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第6話 草鹿龍之介との邂逅(前編)

「やあ、島村様ではないですか。聞いておりますよ。今回はワイフをお連れとかで。まあ、何より、この状況に現れてくださるとは地獄に仏を見る思いです」


 入るなり相好を崩し、手をしっかり握って久闊を叙すると横の応接に腰掛け、さっそく本題に切り込んでくる。

「高天原から島村様がお越しになったとなれば、帝国海軍の乾坤一擲の大勝負になにか不測の事態があるのでしょうなぁ」


「はい、明後日に迫った真珠湾奇襲作戦ですが……」


「もし米側へ企図が漏れているのでしたら忌憚なく仰ってください」


「いえ、奇襲攻撃自体は大成功と言っても過言ではないほどでしょう」

 そう言うと草鹿少将は愁眉を開く。


「そうですか、それを聞けて何よりです。司令部では南雲中将が大西君や源田君に『この大博打、成功するかね』といって困らせるものですから……そうですか、まあ、真珠湾に予定通り艦艇フネがいるかどうかが問題ですが」


「そうですね、在泊艦艇は戦艦だけでも『アリゾナ』、『ネバダ』、『オクラホマ』、『ペンシルベニア』、『カリフォルニア』、『テネシー』、『メリーランド』、『ウエストバージニア』の八隻、重巡洋艦二隻、軽巡洋艦六隻、駆逐艦三〇隻と多数在泊しています」


「そんなにも……有り難いことです。この日のために月月火水木金金の猛訓練を重ね、技倆ぎりょうを上げてきた海鷲たちですから、打ち漏らすことは万に一つもないでしょう」

 草鹿少将は目に薄っすらと輝くものをたたえながら独りごちる。


「お忘れではありませんか、草鹿少将。戦艦に並ぶ攻撃目標を」


「あ、空母……空母は?」


「アメリカ太平洋艦隊所属の空母は『レキシントン』、『エンタープライズ』、『サラトガ』の三隻ですが、『サラトガ』は米本土で整備中、『レキシントン』はミッドウェー近海です。したがってハワイ沖西方二〇〇海里にいるハルゼーの率いる艦隊の『エンタープライズ』、そして秘密裏に米軍が完成させたオアフ島のハレイワ航空基地、これらへの対応を怠ったがために機動部隊に甚大な被害が及びます」


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