めは光姫の母親である。もうしばらく空き部屋となっているが。


「ほ、本当にここを、アタシが使っていいの、お姉様?」


メイサには、光姫の隣の部屋を用意した。部屋をのぞくなり、メイサはその広さに目を見張る。普通、側近と主が同じ広さの部屋を使うことはないのだが、光姫の親友、いや、妹ということで、メイサにも守光神家用の上等部屋を用意した。主である光姫の部屋と同じ広さがある。もちろん、同じく親友である杏哉と悠にも同じ広さの部屋を用意している。


「はい、もちろんです。引っ越しの荷物は段ボールに入れて、部屋の中に積んであります。」

「分かったわ。荷物、整理してくるわね。」


そこでメイサとはいったん別れ、今度は悠の部屋へと向かった。悠の部屋は光姫の部屋の反対側で、杏哉の隣だ。光姫と光姫の母親の部屋の間には通路があり、そこを左に曲がった突き当たりの部屋。先ほどもいったように、これもまた守光神家用である。

部屋のドアを開けると、悠もメイサと同じような反応をし、荷物整理のために彼とも別れた。


残すは杏哉だが、杏哉は随分前から側近になることが決まっていたため、部屋の荷物整理は終わっている。


二人きりになり、途端に静まり返った。時刻は六時。廊下の窓の外から見える景色はもう真っ暗で、空には三日月が浮かんでいた。ここは田舎の方なので、天気がいいと、満点の星空が見える。現在も窓の外では、都会の夜空から消え去った星たちが、自分自身の存在を主張するように煌めいている。


うっとりするように散らばった星空を眺める光姫の横顔を、杏哉は斜め上の角度から見つめていた。いや、見惚れていたという方が正しい。やはり、いつ見ても光姫は美しい。しかも外見だけでなく、彼女は中身まで完璧で、美しい。美人の形容は有り余るほどこの世界に存在するが、やっぱり、〝美しい〟という言葉が一番眩く、彼女に合っている。


「…光姫様、お尋ねしたいことがあるのですが、少々お時間よろしいでしょうか?」


杏哉はそう、隣にいる光姫に語りかける。彼女はゆっくりと首をこちらに動かし、優雅に首肯した。杏哉はこの空間にずっと身を委ねたい、そう思ってもいたのだが、先ほどメイサに抱いた疑問の答えがまだわかっていない。おそらく、その答えを彼女は知っている。


「ええ、なんでしょう。…そうだわ。こんなところで立ち話もなんですから、談話室に行きませんか?」


光姫はそう言って夜空に浮かぶ月のように、誰もを魅了する微笑みを浮かべた。

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