エピソード4 怪しい雲行き
「今日スッキリんでAZUMI見た?可愛いよな」
「あー、見た見た可愛いね」
可愛いに決まっている
僕はノーメイクの彼女を知っている
「今度新曲でるやつ、めっちゃ良い歌やな」
「そうなんだ…それは知らなかった」
彼女の部屋なら知っている
熊のぬいぐるみがあって部屋はピンク色だった
ainのやり取りをバイト先の友人に見せたかった
しかし彼女の為に我慢した
「たける、そろそろ商品搬入の時間」
「あ。了解」
僕はスマホで彼女のmeTubeを見ていた
今でも昨日通話した事は信じられない
彼女のCDを買うか…あんま金無いしな
「ain♪」
ミクちゃんからのメッセージかな
すぐ返したら芸能人だから返事を早くしたって思われるかもしれない。あくまで普段通りに…
……………………
【ター君お疲れ様~昨日はありがとね】
ミクちゃんからのメッセージだった
僕はウキウキが頂点に達した
ウキウキに天井があるなら知りたいくらいだ
4時間くらい返事が空いたから
そろそろ返すか…紳士的に…
【見たよスッキリんテレビ】
【番組出演お疲れ様です】
あくまで紳士的に…っと
【ありがとー!私どうだった?笑】
【最高だったよ私服可愛いかった笑】
【何それ笑ター君昨日見たじゃん!笑】
最高のやり取りだ…もう死んでも良い
僕はトイレに行きたい事も忘れていた
【ミクちゃんってAZUMIでしょ?】
【AZUMIって呼んだ方が良い??】
【んーあんまその名前好きじゃないんだ】
【プロデューサーが決めたから】
オーマイガー
会話の雲行きが怪しくなってきた
僕の体温が下がってきた
何か体がダルい、ヤバい
【そっか。ならミクちゃんで良いか笑】
【私は本名は金井未来、ミクちゃんで良いよ笑】
【ター君に本名教えちゃった】
んー!!!本名教えてくれた
手が震えた。歴史的瞬間かもしれない
彼女との距離が東京から静岡くらいに近づいた気がした
【僕は岸本健、たけるで良いよ】
【んー?ター君で良いや笑】
【今度新曲ライブを横浜でやるから来てよ】
ん?それ会いたいってコト?
僕に会いたいのかな?
【おー!行く行く!チケット買うわ】
【嬉しいー友達がライブに来てくれるみたいで嬉しいー!わーい!】
可愛いなぁ…
友達…まあ友達か
友達でも嬉しいけどな
【よし!絶対にいくよ、会えるの楽しみだね!】
その後返事は無かったが
僕の初めての横浜旅行が決まった
結果行けなかったがそれはまた別の話