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第20話 利根、索敵機飛ばせません!

 6月4日午前4時、南雲司令部が未明の暗い中、艦橋に集合する。


 午前4時30分、日の出の30分前、申し合わせた通りミッドウェー島空襲部隊が発艦していく。


 零戦36機に続いて最新鋭の彗星艦爆が『蒼龍』の飛行甲板から飛び立っていく。飛び立った飛行機は、上空でさらに大きな編隊を組み一斉にミッドウェー島基地を目指す。


「時代が変わっていくのを感じるねぇ」

 体調を崩して冴えない源田中佐に、草鹿少将が言う。


 時を同じくして『利根』、『筑摩』から索敵機が射出される。とりわけ、『利根』のカタパルトが不調なため『筑摩』が利根4号機の代わりを射出する。


 索敵は7本の索敵線を飛ぶ、いわゆる一段索敵である。練度と技倆ぎりょう次第では索敵も省略しないと空母4隻体制になった状況には対応できないのだ。


 午前5時20分、ミッドウェー島のPBYカタリナ飛行艇が南雲機動部隊を発見し、「敵空母一隻発見」を報告する。それを受けたミッドウェー島基地は爆撃機および攻撃機は全機発進し、南雲機動部隊へと向けられ、島に残ったのは戦闘機F4Fが6機、F2Aが18機の計24機だけとなる。


 米軍ミッドウェー島基地では、既に対空レーダーを実用化しており、ミッドウェー島空襲部隊の到着に合わせて、持てる戦闘機全てを高度四千メートルにまで上げて待機させている。


 午前5時50分、赤城の艦橋でミッドウェー島空襲部隊のト連送(全軍突撃せよ)を傍受する。


 ミッドウェー島上空では零戦隊36機にF4F、F2Aの24機が襲いかかったが結果は悲惨なもので、このうち22機が撃墜破され、ミッドウェー島基地の稼働機数はわずか2機となった。零戦隊の損失は1機のみである。


 午前6時20分、ミッドウェー島空襲部隊から「カワ・カワ・カワ(第二次攻撃ノ要アリト認ム)」との報告が入る。しかし、南雲中将は電信文を握りつぶして言う。


「敵空母は何処に有りや」


 午前7時、ミッドウェー島基地からのB17をはじめとする爆撃機および攻撃機が南雲機動部隊に襲いかかる。「対空戦闘」のラッパが艦内に響き渡る。


 第1波として来襲したのはB17重爆撃機とB26中爆撃機、雷撃機TBFアベンジャーだったが、これもまた結果は悲惨なものだった。アベンジャーは4機中3機が撃墜され残る1機も不時着により失われた。


 B26 マローダー中爆は雷装で『赤城』に迫ったが途中2機が撃墜され、残る2機は魚雷を発射するもスルリと躱される。


 最後のB17は『飛龍」と『赤城』に狙いをつけて水平爆撃を開始したものの、南雲機動部隊の空母が円を描くように回避運動を始めると、水平爆撃では命中弾を得ることはできなかった。


 続いて、B17とSBD艦爆、旧式SB2Uビンディケーター艦爆の計27機による急降下爆撃が敢行されたが、そもそもミッドウェー島基地航空隊では急降下爆撃の訓練を行っておらず、そのため緩降下爆撃となり、全く命中精度を欠いたものになった。


 唯一、『飛龍』だけが一瞬水柱の中に消えたように見えたが、あとは何もなかったかのように航行を続けていた。

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