元帥府戦藻録
ハワイ沖海戦にて撃破した空母『エンタープライズ』について、アメリカ海軍当局が驚くべき発表を行った。
少なくとも250キロ爆弾6発の直撃を受け、魚雷2本を被雷した『エンタープライズ』がハワイ真珠湾に曳航され、緊急修理のためドック入りしたとのこと。
恐るべきかな米国の工業力、この度はハワイ沖での攻撃であったため真珠湾が近かったという地の利が敵に幸いしたこともあるが、天晴なヤンキー魂である。
そして、『エンタープライズ』撃ち漏らしは、4月のドーリットル空襲で明らかになる。
敵は『エンタープライズ』に護衛戦闘機を載せ、『ホーネット』に陸軍機B25、16機を載せて日本近海に近づき、我軍の哨戒線上の特設巡視艇を『エンタープライズ』艦載機で5隻撃沈させたあと、『ホーネット』のB25を急遽発進させて帝都を爆撃せしめた。
もしも、ハワイ沖で『エンタープライズ』を撃沈しておけば、ひいてはドーリットル空襲を実施中止せしめることができたのではと残念でならない。
なお、空母機動部隊の『翔鶴』、『瑞鶴』であるが、5月にMO(ポートモレスビー攻略)作戦に珊瑚海に送り込んだが、敵空母『レキシントン』、『ヨークタウン』の出現により、ハワイ沖と同じく空母対空母の決戦と相成った。
敵空母『レキシントン』は首尾よく撃沈となったが、『ヨークタウン』は沈めるに至らず、我軍の損害としても『翔鶴』が爆弾4発の命中で中破、『瑞鶴』も母艦は健在なりしも母艦航空戦力を著しく損耗し、五航戦の再建は早くとも8月なるべしと考えられる。




