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第48話:最短ルート

 ◇


 ザアアアアンンッッ‼︎


 ダンジョン潜入早々に出てきた狼型の魔物——ウルフをリヒトが倒した。


 かなり余裕を持って倒せていたように思う。


 もちろん、無防備な状態で襲われれば無傷では済まないだろうが、魔物の存在を認識できていさえすれば問題なく対応できそうだ。


 昨日の練習のおかげで、全員の能力を理解できている。リヒトだけじゃなく、ユリアたち三人もこの魔物なら同じように処理できるだろう。


「このダンジョンに出てくる魔物って、全部このレベルなのか?」


「そうだね。オスカ先生も言っていたけど、難易度は易しめになっているはずだよ」


「そうか、良かった」


 これなら、問題なさそうだ。


 俺には、オリエンテーションを最速で攻略するにあたって一つ、秘策がある。


 前提条件はクリアした。早速、始めるとしよう。


「確か、ダンジョンの壁って壊してもいいんだよな?」


「まあ、戦闘でどうしても壊れることはあるからね。もっとも、一日もあればダンジョンの魔力が自動修復してくれるから、壊したことすら先生たちには分からないだろうけど」


 リヒトが答えてくれた。


 これがはっきりすれば、もう十分だ。


「じゃあ、まずは旗を捜そう」


 俺は、『魔力探知』を使う。


 これは、感覚を研ぎ澄ませた状態で自分の魔力を薄く広げることで、魔力が衝突した反応から生命反応や物質の影を把握する技術だ。


 魔力を壁に反射させながら、その影を解析することで脳内ダンジョンマップを作り上げた。


 ついでに、ダンジョン内の四か所に設置された旗の影もしっかり捉えることができた。


 場所と道筋が分かれば、あとは地道に回収するだけ……なはずがない。


 ダンジョン内はかなり入り組んでいる。旗までのルートは、普通に道を使って歩けば遠回りをしつつになるのだが、いちいちそんな事情に付き合ってられるか。


 俺は、ダンジョンの壁に左手を向けた。


「エレン、どうかしたのですか?」


 俺の動作を不思議に感じたのだろう、ユリアが尋ねてくる。


「道を作るんだ。耳を塞いでおいてくれ」


「道を……?」


 やってみた方が早い。


 俺は、壁に向かって『火球』を放った。


 ドゴオオオオオオオンンンンッッ‼︎


 轟々と燃える巨大な火の弾が壁を次々と突き破り、遥か彼方まで飛んでいく。


 衝撃により、爆音はもちろん、俺たちの足元に激震が走った。


「ど、ど、ど、どうしたのですか⁉︎」


「急に何⁉︎」


「び、びっくりしましたわ⁉︎」


「……っ⁉︎」


 四人は俺の突然の行動に驚いていた。


「旗までの道を作ったんだ。真っ直ぐ歩けば、簡単に回収できる」


「つ、つまり、この一瞬で旗の位置を正確に突き止めて、最短で辿り着けるように壁を壊したということか⁉︎」


「まあ、そういうことだ」


「やはり、エレンはとんでもないな……」


 リヒトは俺の説明ですぐに理解してくれたらしい。


 おかげで、他の三人にも上手く伝わったようだ。


「さ、さすがはエレンです!」


「発想も実力も普通じゃないわよ⁉︎」


「お、驚きましたわ!」


 さて、まだ終わっていない。


 今、俺がこじ開けたのは、一つ目の旗までのルートでしかない。


 まだ旗は三つ残っている。


 ドゴオオオオオオオンンンンッッ‼︎

 ドゴオオオオオオオンンンンッッ‼︎

 ドゴオオオオオオオンンンンッッ‼︎

 ドゴオオオオオオオンンンンッッ‼︎


 俺は、次々に『火球』を放ち、残り三つのルートも開拓したのだった。


 なお、最後の一撃は旗の回収ルートではなく、出口へ繋がる道である。

こちらも連載中です


異世界最強の全属性ヒーラー 〜ゲームのモブに転生したので、原作知識を駆使して世界最強の回復術師を目指す〜


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― 新着の感想 ―
[一言] 旗までのルートが入り組んでる? 凡人「いつかはつけるっしょ」 貴族「OBさん達の力を借りる」 リヒト「ぶっ壊して最短ルートにすればいい」
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