第51話:相談
俺は先陣を切って、出口へ繋がるルートに駆け出した。
ちょこちょこと隙間から襲いかかってくる魔物たちを各々が倒すことで、足を止めることなく進み続けることが出来た。
この調子なら、確実に一番乗りで戻れるだろう。
ということで、攻略に関してはこれでほぼ終わったのだが……まだ、最後の仕上げがある。
このままでは、俺が立てた作戦で、俺の力があって実現した攻略になってしまう。
俺は、目立つわけにはいかないのだ。このままではあまりにも都合が悪すぎる。
「リヒト、ちょっと話を聞いてくれるか?」
「話って?」
「多分、この感じだとかなり早くゴールできるんだ」
「そうだね」
「俺たちは確実に注目される。そこで、リヒトのおかげで早くクリア出来たってことにしたい……要するに、手柄を引き受けて欲しいんだ」
「へ?」
俺の唐突なお願いに疑問符を浮かべるリヒト。
まあ、そりゃ無理もない。
普通なら実力をアピールすべき学院で自分の手柄を隠す意味なんてないのだからな。
「理由を聞いてもいい?」
「庶民だから、目立ちたくない……じゃダメか?」
「この前のと同じだね。やっぱり、何か隠していることがあるわけだ」
「……まあな」
もう、いっそのこと全部話した上で相談してもいいんじゃないか? とも思えてくる。
最初は警戒していたが、リヒトの性格的に言いふらすことはない気がする。
そんなことを思っていたところ。
「……まあ、いいよ」
「本当か⁉︎」
「うん。別に、僕が損することは別にないしね。その代わり、僕のお願いをまた一つ聞いてほしい」
「お願いっていうのは……?」
「それは、ダンジョンを出た後で話すよ」
またろくでもない話をするんじゃないだろうな? と不安を抱いてしまうな。
そもそも、このダンジョンでの一件も元を正せば、リヒトのお願いを聞いてパーティを組むことになったことからだし……。
続けて、リヒトは俺を気遣うように言葉をかけてきた。
「それと……言える時になったら、話して欲しい。僕で良ければ相談に乗るよ」
「……わかった。ありがとな」
よし、これで仕上げ完了だ。
そして、ちょうど見えてきた出口に飛び込み、俺たちは無事にゴールしたのだった。
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異世界最強の全属性ヒーラー 〜ゲームのモブに転生したので、原作知識を駆使して世界最強の回復術師を目指す〜
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