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第45話:努力の限界

 ◇


 翌日の昼。


 俺たちSクラスの学院生は、担任のオスカ先生に連れられて学院の地下に来ていた。


 周りを岩で囲まれており、明かりは側面に設置されている松明のような形をした発光石のみのため薄暗い。まるで、洞窟のような感じだった。


 この地下にある入り口からダンジョンに入るらしい。


 と、それはともかく。


「シーシャ、大丈夫か?」


「ええ……大丈夫」


「しっかりは眠れたか?」


「ええ。七時間。時間は十分だと思うわ」


「そうか。ならいいんだが」


 昨日と比較して、シーシャに元気がなさそうなのが気になる。


 顔色などを見る限り、身体的には問題なさそうに見える。睡眠不足ではないとすると、メンタル面での不調だろうか。


 思ったような成果が上げられなかったとか……?


「ティア、昨日はどうだったんだ?」


 俺は、原因を探るべくティアに尋ねた。


 ティアはシーシャの特訓に付き合っていた。彼女なら、何か知っているかもしれない。


 シーシャに直接聞くことも検討したが、この様子で直接聞くのは憚られた。


「端的に言えば、期待した成果はありませんでしたわ」


「そうか……まあ、一日で出来ることは限られているしな」


「そうではありませんでしたの」


「ん?」


 ティアはシーシャを気にしつつも、詳細を教えてくれた。


「シーシャは、魔力コントロールが先天的に苦手なことがわかりましたの。おそらく、脳の領域が並列処理にされていて、これ以上精度を高めるのは困難ですわ」


「なるほど……そういうこともあるのか」


 人間の脳は個人差により得手不得手がある。


 普通はこの差は後天的な努力によりある程度は不得意なことも誤魔化しが利く。しかしティアによれば、シーシャは既に後天的に改善できる限界まで達してしまっているらしい。


「こうなったら、とことん得意を伸ばすしかないのですけれど、当然攻撃が当たらなければ意味がないことはシーシャが一番わかっていますわ。それで落ち込んでいますの」


 確かに、どれだけ高い攻撃力があろうと、その魔法が当たらなければダメージには繋がらない。


 自分のこれまでの努力を無駄に感じたに留まらず、先が見えないことへの絶望……か。


 かなりデリケートな問題すぎて、俺にはどうすることも……。


 と思った時、俺はピンと来た。


 いや、ちょっと待てよ?


「ティア、シーシャの並列処理って、まだ伸び代ありそうか?」


「ええ。そっちに関してはまだ全然上を目指せそうですわ。でも、こうなってはシーシャ自身のモチベーションが……」


「よし、それならこの件は俺に任せてくれ」


 俺が胸を張って答えると、ティアは驚いているようだった。


「ここから解決できますの……?」


「解決はできないが、対処法はある。まあ、シーシャ次第だけどな」


 さて、そうと決まったらさっさとオリエンテーションを終わらせるとしよう。


 もちろん、俺たちが優勝するという形でな。

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異世界最強の全属性ヒーラー 〜ゲームのモブに転生したので、原作知識を駆使して世界最強の回復術師を目指す〜


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