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第10話:ユリアとシーシャ

 翌日、俺たちは入学式を迎えた。


 俺はシーシャと共に部屋を出て、講堂へ向かう。


「エレンさん、始まっちゃいますよ!」


 すると、俺を待っていてくれたのだろうか。焦った様子でユリアが話しかけてきた。


「大丈夫だ、まだ一分も時間がある」


「一分しかないんですって⁉︎」


 シーシャも時間はギリギリを攻めるタイプらしく、同じタイプである俺とシーシャの化学反応が起きてギリギリのキワキワになってしまった。


 まあ、別に入学式くらい遅れたところでどうってことはないだろうし、何をそんなに焦る必要があるのだろう……と俺としては不思議に感じるところなのだが。


「あ、それと俺のことはエレンでいいぞ」


「——! わ、わかりました! エレン……エレンですね!」


 呼び方なんて何でも良いのだが、一応ここは貴族向けの学校で、ユリアは貴族の娘に対して俺は平民ということになっていいる。


 面倒ごとを未然に防ぐにはこの辺は気をつけておいたほうが良いだろう。


「あれ、お隣の形は……?」


 ユリアは、俺の隣にいるシーシャが気になるらしく、そわそわした様子で尋ねてきた。


「ああ。こいつはシーシャだ。あ、シーシャにも紹介しとかなくちゃな。この子はユリアだ。試験の時に色々あって知り合った。えーと、男爵家の娘だっけ?」


「ユリア・シルヴァーネです」


「私はシーシャ・ローゼンベルクよ。エレンと同じ平民でルームメイト」


「ルームメイト⁉︎」


 シーシャが俺との関係を暴露すると、ユリアは驚いた様子でガバッと俺を見てきた。


「あー、実は平民の部屋割は男女別にならないこともあるらしくてな。俺も最初は驚いたんだが、そういうことになってる」


「え……じゃ、じゃあ夜も同じ部屋で寝たのですか⁉︎」


「そりゃな。あっ、でも当たり前だがベッドは別だぞ⁉︎ 俺が下で、シーシャが上な?」


 変な勘違いを起こされては困るので、この辺はハッキリさせておかないとな。うん。


「喧嘩とかなく仲良くやれてるから心配しないでくれ」


「そ、そうなんですか。へ、へえ……そうなんですね」


 なぜか、急にユリアの元気がなくなった気がする。


 いったいどうしたんだろうか……?


 理由が気になるところだが、うかうかしていると入学式が始まってしまう。


「そろそろ、行こう」


 俺は二人とともに、講堂の中に入ったのだった。

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