実は「青春」というものから脱却できていない。
「……ぁ」
折り曲げて丈が短くなった女子高生のスカートが、ひらりと揺れる。
白い太ももの瑞々しさに、自分から日々に無くなっていく若さを感じた。自分が女子高生だったのが10年も前の事実に少しの恐怖と、戻れないあの時間にゆっくりと瞬きをする。
学生服ってやつは、ちゃんと考えて作成されている。
指定通り着ることによって、シルエットが綺麗になる……らしい。まぁ、わたしは関係なく校則に従って青春を駆け抜けた。同じクラスの女の子が、わざわざスカートを折って、短くする作業にいつも疑問を感じ、それを先生に注意されて、何が楽しいのか当時のわたしは理解できなかったし、なんなら「馬鹿らしい」と常々思っていた。
でも社会に出て、気づいた。気づいてしまった。
——……きっとあの子たちが羨ましかったんだ。
ただ、スカートを折り曲げるだけの行為に勇気が出なかった。
スカート丈が短いあの子たちが可愛くて、先生に構ってもらえるあの子たちが羨ましくて、勉強しかできなかったわたしにも優しくしてくれるあの子たちが妬ましくて、当時のわたしは「馬鹿らしい」とゴミ箱に捨ててしまった。
10年の年月を経て、やっとわたしはゴミ箱を漁って「馬鹿らしい」に隠した気持ちを拾って、今さら大切にしまっている。
女子高生を見るたびに、しまいなおしたソレがツキツキと痛みを主張した。
お読みいただきありがとうございました。